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第弐拾壱話-海外

海外-1

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 皆さん、お久しぶり。
 おバカな作者の気まぐれで別の世界線を描かれていたが、気にしないでこの物語に付き合って欲しい。
 ま、そんな事はさておき俺、熱海 長四郎あたみ ちょうしろうは今、成田空港の第二ターミナルに居る。
 何故、空港に居るのか。それは、一週間前の事だった。
 探偵における年一番の稼ぎ時、クリスマスが始まろうとしていた十二月の頭にその依頼は舞い込んできた。
 長四郎がクリスマス商戦に向けて、浮気調査の為の防寒対策用のグッズ等を購入していた間に事務所の電話は鳴った。
 当然その電話を取ったのは、羅猛 燐らもう りんである。
「はい。熱海探偵事務所です」
「その声は燐ね」
 いきなり、電話の向こうに居る相手に自分の名前を言われて身構える。
「はい、そうですけど。どちら様でしょうか?」
「ああ、顔が見えてないからね。私よ。ミシェル。ミシェル・ガルシア」
「ミシェルさん! お久しぶりです!!」
 ミシェル・ガルシア。第拾伍話に登場した依頼人。父を殺した犯人を捕まえる為に来日し、その犯人が殺され無実の罪を着せさせられたミシェルを長四郎が救った過去があるのだ。
「お久しぶり。長四郎は居る?」
「いや、買い物に行っていていませんけど。依頼ですか?」
「そうなの。アメリカに来て欲しいの」
「アメリカですか?」
「そう。アメリカ」
「事件ですか?」
「ええ、彼の力が借りたいの」
「分かりました。いつ、こちらを立てば?」
「長四郎に確認しなくて良いの?」
「良いんです。私もアメリカに行きたいし」
「相変わらずね。良いわ。貴方のチケットも手配しておく。チケットが手配出来次第、来て」
「分かりました。事件の詳細は?」
「それは、アメリカに来てから教えるわ」
「了解しました。じゃ、あいつにも伝えておきます」
 燐はそこで通話を終了した。
 そうして、ミシェルが手配したチケットが届いたので俺とラモちゃんは成田空港に居る。
「は~ この円安ドル高どうにかなんないかな?」
 燐のボヤキに勝手に依頼を引き受けるお前のその性格がどうにかならないのかと思う長四郎。
「ねぇ、あんたもそう思わない?」
「思うけど」長四郎はぶっきらぼうに答える。
「不機嫌じゃん」
「不機嫌ですよぉ~ クリスマス商戦邪魔されたんだから」
「ま、向こうで過ごすクリスマスも悪くないんじゃない?」
「不登校高校生は言うことが違うね」
「それどういう意味?」
 長四郎の耳を思いっきり引っ張る。
「すいません。すいません」
 そんな仲睦まじい二人を見て、周りに居る空港利用者はバカップルだと思うのだった。
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