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第拾壱話-仲間
仲間-3
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「という話になりました」
燐は昨晩、警視庁で話し合った結果を長四郎に報告した。
「あ、そう」つれない返事をしながら、燐が持ち帰ってきた捜査資料をパラパラとめくる。
「その態度はないんじゃない? 少しは、私の努力に感謝しなさいよ」
「あ~美味しいヤミー感謝感謝またいっぱい食べたいなデリシャシャシャシャシャシャハッピースマイル!」
「遂に、頭おかしくなったか・・・・・・・」
燐は憐れんだ目で長四郎を見ながら頭を撫でる。
「やってみて分かった。人間に会わないことをするもんじゃないって」
長四郎は俯いたまま途轍もない後悔に苛まれる。
「それで、会長さんは今、何しているの?」
燐が夏月産業に来た時には、長四郎の姿しかなかったのだ。
「会議中」
長四郎はそれだけ答えると、再び捜査資料に目を通し始める。
「そう」
燐は待っているだけでは退屈なので、会社内を一人散策する事にした。
廊下をふらふらと歩いていると、台車に弁当を積み上げた業者とすれ違う。
その業者は弁当屋の制服を着てはいるが、髪は赤や緑などカラフルに染め上げ耳や鼻にピアスを開けている如何にもな感じの青年であった。
だが、燐は気に留めることもせず散策を続けていると、給湯室から何やら話し声が聞こえてきた。
「徹田さんが殺されたのに、会長が関わっているって話本当なんですか?」
「ちょっと、その話は緘口令敷かれているの! もう話しちゃダメよ」
そんな会話を盗み聞きした燐はしたり顔で長四郎の元へと急いで戻っていく。
「ねぇ、面白いこと聞いちゃった」戻って来るや否や長四郎にそう話しかける燐に長四郎は「そいつは良かったね」とスマホに目を落としながら返事する。
「もしかして、怒ってる?」
「怒ってますよ。勝手に依頼引き受けて映画見れなかったじゃん!!」
「仕事なんだから我慢しなさいよ」
「限定上映の映画だったのに・・・・・・」頬を膨らませながらむくれる長四郎。
その時、長四郎達の前に一人の女性が近づいてきて声を掛けてきた。
「あの、宜しいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
そう用件を尋ねる長四郎の顔に笑みが戻る。
「長部さんが依頼された探偵さんで間違いないでしょうか?」
「ええ、会ってますよ。探偵の熱海です。宜しくどうぞ」
直ぐに名刺を取り出し、女性に渡す。
「あ、頂戴致します。私、夏月会長の秘書を務めております、星野 静と申します」
静は長四郎と燐に名刺を渡す。
「この度は、依頼を引き受けて下さり誠にありがとうございます」
「いえいえ、全力で会長をお守りすると共に犯人を特定しますよ」
長四郎はそう言って、ガッツポーズを取る。
「ぷっ」そんな長四郎を見て、静は思わず笑ってしまう。
「バカっ! 何してんのよ。恥ずかしい。すいません」
燐は長四郎の頭を押さえつけて謝罪する。
「いえ、気にしないでください。それより、役員の徹田についてお話したいことが」
「お聞きしましょう」
長四郎達は、会議室の近くになる自販機コーナーに移動し、静の話を聞く。
「会長には聞かれたらまずい話ですか?」長四郎が話を切り出すと「はい、その通りです」そう答える静。
「徹田さんの事件に会長が関わっていて、その事について会社内で緘口令を敷かれているんですよね」
「どうして、分かったんですか?」
静は驚いた顔で燐に尋ねる。
「とある筋からの情報です」
燐はドヤ顔で答えるのだが、長四郎はそれを見て盗み聞きしてきただけだろと心の中で呟く。
「じゃあ、話は早いです。実は徹田さんが殺されてからというもの社内に会長が関わっているという噂が一気に広まりまして、今の会議もその話が議題に上がっているんです」
「成程。もしかして、静さんは社内に徹田さんを殺した犯人がその噂を流しているとお考えですか?」
静は長四郎の質問に「はい」と答えて頷く。
「じゃあ、会長を陥れようとする何者かが今回の事件の犯人って事ね」
「そんな事はさ、ここに居る大人二人、分かっているからドヤ顔で言う必要ないよ」
「余計な事を喋ったみたいで、悪かったわねぇ~」燐は長四郎の耳を引っ張る。
「すいません、すいません。お許しを」
長四郎は涙を流しながら、許しを乞うのだった。
30分後、会議を終えた夏月会長が会議室から出てきたので警護人と共に出迎える長四郎と燐、静。
「お疲れ様でした」静が夏月会長にそう言うと「居たのか。次の予定は?」それだけ言い警護人を引き連れて歩き出す。
「はい。これから、園崎ファクトリーの社長と会食です」
夏月会長の横柄な態度をものともせず、静は次の予定を淡々と伝える。
「なんか、凄いね」燐は小声で隣を歩く長四郎に話しかける。
「それが、秘書って仕事なんだろうよ」
「そうなの?」
「そうだろ。横柄なジジィの戯言に文句一つ言わずに従うのが大人ってもんだ」
長四郎は夏月会長にも聞こえるように言うと、夏月会長は立ち止まり最後尾を歩く長四郎の所に近づきこう言った。
「若造。口の利き方には気をつけろよ」長四郎をぎろっと睨みつける。
