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第拾弐話-監禁

監禁-8

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「次のミッションが来たぞぉ~」
 長四郎はUZAKAWAからのメッセージが来たことを伝えると燐はふさぎ込んでおり、絢巡査長は齋藤刑事に返信を打ち込んでいた。
「ま、良いか」長四郎はスマホに目を落とす。
 今度のミッション内容は、怪文の解読であった。
 制限時間は2時間、今回もまた制限時間内に解読しなければ一川警部の身体は木っ端みじんとなる。
「怪文は、郵便ポストの中か」
 長四郎は玄関横にあるポストに移動し、中に入っている怪文が書かれた紙を受け取るとすぐさま事務所に戻る。
「何、その紙」
 立ち直った燐がすぐさま長四郎に質問する。
「これを解読しろってのが次のお達し」長四郎はそう答え、怪文が書かれた紙を応接用のテーブルに投げ置く。
「これ、どういう意味何だろ?」
 燐は頬杖をつきながら、紙に書いてある内容を解読しようとする。

 か ぞ く の ふ ぅ ー し ょ う こ い ん め つ い ら く だ

 こ の ま ま じ ゃ ら め ら い そ い で や め ろ お き る

 べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ べ ん と

 だ っ し ゅ つ し て た た ろ ろ の あ じ ゃ が ー ま ん

 お れ を な に を す る と ぅ ー ふ ぅ ー を も の ま ね

 か み も お そ れ ぬ あ く ま の お た で か い ぞ う し

 ひ で お さ ん と せ い ぎ ょ ま ず い え い が は さ い

 は や ま る で し ょ う た の し み だ な は に く ん で

 そ う い わ れ て も い っ た ん ひ く ぞ え え で す ね

 わ が い の ち を か け て さ っ き の ひ ろ み ん だ わ

 こ れ で お わ り だ も う す ぐ かん さ せ い す ざ く
 
 て ん さ い て き ず の う の ま え に み か ん が な い

 これらの文字が羅列してあった怪文だった。
「あ~ダメ。意味わからなすぎ」
「そうねぇ~」返信を終えた絢巡査長も怪文を読みながら、燐の言葉に同意する。
「モブ刑事は何て言ってきたの?」
 長四郎は齋藤刑事の報告してきた内容を絢巡査長に聞く。
「あ、二重の線は限りなく低いそうです」
「なんで?」
「齋藤君は今、二重の職場に行って二重が居る事や職場の評判からそう判断したらしいんです」
「判断かぁ~」
「そんな事より、これ解読しないと一川さんが危ないじゃん」
 燐に諭される長四郎だったが、そんなのお構いなしといった感じで怪文の解読より齋藤刑事の報告について考える。
「無視かよ」
 燐はツッコミを入れながら必死に怪文の意味を考える。
「ラモちゃん。この類ってさ、文字を抜いたらちゃんとした文になるんじゃない?」
「あ、そうか!!!」
 絢巡査長の提案に燐はすぐさまその作業に取り掛かる。
「ねぇ、ホントに居たの? 二重は」
「そうと聞いてますけど。自分で聞いたら良いじゃないですか?」
 絢巡査長は齋藤刑事に通話するよう設定した自分のスマホを長四郎に渡し、燐の作業を手伝う。
「あ、もしもし? モブ刑事。今、大丈夫」
「大丈夫ですけど」そう答える齋藤刑事の声色からして、めんどくさい奴と話をすることになったといった感じだった。
「二重本人と会った?」
「ええ、会いましたよ。変わった所もありませんでしたし」
「職場の評判も良いんでしょ? 絢巡査長からそう聞いた」
「はい、そうですよ」
「ふーん。二重の職場って何だっけ?」
「大手通販サイトと契約している中小の配送会社です」
「配送会社って事は、空き倉庫とかに詳しくてもおかしくはないか」
「どういう意味です?」
「いや、何でもない」そう言われても気になる物言いに齋藤刑事はムッとする。
「もう良いですか?」
「あ、最後にもう一つだけ。二重は配達員か?」
「いえ、事務員です」
「事務員か・・・・・・・分かった。ありがとう、チュッ」
 長四郎は空に向かってキスをして通話を切った。
「キモッ」真っ先に反応したのは燐だった。
「失礼しちゃうわ。この小娘っ!!」
 長四郎が憤慨していると「長さん、そんなの良いですから。こっちを手伝ってください」絢巡査長に注意される。
 長四郎は机に目を向けると、二人が試行錯誤した結果のメモ紙がたくさん置かれていた。
「二人共、まだ分からないの? 全く困った子達だ」
「えっ! あんたもう分かったの?」
「分かったのって言うか、最初に目を通したときにね」
「だったら、最初に言いなさいよ」燐は長四郎の腹に拳を入れる。
「グホッ!!」
 薄れゆく意識の中、長四郎の脳裏に次のナレーションが流れてきた。
 さぁ~て、次回の「探偵は女子高生と共にやって来る。」は~
 長四郎、怪文を解読する。
 燐、不登校YouTuberになる。
 絢巡査長、一川警部を見殺しにするの三本です。
 明日も読んで下さいね。じゃ~んけん
「ポン!!!」
 絢巡査長蹴りを受け華麗に吹っ飛ぶ長四郎であった。

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