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第弐拾玖話-行方
行方-10
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長四郎と絢巡査長は東のデパートで聞き込みをする事になった。
「絢ちゃん。取り敢えず、一階から聞きに行こうか」
「はい」
長四郎と絢巡査長の二人は一階の化粧品コーナーから攻める事になった。
「お仕事中すいません」絢巡査長は店員を呼び止め警察手帳を提示し身分を明かそうとすると長四郎がそれを止めた。
「長さん?」
「こんな所でそんなもの見せたら、お客さんが逃げちゃうでしょ? 名刺で身分を明かさなきゃ」
長四郎の言う通りカウンターで接客を受けているご婦人が居たので、絢巡査長は言われた通りに名刺を店員に渡した。
「刑事さんですか?」
「はい。そうです」
「何か事件でも?」
「事件は事件なんですけど。目撃証言を取っておりまして」
「はぁ」長四郎の説明に気の抜けた返事をする店員。
「写真とかないんですが、高級スーツを着た男って見た事とかありませんかね?」
「さぁ? 中にはそう言うお客様もいらっしゃる場合もありますので」
「ですよねぇ~ 失礼ですが、通勤手段は?」
「電車ですけど。それが何か?」
「いえね、駅構内とかでホームレスの方に話しかけているスーツ姿の男性は見かけたことは?」
「ないです。でも、NPOの方が声を掛けている所は何度か見たことはあります」
「そうですか。大変参考になりました。ありがとうございました」
「あのもしよろしければ、他の者にも話を聞きますか?」
店員はそう提案してくれたのだが、他の店員は接客の最中でとても話を聞ける雰囲気ではなかったので長四郎は丁寧に断り、最初のテナントを離れた。
「長さん。よくスラスラと聞けますね」
「絢ちゃん。修行が足りんのと違うの? つーことで、次は絢ちゃんが聞いてね」
「少しプレッシャーだな」
そう言いながら、一つ飛ばしたテナントの店員に声を掛ける絢巡査長。
「ここも収穫無し」
聞き込みを終えた遊原巡査は疲れたといった感じで自身の手で肩を揉む。
「ありがとうございました!」明野巡査の元気な挨拶が聞こえて数秒でテナントから出てきた。
「あ、そっちはどう?」
「てんで、ダメだ。そっちはどうなんだよ」
「こっちもダメ」
「てことは、残るテナントはあそこだけか・・・・・・」
遊原巡査が見つめる先にあるのは、外国のメーカーが期間限定の出店で出しているテナントであった。
「祐希。英語喋れる?」
「喋れない。お前はどうなんだよ。泉」
「そんなの無理に決まっているじゃない! 学生時代、赤点ギリギリだったんだから」
「よくそれで、警察の試験受かったな」
「それには私もびっくり。あははは」
「下らない話してないで。行くぞ」
「あ、うん」
そう答える明野巡査の頭の中は外国人店員に話しかける言葉で埋め尽くされていた。
「すいません」遊原巡査はセミロングのブロンド髪の女性店員に声を掛けた。
「はい。何でしょうか?」流暢な日本語で返事が返ってきたので、先程の会話が恥ずかしくてしょうがなくなる若い刑事二人。
「我々、こういう者です」
遊原巡査は警察手帳を提示し、身分を明かす。
「警察の方ですか? 何か?」
「目撃証言を取っていまして。高級スーツを身につけた男を見かけませんでしたかね?」
「う~ん。どうでしょうか?」店員はそう言って英語で同僚に遊原巡査がした質問をすると「Nothing(訳:見たことない)」と答えた。
「ないそうです。他に特徴はないんですか?」
「駅でホームレスの方に話しかけていたらしいということぐらいしか分かっていないんですよ」
「それなら、私見たことありますよ」
「え! 本当ですか!!」一番良い反応を示す明野巡査は「探偵さん、呼ぶね」そう言って長四郎に電話を掛ける。
「すいませんがその話、詳しく聞かせて貰えませんか?」
「はい。分かりました」
遊原巡査は話の内容を残すため、スマホのメモアプリを起動する。
