探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

文字の大きさ
467 / 770
第弐拾陸話-返金

返金-3

しおりを挟む
 長四郎は早速、部屋を物色し始めた。
「ねぇ、勝手に触って大丈夫なの?」
 燐が小声で尋ねると「大丈夫なんじゃね?」そう無責任な答えが返ってきた。
「ここは、ダミーの場所だな」
 長四郎は机の引き出しを開けて、中を覗きながら自分の推論を言った。
「ダミーってことは、やっぱり詐欺してるんだ」
「単細胞の考え方だな」
 燐は、放り出されたキャスター付きの椅子を長四郎めがけて蹴飛ばす。
 椅子は勢いよく長四郎の元へと走って行き、背もたれが丁度腰の辺りにヒットした。
「痛って! 何すんだよ!」
「単細胞だから分かりませぇ~ん」
 嫌味ったらしく答える燐。
「生意気なガキだな。てか、ラモちゃんも手掛かりになりそうなものを探せよ」
「はいはい。仰せのままに」
 自分からこの場所に連れて来といてその態度はおかしいだろ。と口に出しそうになったが、今度は机でも飛んできそうな気配がしたのでグッと我慢する。
 今度は、机から離れて本棚に場所を移して、探し始める。
 本棚の戸を開け、中に入っているファイルを手に取りファイルの中身を検める。
 ぎっしりと詰まっているファイルなのだが、全てが白紙のコピー用紙であった。
「これは、これは。面白いなぁ~」
「何か? 見つかったの?」
 燐が近寄って来て、パラパラとファイルをめくる長四郎が見ている物を見ようとする。
「これ、何? 何も書かれていないじゃん」
「そこが、面白いんだろ。お、手が空いているなら他のファイルも取ってくれ」
 何が面白いのか、分からない燐は指示された通りずっしりと重いファイルを取り出して、机に置いた。
「ご苦労」と言いながら、今度は燐が取り出したファイルを見る。
 そのファイルも白紙のコピー用紙だけのはずだった。
 中身を検め始めて、20ページ程開いたところで小さな文字で何かが書かれていた。
 “ピシャリを追え”と。
「ピシャリを追え? どういう意味だろ?」
「さぁ、どういう意味なんだろうな?」と言いながら、長四郎はそのページを破り綺麗に折りたたみズボンに突っ込む。
「そんなことして良いの?」
「え? 何が」長四郎は、すっとぼける。
「おい! ここで何してる!!」
 金髪の顔までタトゥーが入った男が、これまた金髪の部下二人を引き連れて部屋に入ってきた。
「何してるって。ラモちゃん、教えてあげなよ」
「この詐欺師めっ!!」
 燐は相手を指差してドヤ顔を決め込む。
「何ぃ~ 詐欺師だぁ~」先頭に立つ金髪が首を振り後ろに突っ立ている部下に長四郎と燐を拘束するよう合図する。
「まずい。逃げるぞぉ~」
 長四郎は一目散に窓の方に向かって駆け出す。
「逃すな!!」
 金髪のその言葉に発破をかけられた部下二人も駆け足でその身柄を拘束しようとする。
 だが、長四郎は窓を開け「さらば、地球よ!!」と叫びながら飛び降りた。
「ちょっと、嘘でしょ!!」
 自分一人、置いて逃げ出す長四郎に呆れるのと五階から飛び降りた長四郎に驚く燐。
 燐は長四郎が飛び降りた窓の下を覗き込む。
 何故、長四郎が躊躇なく飛び降りたのか察した燐もまた「さらば~イ!」と言って窓から飛び降りた。
「マジかよ」
 部下の一人が恐る恐る下を覗くと、自販機の補充トラックのゴミが積まれている荷台に寝転ぶ長四郎と燐の姿を見つける。
「おい、奴らは車だ。追え!」
 もう片方にそう指示を出し自分も下に降りる。
 だが、下に降りた頃にはトラックは消えていた。
「クソッ!!」
 上でその様子を伺っていた金髪こと菜済 章は、スマホを取り出し電話をかける。
「もしもし。菜済です。侵入者に逃げられました。ええ、ファイルを漁っていました。取り敢えず、取られたものがないか確認してから連絡します。じゃ」
 そう言って、通話を切った。
 菜済は、長四郎と燐がそのままにしていったファイルを確認する。
 そこで、不自然に切り取られたページを見つけここに入っていたものを思い出そうとする。
 すると、下に行っていた部下二人が戻ってきた。
「逃げられました。すいません」
「仕方ない。おい、取られたものがないか確認するぞ」
「はいっ!」部下二人は元気いっぱいに返事をして、作業に取り掛かる。
 その間、菜済は嫌な予感がして仕方なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...