探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾漆話-大物

大物-21

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 一川警部によって救出された? 長四郎は自身の自宅兼事務所に戻り疲れた身体を癒していた。
「なんで、こんなに早く出てくるのよ」燐は不服そうな顔をして、ソファーに寝転がってスマホで動画を見る長四郎に尋ねる。
「そんなこと俺が知るかっ!」
「知るかっ! って、権力者の手によって逮捕された人間がすんなり出てくるなんておかしな話じゃん」
「ラモちゃんは何? 俺が出てきちゃ不都合な訳?」
「そんな事・・・・・・」
 そんな事あると言いたかったが、そういう事を言うと長四郎が憤慨するので敢えて言わなかった。燐の中では、無実の罪で捕縛された長四郎を自身の手で助け出すそんなストーリーが出来上がっていたのだが、それは頓挫してしまった。
「で、ラモちゃんはなんで当たり前の顔で事務所に居るわけ?」
「居たら悪いのかよ」
「悪い。何故なら、今日は木曜日。つまりは登校日なわけだ。それをこんな場末の探偵事務所でサボって良いものかねぇ~」
「今日は良いの。文化祭の決め事やっているだけだから」
「尚更、行かないと。青春の大事な一ページじゃない」
「私にとっては今が、今が! 大事な青春の一ページなの。それより、捕まっている間に事件解決に繋がる情報は得られたの?」
「得られる訳ないでしょ。なんで、得られると思ったの? あんた、バカぁ?」
「失礼な! 不甲斐ないあんたの為に良い事、教えてあげる」
「良い事?」
「そう、音々さんが言っていた収賄事件の方で分かった事があったんだぁ~」
「どんなことよ。教えなさいよ」
「耳の穴をよくかっぽじって聞きなさいよ」
「へいへい」
 長四郎は横たわる身体を起こして両耳の掃除をして、燐の話を聞く。
「森下守男を訪ねていた国会議員の目的が分かったのよ」
 どうして、こいつは人が調べてきたことを自分の手柄のように話すんだろうと思いながら、話の続きに耳を傾ける。
「どうもね、今流行りのカジノ法案で協力を求めに行ったらしいのね」
「カジノかぁ~ でも、あれ参院で可決してたろ?」
「それがさ、改案の噂があってね」
「改案?」
「そう、オンラインカジノを国が認める法案」
「そりゃあ、政界の大物フィクサーを頼る訳だ」
 これは面白い話を聞いたと思う長四郎の顔はニヤニヤと笑みを浮かべる。
「ここからが大事でさ、大物フィクサーに依頼した内容を知りたくない?」
「え? 警察はそこまで調べたの?」
「ここからは私の独自の調査」
「聞かせてもらいましょう」長四郎は両耳を立てる。
「でね、法案を出すからにはそれを阻止しようとする派閥が出てくるでしょ」
「ああ」
「その対抗派閥の筆頭である 光 希望ひかり のぞみっていう女性議員を消す依頼をしていたんだって」
「という話を音々さんから聞き出したっていう訳か」
「どぉ? 見直した?」
「そうねぇ~ 見直したって事にしておくわ」
「ムキィ~ なんか、腹立つ」
 腹を立てる燐を他所に長四郎は出かける準備を始める。
「どこ行くの?」
「その光っていう議員に接触する」
「なんで?」
「今の俺たちに森下守男に近づける方法はない。だから、命を狙われているだろう議員に接触すれば事件解決に繋がるきっかけになるだろ?」
「あ、そうだね!」
「じゃ、そう言う事だからお留守番宜しくね」
「あたしも行くぅ~」
 燐は金魚のフンのように長四郎の後を追う。
 燐が所持するハーレーダビッドソンXLH883を長四郎が運転し、燐を後部座席に乗せ議員会館へと向かう。
「ねぇ、行き当たりばったりで行って大丈夫なの?」
「もっと、大きい声で!!」
 エンジン音が良い音色を奏でるので、、燐の声が聞こえない。
「ねぇ、行き当たりばったりで行って大丈夫なの!!!!」
「大丈夫なんじゃない!!! 知らんけど!!!!!」
 いつもの適当パターンだと思った燐はこれ以上言っても無駄だと思い、まだ蒸し暑く続く秋の風を感じながら目的地へと向かうのだった。
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