探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾漆話-彼氏

彼氏-12

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 長四郎はその後も円山美歩の部屋を隅の隅から、観察していく。
「長さん、何か分かった?」一川警部の問いかけに「何も分かりません」と答える長四郎。
「にしても、男が居た形跡がパンツだけって」
 絢巡査長はやれやれといった顔で、パンツを見る。
「そうだね。もしかして、事件当日に泊りに来てきたのかな?」
「その可能性はありますね」
「でも、近隣から男の声がしたとか言う証言はないんだよね?」
「いえ、事件当夜に争う声を聞いたという証言は得ているんですけど、何について争っていたかは不明です」
「でも、警察に通報する感じではなかったってことだよね?」
「そう言えば、そうなりますね」
「じゃあ、通り魔っていうのは無理になる訳か・・・・・・」
 一川警部が悔しそうな顔を浮かべる。
「普通は、そうなりますよね。でも、通り魔が知り合いだったら?」
「知り合い?」
「そうです。知り合いで不意を突いて殺害したっていうのはどうです?」
「それだと、争う声の意味が分かりませんよ」
「絢ちゃんの言う通りです」長四郎はそう言いながら、頭をペコペコと下げる。
「そろそろ長さんの真面目な見解が聞きたいんやけど」
「真面目な見解ですか?」
「そ。教えてくれんね」
「犯人は、日向じゃないですか? でも、決め手が無いんだよねぇ~」
 長四郎は何畑何三郎のモノマネをしながら答える。
「じゃあ、どうすると?」
「どうしましょうか? ま、このパンツについて本人に聞いてみるってのはどうです? まだ、聞き込みしていないんですよね?」
「そうですね。行きますか、一川さん」
 絢巡査長にそう言われた一川警部は「行きまひょ」と言うと、長四郎、絢巡査長と共に円山美歩の部屋を出て行くのであった。

 燐はリリを追いかけて事務所を出て行ったのだが、どこに行ったかも分からず街を散策していた。
「どこに行ったのよぉ~」
 燐は数分まえに送信したスマホの無料通話アプリのメッセージを確認する。
 だが、既読の表示はない。
「参ったなぁ~」燐はきょろきょろと辺りを見回して、何となくリリの姿を探すが都合よく見つかる訳もなく途方に暮れる。
「マジ、どうしよぉ~」
 取り敢えず、再度「今どこ?」とメッセージを送り再び歩き出した。
 歩きながら自分がリリならどうするかを考える。そうして、導き出した答えは彼氏の元へと向かうだった。
 すぐさま燐は行動を開始し、日向のマンションへと向かった。
 マンションの前に着くと、リリが涙を流しながらマンションから出てきた。
「リリ!」
 燐が駆け寄ると「燐・・・・・・」リリは必死に涙を拭くのだが涙は止まらない。寧ろ、酷くなっていく一方であった。
「ここじゃなんだから、河岸を変えよう」
 リリを連れて、近くのファミレスに場所を移した燐。
 ドリンクバーを注文し、2人分のオレンジジュースを持って席に戻ると、リリが机に突っ伏して泣いていた。
「何があったの?」燐は優しい口調で聞くと「浮気されてた」今にも消えそうな声でリリは答えた。
「浮気ね。じゃあ、女が居たんだ」
 燐のその言葉にコクリと頷くリリ。
「彼は居たの?」
「居なかった」
「そうか。それで、これからどうするの?」
「どうしたら良いの?」
「私に聞かれても」何とも無責任な発言をする燐は、オレンジジュースを飲む。
「私、これからどうすれば良いの?」
「知らないよ。大体、あんなチャラい奴にホイホイついて行くのが悪いのよ」
「・・・・・・」黙って突っ伏しているリリが怒っているのは、何となく雰囲気で分かった。
「怒っても仕方ないんじゃない。まぁ、次はさ、少しモテなさそうな陰キャみたいな彼にしたら。ド変態かもだけど、モテないから大事にしてくれるんじゃない?」
「それ、どこ情報?」突っ伏していた顔を上げ、燐に尋ねる。
「私、情報」
「適当な励ましだよね」
「うん。失恋の奴に何言っても傷口に塩塗るだけでしょ」
「それもそうね。ねぇ、お腹減ったからご飯食べて良い?」
「良いよ」
「ありがとう。燐の奢りだから、高いもん食べよぉ~」
 少し元気を取り戻したリリは、ハンバーグ、カレーライス、きつねうどん、ストロベリーパフェを注文した。
「あんた、そんなに食べられるの?」
「勿論。燐の友達だからね」
 燐は少しムッとしながら、自分もリリと同じ商品を注文するのだった。
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