231 / 425
第拾肆話-希望
希望-14
しおりを挟む
一川警部と絢巡査長は血相をかいた顔で、大会議室へと入っていく。
「大変です!」
「何があったんだ」
森林管理官は、話しかけてきた絢巡査長に報告を求める。
「実は、私達が捜索していた隠し場所に何ですがSUITOはありませんでした」
「何!? どういう事だっ!!」
森林管理官は情報を聞き出した旭を見ると「そ、そんなはずは」とうろたえる旭。
「でも、本当なんです。それと、私達が捕まえた構成員の男も逃亡したという連絡が入りました」
「そんな報告を受けていないぞ」
「現場も混乱しているので、報告が遅れたんでしょう」
一川警部が理由を説明する。
「そんな事は関係ない!」
「怒っている暇はないかと思いますけど。旭君、高倉さんが呼んどったけん。向かった方がええやないと」
「場所はどこです?」少し不服そうにする旭に「第2ターミナルにおる言うとったよ」と一川警部は平然と答えると旭は舌打ちをして大会議室から去って行った。
「それより、お前達も捜索に出んか!」
森林管理官にそう言われた一川警部と絢巡査長はニヤっと笑うのであった。
その頃、第1ターミナル、第2ターミナル、第3ターミナルにあるアナウンスが流れる。
「愛知県名古屋市からお越しの宇野 正樹君、5歳の保護者の方。迷子センターで正樹君を預かっております。至急、迷子センターへとお越しください」
そのアナウンスが流れている事を知らない旭は、第2ターミナルへと向かうバスに揺られていた。
高倉は第1ターミナルで、警視庁の捜査員を探していた。
数分前から、捜査員が見当たらないのだ。
「どこに行ったんだ? あいつら」
そう呟いていると、トントンと肩を叩かれる。
振り向くと、長四郎と燐がニコニコ笑顔で立っていた。
「お前達、まだ居たのか!」
「居るよ。事件解決していないんだもん」
「そうそう」燐も長四郎の言葉に同意する。
「もう解決する」
「それはどうすかね? 一川警部達が捜索した箇所にSUITOはなかったみたいですしね」
「そんな事、聞いていないぞ」
「まぁ、言っていないから。んな事よりさ、旭って人について聞きたいんだけど」
「旭についてだと?」
「そうだす。公安に入るまでの経歴とか、いつからサクル・オリオ・クラウの捜査をしているのかとか、当たり障りのない範囲で構わないから」
渋る高倉に燐は「早く答えなさいよっ」と急かす。
「奴が配属されたのは、3年前だ。配属までの経緯は分からん。配属された時から、俺と共にサクル・オリオ・クラウの調査を行っていた」
「じゃあ、高倉さんとずっとサクル・オリオ・クラウを追っていたんだ」
「そうだ」
「成程。分かった。最後に一つだけ聞いて良いか?」
「何だ?」
「旭が連れ出した天走は、今どこに居るか聞いたか?」
「いや、聞いていないな」
「そうか・・・・・・・」
長四郎は暫く無言の長考の後、口を開く。
「なぁ、羽田空港って共用の冷凍庫ってあったっけ?」
「確かったはずだが、それがどうした?」
「高倉さん、そこへ向かってくれ。そこに天走が居るかもしれない」
「どうしてそこなんだ?」
「人気もなく、時間をかけて殺せる最適な場所は」
「冷凍庫で凍死させる!」
「ラモちゃんの言う通り」
「納得はしていないが、殺されるのはマズい。お前の言葉に従って、向かおう」
「ありがとうございます」
長四郎の礼を聞く前に高倉は冷凍庫へと向かった。
「これから、どうするの?」
燐が質問した瞬間、長四郎のスマホに絢巡査長からメッセージが届く。
「旭を第2ターミナルへと誘導完了」と。
「ラモちゃん、第2ターミナルに行こう」
長四郎は燐にそう告げると、第2ターミナル行きのシャトルバス乗り場へ向けて歩き始めた。
