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【1day】

歪み 【淫語 キメセク】

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朝5時。
詩音は毎朝この時間に起き、30分ほど離れた道場までロードワークをこなす。
そして道場で朝稽古を行い、同じく走って戻ってからシャワーを浴びて朝食をとり、光一の家へ向かうのだ。
朝稽古には理香子が付くことが多いが、不在の事もあるため、特別に鍵を預かっている。

・・・昨夜は、あれからどうなったのだろうか。

道場から家について直ぐに無事に帰宅した事をメッセージした。
夜中に何度もスマホを確認したが、師匠からの連絡はもとより、自分のメッセージが既読になる事もなかった。

朝のルーティンをどうするか迷ったが、思いきって道場に行ってみることにした。

隣で寝ている夜勤明けの母を起こさないようそっと起き上がり、胴着とタオルを小さなリュックにつめてジャージに着替えた。

母は看護師をしており、今は女手一つで詩音を養ってくれている。

光一には言っていないことだが、詩音は幼い頃から父親だった人物から性的な虐待を受けていた。
・・・と言っても、詩音が僅か四歳の頃の話だ。男は、本物の鬼畜だった。

ある日それに気づいた母が、凄まじい暴力を受けがらも詩音を守ってくれたのだ。

この優しい母の何処にあんな力があったのだろう。
何度殴られても起き上がり、血まみれになって私に覆い被さって守り通してくれたのだ。
最後にはゴルフクラブで滅多うちにされているところに、近所の人の通報で駆けつけた警察によって私たちは保護された。

・・・だが、この国は家族への暴力や性犯罪に甘い。
裁判所に引っ張り出された私たちは、父の弁護士を名乗る男から本当に嫌がったのか、なぜ逃げなかったのか、自分から誘ったのではないか、母も黙認していたのではないか、等々信じられない尋問を受けた。
裁判長も、検察も、私に行われたことを全部話せ、と言う。
父は裁判所で泣き叫びながら、後悔と共に自分の不遇さと私たちの冷たさを訴えた。
ここに味方は誰もいない、と思った。
私は怯えて自分の心と身体を放棄し、沈黙し、カラッポになり、ただそこに座っていた。
・・・父の布団の中と、あまり変わらなかった。

結局、父には執行猶予付きの判決が下り、母との離婚は認められなかった。
裁判長が最後に私たちに、家族なのだからもっとコミュニケ-ションを大事に。彼には愛が必要だ。可哀そうなお父さんの事を敬ってあげなさい、と言った。

絶望した私たちはその日の夜、ふらふらと海へと向かった。靴を脱ぎ、静かに海へ入っていく母は私から手を放したが、私は両手でしっかりと母の手を握り直した。
母は私を抱きかかえ、二人とも無言で沖へ、深みへと進んでいく。
そんな時、海岸沿いの道路にぱんぱんとはじける様なエンジン音を響かせ、一台のバイクが走りこんできた。

「ちょっとまったああぁ!!」

女の人の声が響いたが、母は何も感じないかのように虚ろな目で歩みを進めた。
腰まで水に浸かったあたりで、背後からざぶざぶと誰かが追ってきた。

「待て待て待て!なンであんたらが死なんといかんのや!」

母の肩越しに見えたのは、海の中を追ってくるスーツ姿の女の人と、海岸に立ってこちらを見る白いスーツの男性。やがて追いついたその人にお腹に手をまわされ母は立ち止ったものの、虚ろな目で沖を眺めるばかりだ。

「はあ、はあ、いいか、死んだらアカン!こんなん、間違っとるでぇ!エエから黙って、あたしらに任せな!」

そう叫んだ女の人のずっと後ろで、男の人が「あたし、ら?ら!?」と帽子を押さえてしゃがみ込むのが見えた。
女の人は弁護士さんで、男の人は探偵さん。海から引き揚げられたあたしちは、この人たちに救われることになった。ただ同然で弁護を引き受けた女の人と、あることないことマスコミにリ-クしまくった男の人のおかげで、控訴審で父は有罪に。あたしたちは町を離れ、別の場所で生活することができた。


那奈詩音ななしおん

これは、逃げ込んだこの街で新しい生活を始めるに当たって付けられた名前だった。

名無し。

二度とあの男に見つかりませんように。

疲れ果てた私たちが選んだ、それがこの名前だった。
母の名は、信乃しの
那奈信乃ななしの、なんて、悪い冗談のような名前だが、私たちは自ら選んだこの名前を気に入っていた。

母は働き、私は必死になって自分を鍛えた。
震えるだけで何もできなかったあの時、私の代わりに傷付いた人たちの事を、今度は私が守れるように。

始めは全くついていけずダントツの落ちこぼれだった私に、師匠は粘り強く、根気よく手ほどきをしてくれた。
師匠のおかげもあって、今は師範代の御役目を頂き、小さい子や初心者の面倒を見ている。

アルバイト代を出そう、と言われた時は断ったが、押し切られた。
バイト禁止の学校だったが、師匠が学校と母に直談判して許可をもらったのだ。
有難く家の収入に当てさせてもらっている。
師匠には、本当に頭が上がらない。

