探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾伍話-異人

異人-4

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「行くわよ」
 ミシェルは長四郎にそう告げ、ビルに入ろうとする。
「待て待て」長四郎はミシェルの二の腕を掴み、ビルに入ろうとするのを止める。
「何故、止める!」
「いきなり、行っても白を切られるだけ」
「私は確たる証拠を持っているから、大丈夫よ!」
「いやいや、そういう事言う時は、大抵危ない時だから。ね? 言うこと聞いて相手の素行調査をしよう」
「いいや、私は行くわ!」
「どうして、こう俺の周りには言う事の聞かない女が群がってくるのかな」
 ミシェルに聞こえるか聞こえないか位の声でぼやいていると「君たち、ここで何をやっているの?」と若いアルバイトであろう男の警備員に声を掛けられた。
「いや、彼女が不倫している女性にガツンと文句を言ってやりたいと言って聞かないもので」
 長四郎は咄嗟にでたらめな事を警備員に伝える。
「あ、そう。でも、痴話喧嘩やるなら別の所でしてくれないかな?」
「そ、そうですよね。すいません。ほら、警備員の兄ちゃんもこう言っているんだ。行くぞ!!」
 ミシェルを何とかその場から引き離すことに成功した長四郎。
 商業ビルから少し離れた所に移動した長四郎とミシェルは、これからの作戦を練る。
「ったく。あんな事してくれちゃったから、対象の監視がやりにくくなったでしょ」
「そんなまどろっこしい事しなくても、あのビルに道前が居る事は分かっているんだからそのまま聞き込みすれば良いの! 邪魔しないでよ!!」
「邪魔ってねぇ~」
 息まくミシェルを見て、長四郎はただならぬ事情を感じ取るのだが、今は冷静さを失っているミシェルを宥めることが優先だと判断し話を続ける。
「良いか? ミシェル。今、あそこに行っても道前は居ないぞ」
「居ないってどういう事? 居ないのに私を連れて行ったの? 答えて!!」
 怒りのあまり長四郎に掴みかかり、理由を聞き出そうとするミシェル。
「いや、Facebookに今日は和歌山でクルージングだって投稿していたから」
「じゃあ、和歌山に行きましょう。案内して」
「ちょっと、どうした? 今から行っても鉢合う可能性は低い。だったら、会社にいつ東京に戻ってくるのか、聞き出せば良いんだよ」
「でも、数か月先だったら? 私のビザが切れちゃうじゃない。それじゃ、意味ない」
「分かってる。その場合は呼び出す口実を作ればよいんだよ」
「口実?」
「そ、Excuse。ラッキーな事に、道前は自分の取引先の社員の名前とかをFacebookに平気で投稿してくれるので」
「その取引先の社員の部下と偽ってスケジュールを聞き出すと共に、呼び出すことも可能!」
「That’s Right」
 長四郎は指パッチンをして、自分の考えを言い当てたミシェルの発言を肯定する。
「じゃあ、今すぐ行きましょう!」
 ミシェルがビルに向かって歩き始めるのを、再び長四郎に止められる。
「さっきの事で、警備員に顔を覚えられたから出直した方が良いよ」
「それはそうかもだけど。どうすれば、良いの?」
「そうだな。一度、着替えをして出直すか・・・・・・」
 長四郎はそう言いながら、真正面を見るとニヤリと笑った。
 ミシェルは不気味に思いながらも長四郎が見つめる先に視線を移すと、毎度の如く学校を抜け出してきたであろう制服姿の燐がそこに立っていた。
「どうやら、私の出番のようね」燐は2人にそう告げた。
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