「きゃあ~怖い!!」長四郎はオネエ声で叫ぶ。
そんな長四郎を見て、その場に居た全員が大きい溜息をつくのであった。
燐は昨晩、警視庁で話し合った結果を長四郎に報告した。
「あ、そう」つれない返事をしながら、燐が持ち帰ってきた捜査資料をパラパラとめくる。
「その態度はないんじゃない? 少しは、私の努力に感謝しなさいよ」
「あ~美味しいヤミー感謝感謝またいっぱい食べたいなデリシャシャシャシャシャシャハッピースマイル!」
「遂に、頭おかしくなったか・・・・・・・」
燐は憐れんだ目で長四郎を見ながら頭を撫でる。
「やってみて分かった。人間に会わないことをするもんじゃないって」
長四郎は俯いたまま途轍もない後悔に苛まれる。
「それで、会長さんは今、何しているの?」
燐が夏月産業に来た時には、長四郎の姿しかなかったのだ。
「会議中」
長四郎はそれだけ答えると、再び捜査資料に目を通し始める。
「そう」
燐は待っているだけでは退屈なので、会社内を一人散策する事にした。
廊下をふらふらと歩いていると、台車に弁当を積み上げた業者とすれ違う。
その業者は弁当屋の制服を着てはいるが、髪は赤や緑などカラフルに染め上げ耳や鼻にピアスを開けている如何にもな感じの青年であった。
だが、燐は気に留めることもせず散策を続けていると、給湯室から何やら話し声が聞こえてきた。
「徹田さんが殺されたのに、会長が関わっているって話本当なんですか?」
「ちょっと、その話は緘口令敷かれているの! もう話しちゃダメよ」
そんな会話を盗み聞きした燐はしたり顔で長四郎の元へと急いで戻っていく。
「ねぇ、面白いこと聞いちゃった」戻って来るや否や長四郎にそう話しかける燐に長四郎は「そいつは良かったね」とスマホに目を落としながら返事する。
「もしかして、怒ってる?」
「怒ってますよ。勝手に依頼引き受けて映画見れなかったじゃん!!」
「仕事なんだから我慢しなさいよ」
「限定上映の映画だったのに・・・・・・」頬を膨らませながらむくれる長四郎。
その時、長四郎達の前に一人の女性が近づいてきて声を掛けてきた。
「あの、宜しいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
そう用件を尋ねる長四郎の顔に笑みが戻る。
「長部さんが依頼された探偵さんで間違いないでしょうか?」
「ええ、会ってますよ。探偵の熱海です。宜しくどうぞ」
直ぐに名刺を取り出し、女性に渡す。
「あ、頂戴致します。私、夏月会長の秘書を務めております、星野 静と申します」
静は長四郎と燐に名刺を渡す。
「この度は、依頼を引き受けて下さり誠にありがとうございます」
「いえいえ、全力で会長をお守りすると共に犯人を特定しますよ」
長四郎はそう言って、ガッツポーズを取る。
「ぷっ」そんな長四郎を見て、静は思わず笑ってしまう。
「バカっ! 何してんのよ。恥ずかしい。すいません」
燐は長四郎の頭を押さえつけて謝罪する。
「いえ、気にしないでください。それより、役員の徹田についてお話したいことが」
「お聞きしましょう」
長四郎達は、会議室の近くになる自販機コーナーに移動し、静の話を聞く。
「会長には聞かれたらまずい話ですか?」長四郎が話を切り出すと「はい、その通りです」そう答える静。
「徹田さんの事件に会長が関わっていて、その事について会社内で緘口令を敷かれているんですよね」
「どうして、分かったんですか?」
静は驚いた顔で燐に尋ねる。
「とある筋からの情報です」
燐はドヤ顔で答えるのだが、長四郎はそれを見て盗み聞きしてきただけだろと心の中で呟く。
「じゃあ、話は早いです。実は徹田さんが殺されてからというもの社内に会長が関わっているという噂が一気に広まりまして、今の会議もその話が議題に上がっているんです」
「成程。もしかして、静さんは社内に徹田さんを殺した犯人がその噂を流しているとお考えですか?」
静は長四郎の質問に「はい」と答えて頷く。
「じゃあ、会長を陥れようとする何者かが今回の事件の犯人って事ね」
「そんな事はさ、ここに居る大人二人、分かっているからドヤ顔で言う必要ないよ」
「余計な事を喋ったみたいで、悪かったわねぇ~」燐は長四郎の耳を引っ張る。
「すいません、すいません。お許しを」
長四郎は涙を流しながら、許しを乞うのだった。
30分後、会議を終えた夏月会長が会議室から出てきたので警護人と共に出迎える長四郎と燐、静。
「お疲れ様でした」静が夏月会長にそう言うと「居たのか。次の予定は?」それだけ言い警護人を引き連れて歩き出す。
「はい。これから、園崎ファクトリーの社長と会食です」
夏月会長の横柄な態度をものともせず、静は次の予定を淡々と伝える。
「なんか、凄いね」燐は小声で隣を歩く長四郎に話しかける。
「それが、秘書って仕事なんだろうよ」
「そうなの?」
「そうだろ。横柄なジジィの戯言に文句一つ言わずに従うのが大人ってもんだ」
長四郎は夏月会長にも聞こえるように言うと、夏月会長は立ち止まり最後尾を歩く長四郎の所に近づきこう言った。
「若造。口の利き方には気をつけろよ」長四郎をぎろっと睨みつける。
「きゃあ~怖い!!」長四郎はオネエ声で叫ぶ。
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