決して広くない、しかし、愛すべき私たち家族のアパートの扉を閉め、鉄製の外階段をできるだけ音を立てずに降りていった。

~♪

軽くストレッチをしていると、リュックからメロディが流れる。

どきり、とした。
これは師匠からの着信音だ。

詩音は慌ててリュックを開け、中からシンプルなカバーに入ったスマートフォンを取り出した。
画面には師匠、の文字が浮かんでいる。
応答を押し、耳に押し当てた。

「もしもし、詩音です!師匠、無事ですか!?」

無言。

いや・・・・
微かに、何か聞こえる。

「師匠?師匠、大丈夫ですか!」

遠くにではあるが、衣擦れのような音が一定のリズムで聞こえてくる。
それに合わせて、くぐもった声と、激しい息づかいのようなものも。
詩音はアパートの塀の内側にしゃがみ、耳を済ませた。

ネチャッ...ネチャッ...ネチャッ..、グチッ、グチッ..
『ア゛ッ゛❤️...ン..もォ、ヤ..ムウッ!..オォンッ!..』

「・・・・?」
一旦耳から外し、通話ボリュームを最大に上げる。


グチュッ、コリッ、コリッ...ズルズルズル、ドチュウッ!ズルウッ、ズボォッ...ジュボッ!ネチャッ、ネチャッ、ネチャッ、ネチャッ

『ひぃいいい❤️、しっ、信じられんっ・・❤️わ、私がっ、こ、このよぉなぁ・・・❤️あ゛ッあ゛ッあ゛ッ!?❤️ソコ、ソコは不浄のおぉオ゛っ!❤️おひイぃッ、来るッ!ど、同時にぃ❤️それまたっ、ア゛っ!そうされるとだめイク!また、は、果てるッ!!❤️ひぃいい、イキ果てるうゥッ!!❤️・!・・!!・・・ンむッ!❤️アッ!❤️キャホぉンッ!❤️❤️』

音が割れ、雑音交じりに聞こえる女の声。
詩音は思わずスマホから耳を離した。

一体、何が起こっているのか。

どうやら、電話の向こうには複数の人間が居るらしい。
このスマホは、誰がかけているのだろうか。
何故、詩音にかけてきたのか?

「もしもし!?ねぇ、あなた誰?さすがに杜君じゃないでしょう!?師匠に何したの!ねえ!」

小さな笑い声が聞こえ、スマホを持った人物が立ち上がるのが解る。
それは数歩歩いて音源に近づき、急にボリュウムが上がった。

『어때, 기분인가?』
『Good, I'll squeeze my anus well』

『い゛っだッ!もう、い゛っだのにいィ❤️ヒィ、肛門!どうしてっ、ここが気持ちイイん、だぁッ!❤️お゛ッ お゛ッお゛ッ!オ゛ーーーーー出し入れしながら、クリ、クリいいッ!❤️すごオっ、しっ、知らぬッ!このような、初めてだッ!❤️いぐっ!狂うッ!こ、こんな・・・!ううむっ、頼む、これ以上は・・・ん゛む゛うっ❤️それぇ、それイヤあッ!薬・・・!ひぃ、来る来る来るッ、薬ッ、キタッ❤️回るぅ!!❤️あわわわわ、お薬凄イいッ❤️私は、シャアワセだああぁ!❤️イヒヒィッ!❤️むぅっ、お、おい貴様ッ、まさか、また同時に・・!❤️おのれェッ!ひ、卑怯だ、こんなチンポッ!❤️お゛お゛お゛ンッ❤️の、野太いいイッ!!信じられん、こんな、ンホオォ!届くゥ!突かれるウッ!❤️私の、お、子宮オンナが、つ、突き崩されるうッ!❤️モリチンポスゴいいッ!イク、イかされるッ!征服されるう!ヒィ、イボイボ、凄すぎるッ!つ、強いッ!❤️いくいくいくいくうっ、ガキチンポで果て狂うう゛う゛う゛っ❤️❤️むごおっ!?』

「へへ、オラ、歯ぁたてんナよっ!」

ぷつり、と通話は途切れた。

詩音はその場に尻餅をつき、切れたスマホを呆然と見つめる。
酷く頭が混乱して、どうして良いのか解らない。

半泣きになって息も絶え絶えに叫ぶ女の声、あれは・・・

はっ、と気を取り直し立ち上がると、詩音は道場に向かって走り始める。
ロードワークと言うよりダッシュの繰り返しに近かったが、居ても立ってもいられなかった。

走りながら、全身を悪寒が走る。
それは大切なものが自分から奪われていく、あの感覚。

性に疎い、と言うより、過去の経験から性的な情報を避けてきた詩音であったが、電話の向こうで師匠に対して行われているであろう忌まわしい行為に思いが及び、吐き気と怒りが込み上げる。

過去の自分を重ねているのかもしれないが、決して許される行為ではない。
あんな、無理矢理・・・。

詩音の走るペースが落ち、荒い息をつきながら早足で歩く。

・・・無理矢理?

