探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

文字の大きさ
515 / 761
番外編~遊原巡査の異動~

番外編~遊原巡査の異動~

しおりを挟む
 警視庁の廊下を不服そうな顔をして歩く刑事が一人。
 刑事の名は、遊原 祐希あそはら ゆうき。年齢、25歳。階級は巡査。
 この夏まで警視庁丸の内署刑事課強行犯係に所属していた刑事であった。
 それは、何故か。
 つい一週間前の事であった。署近くの銀行で強盗事件が発生し、出動したまでは良かった。
 だが、そこで問題が発生した。
 機動隊と遊原巡査が揉めたのだ。揉めた理由はここでは控えさせておこう。
 そして、そのすぐ後に異動の辞令が下った。
 異動先は不明かつ辞令は本庁で行うとの通達があり、こうして慣れない制服を着て本庁の廊下を歩く。
 目的の部屋の前で立ち止まった遊原巡査は、ふぅーっと深呼吸してからドアをノックした。
「はい」と部屋の中から返事が返ってきたので、「失礼します!!」と大声で答え部屋に入る。
 この部屋は、捜査一課長室。
 つまり、責任者の捜査一課の課長が居るのだ。
 遊原巡査は心の中で、ここに呼び出されるという事は昇進の可能性もあるのではないかという期待を胸に部屋に入る。
 捜査一課長は自身のデスクに座り、捜査資料に目を通していた。
「君は・・・・・・」遊原巡査の名前が分からず少し困った顔をする捜査一課長。
「自分は、遊原祐希巡査であります!」
「お、君が例の」
「例の?」
「いや、何でもない。さ、こっちへ」と遊原巡査を机の前に立つように手招きする。
「はっ」
 遊原巡査は言われるがままに、机の前に立った。
「遊原祐希巡査。本日付を持って、捜査一課 命捜班第二班での勤務を命じる」
「命捜班? 第二班? ですか?」
 聞いたことのない名前に聞きかえす遊原巡査。
「例の森下 衆男もりした もりおを逮捕した捜査班だよ」
「あ!」
 ここで、遊原巡査は思い出した。
 先輩刑事と森下のニュースを見ていた時に、窓際部署だからこんな芸当ができるんだとかなんとか。その時に気にも止めない感じで、聞いていた自分が情けないとも思う。
「そ、それで。自分は、窓際部署に異動って事ですか?」
「窓際部署? ま、そういう見方もあるが」
「はぁ~」がっくりと肩を落としていると「お取込み中、失礼します」自分の真後ろから声がし、遊原巡査は驚いて机の向こうにいる捜査一課長に抱きついてしまう。
「ちゃんと、足、あるよ。ほらぁ~」
 遊原巡査に話しかける人物は片足立ちをして足をぷらんっぷらんっとさせ、足がある事をアピールする。
「遅いじゃないか」
「あ、すいません。どうも、腹の調子が」
「全く、君というものは・・・・・・ 遊原巡査」
「は、はい」まだ、恐怖が抜けなく捜査一課長にしがみついたままの遊原巡査。
「遊原巡査。離してくれないかな?」
 そこで、しがみついたままの状態である事に気づいた遊原巡査は捜査一課長から離れた。
「それでだな。この男が君の上司になる」
佐藤田 一喜さとうだ かずきです。宜しく」
 握手を求めてきたので、取り敢えず、握手し返す遊原巡査。
「これから、佐藤田警部補と共に命捜班第二班として大いに活躍して欲しい」
「はぁ」
「以上。持ち場に戻りたまえ」
 遊原巡査と佐藤田警部補は捜査一課長に敬礼し、捜査一課長室を出た。
「あ、じゃあ、新しく出来た部屋に案内するから付いて来て」
「はい」
 遊原巡査は佐藤田警部補に付いて行くのだが、目の前を歩く覇気のない顔をする中年刑事を見て自分は窓際部署に来たのだという現実を突きつけられて、警察官を辞めようか。本気で考え始めていた。
「あ、何か質問ある?」
「え? ああ、あります。第二班って言っていましたけど、第一班の方々は何かの事件を担当されているのでしょうか?」
 遊原巡査はこの質問に一縷の望みを掛けて質問した。
「いいや、してないよ」
「え? では、何故、二班が設立される事になったんですか?」
「それはねぇ~ 第一班の人がやらかしたから」
「やらかした?」
「そう。捜査一課長から聞いていると思うけど、森下衆男の事件を解決したっちゅうのに謹慎喰らっちゃったもんだからね」
「は、はぁ」
「さ、着いた。着いた」
 佐藤田警部補は部屋の前で立ち止まる。
 如何にも、この間まで備品倉庫かなにかだった部屋だって言う事が分かった。
「何、固まったんの? さ、入った。入った」
 佐藤田警部補に招かれるまま部屋に入ると、そこはダンボールが山積みにされた部屋だった。
「じゃ、これ片付けるのが急務の仕事だから。仕事、仕事ぉ~」
 ダンボールを開封し始める佐藤田警部補を見て、遊原巡査は心に誓った。
 近々、転職先を見つけて転職しようと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...