探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾肆話-希望

希望-7

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 空港からの退去を命じられた長四郎と燐は今、羽田空港第2ターミナルへと来ていた。
「ねぇ、こんな所に居て良いの?」
 燐は辺りをキョロキョロと見回しながら、ターミナルを歩く。
「居て良いの。そんな挙動不審でいると職質に会うぞ」
「そうだね」
 燐は真っ直ぐ前を向き、長四郎に付いて行く。
「どこに向かってんの?」
「知らん」
「知らん。じゃないでしょ。説明しなさいよ」
「例の物がここにも仕掛けられているんじゃないかなぁ~と思って」
「確かにそうだけど。どうやって探すの?」
「それは・・・・・・分からん!」
「またそれぇ~」燐は呆れたといった顔で長四郎を見る。
「ラモちゃん。あそこのトイレ、探してきて」
「なんで、あそこなの?」
 長四郎が指差しているトイレは人流が多いトイレで、男性より女性の出入りが多いトイレであった。
「何でもいいから、女子トイレの方を宜しく。ああ、それとタンクがないタイプだろうから清掃用具室を確認してね」
 長四郎はそう言ってウインクし、男子トイレへと入って行った。
「もうっ、自分勝手なんだから!!」
 燐もまた女子トイレの中へと入って行った。
 女子トイレの個室は満室で、1人待っている状態であった。
 長四郎の指示を実行するため燐は清掃用具室の戸を開け、中を確認する。
「あった!!」
 思わず声を上げてしまい慌てて口を抑える燐の視線の先には、スロップシンクの中にSUITOが横倒して置かれていた。
 燐はすぐ様、清掃用具室の戸を閉め、長四郎にメッセージを送る。
 すると、即返事が来た。「撤退」の二文字で。
 燐は何もなかったかのように平然を装い、清掃用具室から出てその場を後にした。
 トイレから少し離れた所に長四郎がロビーを歩く乗客やそれに付随する客を監視していた。
「お待たせ」燐がそう声を掛けると、長四郎は我に返ったような感じで燐を見る。
「あったんだって?」
「うん。これが写真」
 燐はスマホに収めた現場写真を見せる。
「あーホントにあったんだ」
「もしかして、勘で当てたわけ?」
「8割勘、残りの2割が考えに基づく行動かな?」
「何それ。ちゃんと、説明しなさいよ」
「最初に発見したプランターがあった場所を思い出してみ」
 長四郎にそう言われ、燐はプランター周辺の情景を思い起こす。
「特に変わった所はなかったけど。しいて言うなら、人が多かった」
「その通り。ラモちゃんが新年を迎え賢くなってくれて、おじさん嬉しい!!」
 長四郎は涙を拭うジェスチャーをした瞬間、燐の肘うちが溝尾に入る。
「グゲッ!」
「子芝居はいらないから、話を続けな」
「はい。それで、先程のトイレも人流が多いでしょう」
「そうね」
「つまり、アレは人流が多い場所に仕掛けなくてはならないって事。で、あのトイレはこの第2ターミナルでTOP3も入るぐらい人の出入りするトイレと踏んで調べて貰ったら、案の定あったって訳」
「成程。でも、普通は調べるわよね?」
「調べるけど。今日は元旦。警察も至る所で年始の警戒任務にあたっていて人出が少ない。ラモちゃんも見たろ? 警備室に集まっていた警察官の殆どが男性だったことに」
 長四郎にそう言われた燐は自分がそこまで意識していなかったのと、確かに女性警察官の数が絢巡査長を含めて5人程しか居なかった事を思い出した。
「確かにそうだったけど、でも、あれは第1ターミナルの空港警察や集められた警察官達でしょ。第2ターミナルは別じゃ」
「ラモちゃんの仰る通りではあるが、多分ここに集めても同じぐらいの人数しかいないはずだぜ。一応、第1ターミナルであんなことが起こっているから警戒はしているだろうけど通常任務と並行でしなければならないから、空港の隅々まで調べるという訳にはいかないだろうな」
「じゃあ、犯人グループはその隙をついているって事?」
「そうなるな」
「ヤバイじゃん」
「ヤバイよぉー」
「どうするの?」
「どうするって。追い出された身だからなぁ~」
 腕を組み、天井を見上げる長四郎。
「ちょっと、君達。ここで何しているの?」
 警戒中の制服警察官が長四郎と燐に声を掛ける。
 2人は顔を見合わせてニヤリと笑い、声を揃えてこう言うのだった。
『ラッキー』と。
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