電話の向こうで鳴く女の声が詩音の耳に甦る。

『すごオっ、いぐっ!狂うッ!こ、この様な・・・ぁ❤️ん゛む゛うっ、イク!❤️』

あれは、無理矢理に出している声だったろうか・・・。

声は、間違いなく師匠のものだった。

でもあんな、甘え、媚びきった・・・・いや。
詩音は自分の頭に浮かんだ考えを振り払う。

私の憧れのあの人、私と光一を死の危機から助け出してくれた師匠が、簡単に屈するはずがない。
全くの運動音痴だった私を見捨てず、ここまでにしてくれた。
空手の実力も、人間的にもあれほどの人は見たことがない。
きっと、今この瞬間にも闘い続けているに違いないのだ。

私が行って何が出来るかは解らないが、もう、大切なものを失うのだけは御免だ。
詩音は再びペースを上げて走り始めた。

~♪
その矢先、またしてもスマホが鳴る。
師匠の着信音だった。

後十分も走れば道場に着く。
一瞬戸惑ったが、小走りになりながらリュックからスマホを取り出し、応答ボタンを押した。

「はぁ、はぁ、師匠!頑張ってください、もうすぐ、着きますから!」

電話の向こうから、複数の男が何かを話す声がした。

「もしもし!?誰、まさか杜君たちなの!?悪戯は許さないよ!」

悪戯、という言葉に、電話の向こうでは大きな笑いが起こった。

『이봐, 무슨 말을 줘라』

どこの言葉なの・・?
詩音が立ち止まる。

『ひぃ、あへぇ❤️無理、無理ぃ、このよう、なぁ❤️女、チンポぉ、勝てる、訳、ないぃ❤️』

直後、ばちいん、と言う強く肌を打つ音が響いた。

『んひぃ、イいいっ!❤️』
『네가 가장 소중한 것은 뭐야?』

続けざまに何かを叩く音が鳴った。

『자, 말!』
『ち、ちんぽおおお゛オ゛ッ❤️私はッ!あひぃ、もうダメだぁ❤️敗け、敗けたッ!❤️一晩中、躾け、られてッ!はヒィ、そ、そうだッ!征服されたぁ❤️もはや私、はぁ、おっお薬とチンポッ!無くしてぇ、生きて、ゆけぬううっ!!❤️ひゃああ、打ってッ❤️ンヒぃ、ハメてぇッ!❤️全力で絞めてもっ❤️跳ね返されてぇ、こじ開けられるんだぁ❤️それが、たっ、たまらん❤️恐ろしいっ・・!貴様は、子供などではない、オス、オスだっ!❤️勝てぬっ❤️メスが、このぉ、ぶっといイボ付きデカチンポのオスに、勝てるわけ・・・オ゛オ゛オ゛、キタキタキタあッ!キイ―――ッ!❤️き、効くうッ!!❤️たっ、たまらぬうううッ!!❤️そコぉ!子宮ポルチオぉ、突きまくってくれえェ!❤️アッひいぃ、最高だっ❤️ぎも゛ぢ、いいいイイ!出してッ!理香子に膣内射精なかだし、極めてエぇぇ!!卑怯で強いオス精子、理香子にちょうだいッ!お゛お゛お゛お゛ッ!!果てる!おっ果゜てるううううッ!!❤️』

ぷつり、と通話が途切れた。

薬・・・。
詩音はとりあえず何も考えないことにして、リュックを背負って走った。

「師匠・・・!」
荒く息をつきながら、道場の前に到着する詩音。
壊れた扉は昨夜のままで畳に破片が散らばっており、片付ける余裕も無かったようだ。
電気はついておらず、初夏の朝日が扉から差し込んでいる以外中は真っ暗だ。
詩音は大きく深呼吸をし、靴を脱いで道場へと足を踏み入れた。

畳の上は散らばった扉の破片と、土足で上がり込んで来た杜らの足跡で汚れていた。
・・・あの、巨漢の外国人二人組と、師匠は戦ったのだろうか。
師匠が負けるとは思えないが、昨日の夜の様子では何か師匠は弱みを握られている様だった。

扉と雨戸をすべて開け、道場を光で満たす。とりあえず道場は無事で、壊れた扉以外に変わった様子はない。
慎重に道場の奥へと進み、更衣室、シャワー室と確認するが、誰も居ない。

道場の一番奥、師匠宅へと続く渡り廊下への扉が、僅かに開いて風に揺れている。

そっと手をかけ一気に開くが、光の指す渡り廊下にも誰も居ない。
そのまま進み、自宅への入り口の扉に耳を当てて中の様子を伺う。

・・・微かに、うめき声のようなものが聞こえる。
気配は一人分。
理香子に違いない。

「師匠!詩音です、大丈夫ですか!?」

詩音は扉を開けて、中に声をかける。
返事はないが、突き当たりの寝室から声と、何か金属音の様な音が聞こえた。
「あそこか・・!」
駆け寄って、迷わず襖を開く。

「失礼します!ししょ・・ううっ!」

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