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第拾伍話-異人
異人-22
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津崎逮捕から1週間後。
ミシェルがアメリカへ帰国する時がきた。
長四郎と燐は見送る為に、羽田空港へと来ていた。
「見送りまでしてくれるなんて。悪いわね」ミシェルは2人に感謝の意を述べる。
「いえ、こちらこそ。お役に立てなくて」
燐がそう言うのに対して、長四郎はミシェルの方ではなく空港ロビーを歩くキャビンアテンダントを見ていた。
「やっぱCAさんは奇麗だな。うん、綺麗だ」そう独り言を呟くと、「変態」の言葉と共に、燐に耳たぶを思いっきり引っ張られる。
パシャっ
その様子を写真に納めるミシェル。
「ちょっと、何撮っているんですか!」
「ごめん。ごめん。これ、日本に来ての依頼だから」
「依頼?」
まるで意味が分からんぞ。顔の燐に対して、長四郎はやられたといった顔をする。
「こっちの話だから気にしないで」
「いや、気になりますよ」
「ま、良いじゃないの。当分、日本に来れないんだから」
「そうだけど」
ミシェルは道前の部屋への不法侵入の罪で名目上、強制送還という形で国に帰ることになったのだ。
「じゃ、私行くね」
「はい。お達者で」燐はミシェルに握手を求めるとミシェルは笑顔でそれに答える。
「Bye. 長四郎、燐」
「Bye.」
燐も流暢な英語で返事をし、ミシェルが保安検査場に入って行こうとした時、「あ、ミシェル」と呼び止める長四郎。
「何? 引き留める気なの。だとしたら、無駄よ」
「んなわけないだろ。これ、持って行けよ」
長四郎が差し出しだしたのは、道前の部屋から回収した1冊ノート。
「これは?」
「道前の部屋から回収したノート。ホントはいけないんだろうけど、警察からの報酬ってことで、拝借してきた」
「長四郎も大胆な事するのね」
「ミシェルには、言われたくない」
「そう」
「ここに書いてあることは胸糞悪いことだらけだが、ま、読んでみたら分かるよ」
「あ、そ。機内で読ませて貰うわ」
ミシェルはノートを受け取り、長四郎の頬にKISSをする。
それを見た燐は「ひゃっ」と声を上げる。
「ああ、それとさ、あいつに「俺は元気にやってから、旦那と子供と幸せに暮らせよ」って言っといてくれ」
ミシェルは黙ったまま頷いて、保安検査場へと入って行った。
そして、長四郎と燐はミシェルの乗る飛行機を見送る為、展望デッキへ移動した。
「あいつって、誰の事?」燐は飛び立つ飛行機を見ながら率直な疑問をぶつけた。
「元カノ」
「あんた、彼女居たの?」
「そら、居るよ」
「へぇ~つらい恋を乗り越えて今に至るんだ」
「やかましいわ。青春真っ盛りの癖に彼氏が居ない女がよく言うよ」
「かっちーん」
燐は指をぽきぽきと鳴らしながら、長四郎にゆっくりと近づいていく。
「あ、おい。そろそろミシェルの飛行機が飛び立つぞ」
「そんな事、私が知るか!」
燐は長四郎に襲い掛かるのであった。
飛行機が飛び立ってから1時間が経過した頃、ミシェルは長四郎から貰ったノートに目を通し始める。
そこには、ミシェルの父を殺した際の事が事細かに書かれていた。
ミシェルは湧き上がる怒りを抑えながら読んでいく。最後の方に父のトム・ガルシアの遺言が書かれていた。
「ミシェル。今までありがとう。未来永劫、お前の事を愛している。勿論、妻も」
その一文を読んだミシェルの目から、大粒の涙が落ちる。
「パパのバカ」
そうぽつりとつ呟くミシェルを包み込むように、窓から綺麗な夕陽の光が照らすのであった。
第拾伍話・完
ミシェルがアメリカへ帰国する時がきた。
長四郎と燐は見送る為に、羽田空港へと来ていた。
「見送りまでしてくれるなんて。悪いわね」ミシェルは2人に感謝の意を述べる。
「いえ、こちらこそ。お役に立てなくて」
燐がそう言うのに対して、長四郎はミシェルの方ではなく空港ロビーを歩くキャビンアテンダントを見ていた。
「やっぱCAさんは奇麗だな。うん、綺麗だ」そう独り言を呟くと、「変態」の言葉と共に、燐に耳たぶを思いっきり引っ張られる。
パシャっ
その様子を写真に納めるミシェル。
「ちょっと、何撮っているんですか!」
「ごめん。ごめん。これ、日本に来ての依頼だから」
「依頼?」
まるで意味が分からんぞ。顔の燐に対して、長四郎はやられたといった顔をする。
「こっちの話だから気にしないで」
「いや、気になりますよ」
「ま、良いじゃないの。当分、日本に来れないんだから」
「そうだけど」
ミシェルは道前の部屋への不法侵入の罪で名目上、強制送還という形で国に帰ることになったのだ。
「じゃ、私行くね」
「はい。お達者で」燐はミシェルに握手を求めるとミシェルは笑顔でそれに答える。
「Bye. 長四郎、燐」
「Bye.」
燐も流暢な英語で返事をし、ミシェルが保安検査場に入って行こうとした時、「あ、ミシェル」と呼び止める長四郎。
「何? 引き留める気なの。だとしたら、無駄よ」
「んなわけないだろ。これ、持って行けよ」
長四郎が差し出しだしたのは、道前の部屋から回収した1冊ノート。
「これは?」
「道前の部屋から回収したノート。ホントはいけないんだろうけど、警察からの報酬ってことで、拝借してきた」
「長四郎も大胆な事するのね」
「ミシェルには、言われたくない」
「そう」
「ここに書いてあることは胸糞悪いことだらけだが、ま、読んでみたら分かるよ」
「あ、そ。機内で読ませて貰うわ」
ミシェルはノートを受け取り、長四郎の頬にKISSをする。
それを見た燐は「ひゃっ」と声を上げる。
「ああ、それとさ、あいつに「俺は元気にやってから、旦那と子供と幸せに暮らせよ」って言っといてくれ」
ミシェルは黙ったまま頷いて、保安検査場へと入って行った。
そして、長四郎と燐はミシェルの乗る飛行機を見送る為、展望デッキへ移動した。
「あいつって、誰の事?」燐は飛び立つ飛行機を見ながら率直な疑問をぶつけた。
「元カノ」
「あんた、彼女居たの?」
「そら、居るよ」
「へぇ~つらい恋を乗り越えて今に至るんだ」
「やかましいわ。青春真っ盛りの癖に彼氏が居ない女がよく言うよ」
「かっちーん」
燐は指をぽきぽきと鳴らしながら、長四郎にゆっくりと近づいていく。
「あ、おい。そろそろミシェルの飛行機が飛び立つぞ」
「そんな事、私が知るか!」
燐は長四郎に襲い掛かるのであった。
飛行機が飛び立ってから1時間が経過した頃、ミシェルは長四郎から貰ったノートに目を通し始める。
そこには、ミシェルの父を殺した際の事が事細かに書かれていた。
ミシェルは湧き上がる怒りを抑えながら読んでいく。最後の方に父のトム・ガルシアの遺言が書かれていた。
「ミシェル。今までありがとう。未来永劫、お前の事を愛している。勿論、妻も」
その一文を読んだミシェルの目から、大粒の涙が落ちる。
「パパのバカ」
そうぽつりとつ呟くミシェルを包み込むように、窓から綺麗な夕陽の光が照らすのであった。
第拾伍話・完
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