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第弐拾話-展示

展示-8

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 一川警部と絢巡査長は、鑑識から今現在までに得た情報を聞いていた。
「死因は報告した通りの失血死。体内にかなりの血液が溜まっていました。そして、凶器なんですが日本刀で間違いないかと」
「日本刀。じゃあ、長さんの言うようにかなりの剣豪の犯行ですかね」
 絢巡査長は、隣で輝く頭をペチペチと叩く一川警部にそう尋ねると。
「あ、ごめん。別の事考えとったばい。何?」
「いや、何でもないです」
「あ、そ」
 一川警部はそう返事すると、再び自分の頭をペチペチと叩き始めた。
「続けても?」
「あ、どうぞ」
「被害者の傷口を見るからに、抵抗する暇もなく切られたのであろうと監察医から報告を受けました」
「抵抗する間もなく」
「はい。それと、僅からながらではありますが、被害者の血痕も現場周辺から検出されました」
 飛び散った血が少しあってもおかしくはないので、絢巡査長としては犯人に繋がる情報が欲しいので少し歯がゆい思いをしていた。
「それと、凶器の刀についてですが鋭意捜索中です」
「分かりました。ありがとうございました」
 絢巡査長は礼を言い、鑑識捜査員は自分の仕事へと戻っていった。
「ということでしたけど、どうしますか?」という絢巡査長の問いに一川警部は「あー長さんにお伺いを立てようか?」とだけ答えるのだった。

「で、何か思いついた?」
 燐は展示物を見学する長四郎にそう尋ねる。
「いや、何も。ただぁ~」
「ただ?」
「さっきの爺さんが気になってはいる」
「どうして?」
「いや、事件関係者でもないくせにやたらと被害者やこの博物館に詳しいから」
「それだけの理由で?」
「それと、あの職員のなんて言ったけ?」
「佃 みのりさん」
「そうそう、佃煮さんが怪しいと思っている」
「何で?」
「何でだろ?」
 長四郎はそう答えながら、首を傾げる。
「とにかく、一川さん達と合流しようか」
「あ、うん」
 燐は不服そうにしながら、一川警部達の元へと向かった。
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