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第弐拾漆話-大物
大物-20
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「あいつ、逮捕されたんですか!?」
長四郎が逮捕された事を知り、燐は啞然とする。
「あたしらも、今回ばかりは手の打ちようがなくてね。困っとうと」
一川警部は口をへの字にして、頭をペチペチ叩く。
「手の打ちようがないって。警察官でしょ? どうして、無実を証明出来ないんですか!!」
「ラモちゃん、落ち着いて。あまり言いたくないんだけど、警察ってセクト主義なところがあってね。長さんの事件は上からのお達しもあって、もう人の意見なんて聞く耳持たんっていった感じで。ごめんね」
絢巡査長は警察官を代表して、燐に謝罪する。
「絢さんが謝ることじゃないですよ。でも・・・・・・」
燐は取り調べで色々と締め上げられているであろう長四郎の身を案じる頃、その長四郎はというと・・・・・・
「・・・・・・」
目の前に座る刑事は何も喋らず、無表情で新聞に目を通していた。
ここに連れて来られてから、ずっとこの状況だった。
そして、長四郎も相手がどう出てくるのか様子を伺っていたが、目の前に居る刑事は無表情のまま何かを考えているのかはたまた何も考えていないのか、まるで読めない人間だった。
「あ、あの取り調べですよね。これ?」根負けした長四郎が喋った。
「え? ああ、そうだけど・・・・・・」
そう答えた刑事は、再び新聞に視点を戻す。
「このままの状態だと上司に怒られると思うんですけど?」
「上司。上司ねぇ~」
「刑事さん。もしかして、俺が自白するのを待ってます?」
「いいや。俺の予想だけど、君は喋らないと思ってるよ。なんせ、あの大物フィクサーが住む屋敷に侵入した賊だ。ただのバカじゃない限り、危険を承知で侵入したりしないでしょ。しかも、侵入した賊は探偵って言うじゃない? 探偵稼業で食えないからって、人を誘拐するとは思えないしなぁ~」刑事はそう言いながら、読んでいた新聞を畳み机の上に置いて長四郎と向き合う。
「刑事さん。失礼を承知で聞きますが、俺の相手をするように無理矢理、ここに追いやられたんじゃないんですか? 俺が逮捕された時にその場に居ませんでしたよね? つまりは、窓際族?」
「ホントに失礼な事言うね。そうですよ。私は刑事部でもはみ出し者だよ」
「やっぱり・・・・・・」
目の前に居るこの刑事は、自分と同類の人間だと長四郎は思った。すなわち、組織に馴染めない人間だと。
「で、なんで侵入したの?」
「それはですね」
そこから、富澤婦人から依頼された内容、それからの行動を刑事に話した。
「良いの? 依頼内容を喋って。守秘義務ってのがあるでしょ。探偵には」
「刑事さんだったら、喋っても良いかなと。なんとなく悪党に近い正義の味方って匂いがして」
「匂い? 俺、そんなに臭いかな?」
刑事は気にするように自身の匂いを嗅ぎ始めた。
「という事なんで、ここから出してもらえませんか?」
「ん? 脇が臭いなぁ~ これかなぁ~」
長四郎の頼みを無視するかのように、自身の脇の臭いを気にする。
「匂いの事は、良いんですよ。刑事さんになら話しても良い話があるんですよ」
「良い話?」眉をひそめて身を乗り出して話してもらおうじゃないという顔をする刑事。
「実は屋敷を歩いてた時なんですけどね?」
「うん」
「気になる場所があったんですよ」
「気になる場所?」
「そうです。あの屋敷には花壇がありましてね。丁度、花壇の真ん中のごく一部だけ彼岸花が咲いていたんですよ。瓢箪に近い形で」
「瓢箪型に咲いている彼岸花さん達か・・・・・ という事は、そこにその家政婦さんが言っていた殺害されたもう一人の家政婦さんが埋まっている可能性があるってことかい?」
「さすが、刑事さん。ご明察」
「気のせいじゃないの?」
「だと、良いんですけどね。でも、消えた死体の行方は知りたいじゃないですか?」
「そうだねぇ~ 確かに知りたい」
「でしょ。気が合う刑事さんで良かった」
「でも、ここで君を離しちゃうと上司に怒られるからなぁ~」
すると、取り調べ室のドアが開いた。
「長さん、元気?」
天井の照明が綺麗に頭と重なり、光り輝く頭が光り輝き後光が射しているように登場した一川警部。
「あ、一川さん。ここから出してくださいよ」
「そうしたいのは山々だけど」ここで、取り調べしている刑事に目を向けると一川警部は目を見開いて驚く。
「あんた! 元気しとったと?」
「まぁ、なんとか。お宅こそ探偵と何をコソコソやとっんの?」
「いやぁ~ 面倒ごとに巻き込まれて大変ったい。長さんの取り調べは終わりで良か?」
「良か良か。じゃあ、身元引受人が現れたし。行って良いよ」
刑事は人払いのジェスチャーをして、取調室から出るように促す。
「そう言うことやけん。長さん、行くばい」
「あ、はい!!!」
長四郎は刑事にお辞儀して、取調室を出た。
長四郎が逮捕された事を知り、燐は啞然とする。
「あたしらも、今回ばかりは手の打ちようがなくてね。困っとうと」
一川警部は口をへの字にして、頭をペチペチ叩く。
「手の打ちようがないって。警察官でしょ? どうして、無実を証明出来ないんですか!!」
「ラモちゃん、落ち着いて。あまり言いたくないんだけど、警察ってセクト主義なところがあってね。長さんの事件は上からのお達しもあって、もう人の意見なんて聞く耳持たんっていった感じで。ごめんね」
絢巡査長は警察官を代表して、燐に謝罪する。
「絢さんが謝ることじゃないですよ。でも・・・・・・」
燐は取り調べで色々と締め上げられているであろう長四郎の身を案じる頃、その長四郎はというと・・・・・・
「・・・・・・」
目の前に座る刑事は何も喋らず、無表情で新聞に目を通していた。
ここに連れて来られてから、ずっとこの状況だった。
そして、長四郎も相手がどう出てくるのか様子を伺っていたが、目の前に居る刑事は無表情のまま何かを考えているのかはたまた何も考えていないのか、まるで読めない人間だった。
「あ、あの取り調べですよね。これ?」根負けした長四郎が喋った。
「え? ああ、そうだけど・・・・・・」
そう答えた刑事は、再び新聞に視点を戻す。
「このままの状態だと上司に怒られると思うんですけど?」
「上司。上司ねぇ~」
「刑事さん。もしかして、俺が自白するのを待ってます?」
「いいや。俺の予想だけど、君は喋らないと思ってるよ。なんせ、あの大物フィクサーが住む屋敷に侵入した賊だ。ただのバカじゃない限り、危険を承知で侵入したりしないでしょ。しかも、侵入した賊は探偵って言うじゃない? 探偵稼業で食えないからって、人を誘拐するとは思えないしなぁ~」刑事はそう言いながら、読んでいた新聞を畳み机の上に置いて長四郎と向き合う。
「刑事さん。失礼を承知で聞きますが、俺の相手をするように無理矢理、ここに追いやられたんじゃないんですか? 俺が逮捕された時にその場に居ませんでしたよね? つまりは、窓際族?」
「ホントに失礼な事言うね。そうですよ。私は刑事部でもはみ出し者だよ」
「やっぱり・・・・・・」
目の前に居るこの刑事は、自分と同類の人間だと長四郎は思った。すなわち、組織に馴染めない人間だと。
「で、なんで侵入したの?」
「それはですね」
そこから、富澤婦人から依頼された内容、それからの行動を刑事に話した。
「良いの? 依頼内容を喋って。守秘義務ってのがあるでしょ。探偵には」
「刑事さんだったら、喋っても良いかなと。なんとなく悪党に近い正義の味方って匂いがして」
「匂い? 俺、そんなに臭いかな?」
刑事は気にするように自身の匂いを嗅ぎ始めた。
「という事なんで、ここから出してもらえませんか?」
「ん? 脇が臭いなぁ~ これかなぁ~」
長四郎の頼みを無視するかのように、自身の脇の臭いを気にする。
「匂いの事は、良いんですよ。刑事さんになら話しても良い話があるんですよ」
「良い話?」眉をひそめて身を乗り出して話してもらおうじゃないという顔をする刑事。
「実は屋敷を歩いてた時なんですけどね?」
「うん」
「気になる場所があったんですよ」
「気になる場所?」
「そうです。あの屋敷には花壇がありましてね。丁度、花壇の真ん中のごく一部だけ彼岸花が咲いていたんですよ。瓢箪に近い形で」
「瓢箪型に咲いている彼岸花さん達か・・・・・ という事は、そこにその家政婦さんが言っていた殺害されたもう一人の家政婦さんが埋まっている可能性があるってことかい?」
「さすが、刑事さん。ご明察」
「気のせいじゃないの?」
「だと、良いんですけどね。でも、消えた死体の行方は知りたいじゃないですか?」
「そうだねぇ~ 確かに知りたい」
「でしょ。気が合う刑事さんで良かった」
「でも、ここで君を離しちゃうと上司に怒られるからなぁ~」
すると、取り調べ室のドアが開いた。
「長さん、元気?」
天井の照明が綺麗に頭と重なり、光り輝く頭が光り輝き後光が射しているように登場した一川警部。
「あ、一川さん。ここから出してくださいよ」
「そうしたいのは山々だけど」ここで、取り調べしている刑事に目を向けると一川警部は目を見開いて驚く。
「あんた! 元気しとったと?」
「まぁ、なんとか。お宅こそ探偵と何をコソコソやとっんの?」
「いやぁ~ 面倒ごとに巻き込まれて大変ったい。長さんの取り調べは終わりで良か?」
「良か良か。じゃあ、身元引受人が現れたし。行って良いよ」
刑事は人払いのジェスチャーをして、取調室から出るように促す。
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「あ、はい!!!」
長四郎は刑事にお辞儀して、取調室を出た。
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