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第弐拾話-展示

展示-21

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「佃みのりさん、あなただ」
 長四郎の発言を受け、みのりもまた亀津と同様に啞然とする。
「みのりさんが犯人って、どうしてよ?」
「おいおい、名探偵の女子高生。博物館の人間でもない爺さんがどうやって防犯カメラに細工ができると思ってんだよ」
「それはさ、このお爺さんは常連だからここの防犯カメラに細工できること知っていてもおかしくないじゃない」
「知っていても実行に移すのは、難しいんじゃない? 」
「そんなのは、どうとだって言い組められるじゃん」
「ちょっと待ってくれ!!」
 ここで口を開いたのは、亀津だった。
「さっきから君たちの会話を聞いていると、私が犯人前提で話している気がするんだけど」
「そうだよ」
「そうですよ」
 長四郎と燐からそのような返答が来るとは思っておらず、どう反応して良いのか戸惑う亀津。
「あの私からも良いですか?」
 みのりは挙手し、発言の許可を求める。
「どうぞ」そう答えたのは絢巡査長であった。
「私が共犯の理由は何ですか?」
「その爺さんと仲睦まじそうだから」
「そんな理由はだけで、私が犯人だと言うんですか。あんまりです!!」
 憤慨するみのりに動じる事もなく長四郎は話を続ける。
「怒るのは無理ないけど。佃さん、最初に話を伺った時に「横領までしていて」と仰っていました。 つまり、佃さんはこの博物館の展示物が横領されていることを確実に知っていたことになる」
「だとしても、みのりさんが共犯にはならないでしょ」異論を唱える燐。
「では、ラモちゃんに問題です。殺害に使われた刀はどこにあった?」
「倉庫。それがどうかしたの?」
「ラモちゃん。博物館の職員じゃないお爺さんじゃ、倉庫から刀は盗めないと」
 一川警部の発言を受け、ハッ! とした顔になる燐。
「( ゚д゚)ハッ!みたいな顔するんじゃないよ。もし、みのりさんが犯人ではないとすると他の職員が共犯になるよな。今日ここで捜査する中で、爺さんが他の職員と居る所見たか?」
「見てない」
「そうだろ。他の職員が犯人と言っても、今日非番の人の中に居るんだとしたら爺さんの行動がおかしすぎるでしょ。共犯者からしたらたまったもんじゃない。俺だったら、爺さんを連れ出すね」
「それってあんたの感想だよね?」
 燐は冷徹な目を向けながら言うのだった。
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