「大変です!」
「何があったんだ」
森林管理官は、話しかけてきた絢巡査長に報告を求める。
「実は、私達が捜索していた隠し場所に何ですがSUITOはありませんでした」
「何!? どういう事だっ!!」
森林管理官は情報を聞き出した旭を見ると「そ、そんなはずは」とうろたえる旭。
「でも、本当なんです。それと、私達が捕まえた構成員の男も逃亡したという連絡が入りました」
「そんな報告を受けていないぞ」
「現場も混乱しているので、報告が遅れたんでしょう」
一川警部が理由を説明する。
「そんな事は関係ない!」
「怒っている暇はないかと思いますけど。旭君、高倉さんが呼んどったけん。向かった方がええやないと」
「場所はどこです?」少し不服そうにする旭に「第2ターミナルにおる言うとったよ」と一川警部は平然と答えると旭は舌打ちをして大会議室から去って行った。
「それより、お前達も捜索に出んか!」
森林管理官にそう言われた一川警部と絢巡査長はニヤっと笑うのであった。
その頃、第1ターミナル、第2ターミナル、第3ターミナルにあるアナウンスが流れる。
「愛知県名古屋市からお越しの宇野 正樹君、5歳の保護者の方。迷子センターで正樹君を預かっております。至急、迷子センターへとお越しください」
そのアナウンスが流れている事を知らない旭は、第2ターミナルへと向かうバスに揺られていた。
高倉は第1ターミナルで、警視庁の捜査員を探していた。
数分前から、捜査員が見当たらないのだ。
「どこに行ったんだ? あいつら」
そう呟いていると、トントンと肩を叩かれる。
振り向くと、長四郎と燐がニコニコ笑顔で立っていた。
「お前達、まだ居たのか!」
「居るよ。事件解決していないんだもん」
「そうそう」燐も長四郎の言葉に同意する。
「もう解決する」
「それはどうすかね? 一川警部達が捜索した箇所にSUITOはなかったみたいですしね」
「そんな事、聞いていないぞ」
「まぁ、言っていないから。んな事よりさ、旭って人について聞きたいんだけど」
「旭についてだと?」
「そうだす。公安に入るまでの経歴とか、いつからサクル・オリオ・クラウの捜査をしているのかとか、当たり障りのない範囲で構わないから」
渋る高倉に燐は「早く答えなさいよっ」と急かす。
「奴が配属されたのは、3年前だ。配属までの経緯は分からん。配属された時から、俺と共にサクル・オリオ・クラウの調査を行っていた」
「じゃあ、高倉さんとずっとサクル・オリオ・クラウを追っていたんだ」
「そうだ」
「成程。分かった。最後に一つだけ聞いて良いか?」
「何だ?」
「旭が連れ出した天走は、今どこに居るか聞いたか?」
「いや、聞いていないな」
「そうか・・・・・・・」
長四郎は暫く無言の長考の後、口を開く。
「なぁ、羽田空港って共用の冷凍庫ってあったっけ?」
「確かったはずだが、それがどうした?」
「高倉さん、そこへ向かってくれ。そこに天走が居るかもしれない」
「どうしてそこなんだ?」
「人気もなく、時間をかけて殺せる最適な場所は」
「冷凍庫で凍死させる!」
「ラモちゃんの言う通り」
「納得はしていないが、殺されるのはマズい。お前の言葉に従って、向かおう」
「ありがとうございます」
長四郎の礼を聞く前に高倉は冷凍庫へと向かった。
「これから、どうするの?」
燐が質問した瞬間、長四郎のスマホに絢巡査長からメッセージが届く。
「旭を第2ターミナルへと誘導完了」と。
「ラモちゃん、第2ターミナルに行こう」
長四郎は燐にそう告げると、第2ターミナル行きのシャトルバス乗り場へ向けて歩き始めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる