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第弐拾弐話-結社

結社-2

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 一川警部が現場に臨場すると、長四郎と澤が言い合いをしていた。
「だぁ~かぁ~らぁ~ 俺は殺していないって言っているでしょうがっ!」
「俺は、探偵さんが殺したとは言っていない! 犯人を目撃したんじゃないかっていう事を聞いているだけ!!」
 語気を強め長四郎に反論する澤。
 二人に近づきながら一川警部は「まぁまぁ、落ち着いて。二人共、良い大人が喧嘩しない」そう宥める。
 だが、一川警部の言葉は二人に届かず、未だに言い争っている。
「せがらしかっ! いい加減にせんね!!」
 一川警部に怒鳴りつけられ、男二人しゅんと落ち込む。
「すいません」
 真っ先に謝罪したのは長四郎であった。
「あんたは?」
「あんたって。あたしは兄ちゃんより年上ばい。こん人、失礼な人やね」
「でしょ。一川さん。俺が怒るのも無理ないでしょ?」
「長さん。いい歳こいてムキになるのもどうかとあたしは思うけどね」
 一川警部にそう言われ、長四郎は肩を落とす。
「で、被害者の身元は分かっとうと?」
「だから、部外者には教えられないだろ?」
 澤の問いかけに一川警部は黙ったまま自分の警察手帳を見せる。
「刑事なら、刑事って言えよ」悪態をつく澤に一川警部は再度、「被害者の身元は?」と質問する。
 澤は舌打ちをし、答え始める。
「被害者は、難波 塚児。三十八歳。職業・フリーライター。そして、第一発見者は・・・・・・」
 澤はそう答えながら、隣に立つ長四郎を疑いの目で見つめる。
「また、犯人を見るような目で俺を見るんだよ!」
「見てねぇよ!!」
 また言い争い始めると思った一川警部はすかさず話を事件の方へと促し始める。
「それで、死因は?」
「鑑識によると、心臓を刃物を一突きされた事による失血死とのことらしいです」
 しれっと、鑑識が話しているのを小耳に挟んだ長四郎が答える。
「なんで、探偵のお前が答えるんだよ!」
「そんなことより、犯人を見つけんと。まだ、そう遠くへとは逃げとらんでしょ?」
「一応、疑わしき人物には片っ端から声をかけるよう制服警官達に指示を出した」
「そうですかい。それは手際が良いことで」
「どうも。で、あんたは俺達の捜査にちゃちゃを入れに来たわけか?」
「滅相もない」すぐさま、否定する一川警部。
「あの、俺、帰って良いですか?」
 長四郎が申し訳なさそうに言うと、「良かよ」と一川警部が許可を出す。
「ちょっと、あんた!」
「長さんは事件解決に協力してくれるけん。安心せんね」
「探偵が協力? ふざけるんじゃない。なんで、民間人に協力を仰がなきゃ行かないんだ?」
 ここに関しては澤の意見に賛同する長四郎。
「この生意気刑事の言う通りですよ。一川さん、なんで俺が事件解決しなきゃならないんですか?」
「それじゃあ、留置所でお泊まりしてもらう事になるけど?」
「分かりました。協力させて頂きます」
 一川警部にまんまと乗せられた長四郎は、事件の解決に協力する事になった。
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