そして、最初に入力したのは今、聞き込みをしている相手の名前であった。
その名前とは、イヴ・ウィンガード。
「絢ちゃん。取り敢えず、一階から聞きに行こうか」
「はい」
長四郎と絢巡査長の二人は一階の化粧品コーナーから攻める事になった。
「お仕事中すいません」絢巡査長は店員を呼び止め警察手帳を提示し身分を明かそうとすると長四郎がそれを止めた。
「長さん?」
「こんな所でそんなもの見せたら、お客さんが逃げちゃうでしょ? 名刺で身分を明かさなきゃ」
長四郎の言う通りカウンターで接客を受けているご婦人が居たので、絢巡査長は言われた通りに名刺を店員に渡した。
「刑事さんですか?」
「はい。そうです」
「何か事件でも?」
「事件は事件なんですけど。目撃証言を取っておりまして」
「はぁ」長四郎の説明に気の抜けた返事をする店員。
「写真とかないんですが、高級スーツを着た男って見た事とかありませんかね?」
「さぁ? 中にはそう言うお客様もいらっしゃる場合もありますので」
「ですよねぇ~ 失礼ですが、通勤手段は?」
「電車ですけど。それが何か?」
「いえね、駅構内とかでホームレスの方に話しかけているスーツ姿の男性は見かけたことは?」
「ないです。でも、NPOの方が声を掛けている所は何度か見たことはあります」
「そうですか。大変参考になりました。ありがとうございました」
「あのもしよろしければ、他の者にも話を聞きますか?」
店員はそう提案してくれたのだが、他の店員は接客の最中でとても話を聞ける雰囲気ではなかったので長四郎は丁寧に断り、最初のテナントを離れた。
「長さん。よくスラスラと聞けますね」
「絢ちゃん。修行が足りんのと違うの? つーことで、次は絢ちゃんが聞いてね」
「少しプレッシャーだな」
そう言いながら、一つ飛ばしたテナントの店員に声を掛ける絢巡査長。
「ここも収穫無し」
聞き込みを終えた遊原巡査は疲れたといった感じで自身の手で肩を揉む。
「ありがとうございました!」明野巡査の元気な挨拶が聞こえて数秒でテナントから出てきた。
「あ、そっちはどう?」
「てんで、ダメだ。そっちはどうなんだよ」
「こっちもダメ」
「てことは、残るテナントはあそこだけか・・・・・・」
遊原巡査が見つめる先にあるのは、外国のメーカーが期間限定の出店で出しているテナントであった。
「祐希。英語喋れる?」
「喋れない。お前はどうなんだよ。泉」
「そんなの無理に決まっているじゃない! 学生時代、赤点ギリギリだったんだから」
「よくそれで、警察の試験受かったな」
「それには私もびっくり。あははは」
「下らない話してないで。行くぞ」
「あ、うん」
そう答える明野巡査の頭の中は外国人店員に話しかける言葉で埋め尽くされていた。
「すいません」遊原巡査はセミロングのブロンド髪の女性店員に声を掛けた。
「はい。何でしょうか?」流暢な日本語で返事が返ってきたので、先程の会話が恥ずかしくてしょうがなくなる若い刑事二人。
「我々、こういう者です」
遊原巡査は警察手帳を提示し、身分を明かす。
「警察の方ですか? 何か?」
「目撃証言を取っていまして。高級スーツを身につけた男を見かけませんでしたかね?」
「う~ん。どうでしょうか?」店員はそう言って英語で同僚に遊原巡査がした質問をすると「Nothing(訳:見たことない)」と答えた。
「ないそうです。他に特徴はないんですか?」
「駅でホームレスの方に話しかけていたらしいということぐらいしか分かっていないんですよ」
「それなら、私見たことありますよ」
「え! 本当ですか!!」一番良い反応を示す明野巡査は「探偵さん、呼ぶね」そう言って長四郎に電話を掛ける。
「すいませんがその話、詳しく聞かせて貰えませんか?」
「はい。分かりました」
遊原巡査は話の内容を残すため、スマホのメモアプリを起動する。
そして、最初に入力したのは今、聞き込みをしている相手の名前であった。
その名前とは、イヴ・ウィンガード。
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