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第弐拾玖話-行方
行方-14
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「え? 人身売買の組織だって?」長四郎は遊原巡査の話に食いつく。
「そうです。イヴ・ウィンガードはその組織の頭目で、アメリカの富裕層相手にかなり儲けていたようです」
「監禁場所に繋がるような情報は?」
「え~っと」
遊原巡査は耳に当てていたスマホを明野巡査に渡し、捜査資料を読み漁る。
「書かれていますね。アメリカだとテーラーの地下に監禁部屋があったと」
「それで銀座のテーラーは地下室ある感じだったの?」
「・・・・・・あったけ?」小声で明野巡査に聞く声が聞こえてきた。
「わ・・・・・・からないです」
「ま、良いや。じゃあ、そこで殺人を?」
「違います。そこは薬漬けにする部屋みたいで、殺人現場は特定されて居ないようです」
「分かった。ありがとう。後は佐藤田さんの指示に従ってくれ。じゃ」
長四郎は通話を終了し、こめかみをぐりぐりしながら燐がどこに監禁されているのかを考え始める。
そんな長四郎の横では絢巡査長が押収した駅構内の防犯カメラ映像から、ホームレスに接触するイヴ・ウィンガードの姿が映っていなかの確認をしていた。
「長さん。ラモちゃん見つかりそうですか?」
「何とも言えないな。殺人をするのは、奴が気にいった女の人らしい」
「あの人、正真正銘の女性ですよね?」
「多分。レズビアンなのかも。なんせ、多様性の時代だから」
「そこに突っ込む気はないですが、相手を殺すっていう神経が分かりません」
「それって、絢ちゃんの感想ですよね?」長四郎は瞼をパチパチと開閉させる。
「モノマネはしなくて良いですから」
「よく今ので、モノマネだと分かったね」
「感心してないで、長さんも手伝ってください」
「へいへい」長四郎は作業に取り掛かろうとする手をピタッと止める。
「絢ちゃん、ごめん。事件解決の切り札を持っていたのを忘れてた!」
長四郎はそう言って席を立ち、部屋を出ていった。
そんな頃、佐藤田警部補は命捜班を訪ねてきた松重刑事と話していた。
「ようこそ、陸の孤島へ」
佐藤田警部補はそう言って、珈琲の入ったマグカップを机の上に置いた。
「陸の孤島ね。にしては、楽園のように見えるのは俺だけかな?」
部屋のモニターに繋がれたゲーム機を見て、松重刑事はふっと笑う。
「ああ、あれね。うちの若いのが持ってきたのよ」
「そうかい。咎めないところがあんたらしいけどね」
「ちゃんと、注意しましたよ。節度を持ってやりなさいってね。そんな話をする為に来たんじゃないでしょ?」
「そうだった。これを見てくれ」
持ってきた封筒を佐藤田警部補の前に置くと、佐藤田警部補はすぐに封筒から捜査資料を取り出して目を通す。
「これ? 本当なの?」読み終えた佐藤田警部補の第一声はそれであった。
「本当だ。美術館に置かれていた女性の腕は、FBI捜査官のものだった。日本まで追跡していたが捕まってバラバラさ」
「よく分かったね。FBIの捜査官って。」
「最初は日本人女性と思って捜査していたんだが、司法解剖の結果で外国人だと分かって。当然、捜索願が出ている外国人を当たっていたんだが、アメリカ大使館からそのFBI捜査官が羽田空港で行方不明となったっていう情報が捜査本部に入ってな。もしやと思って、本国から彼女の所持品を送ってもらってDNA検査したら」
「一致した」
松重刑事はコクリと頷いて答えた。
「それで、FBIはなんて?」
佐藤田警部補は資料に記載されていないことを問うた。
「それが沈黙なんだ。なぁ、イヴ・ウィンガードは単独犯じゃないのか?」
「何となくだがイヴ・ウィンガードは何らかの組織に属していて、組織の仕事をこなすついでに自身の殺人をしているって考えられるかもな」
「組織か。FBIが殺されるのも納得の理由だな。ありがとう。また動きが分かったら連絡するよ」
「どうも。宜しくお願い致します」
佐藤田警部補は松重刑事に頭を下げる。
「よしてくれよ。じゃ」
松重刑事が命捜班の部屋を出ていったと同時に、佐藤田警部補のスマホにメッセージが入る。
それを見た佐藤田警部補は顔をしかめ「もう少し、早くに言ってよ」と苦言を呈するのだった。
「そうです。イヴ・ウィンガードはその組織の頭目で、アメリカの富裕層相手にかなり儲けていたようです」
「監禁場所に繋がるような情報は?」
「え~っと」
遊原巡査は耳に当てていたスマホを明野巡査に渡し、捜査資料を読み漁る。
「書かれていますね。アメリカだとテーラーの地下に監禁部屋があったと」
「それで銀座のテーラーは地下室ある感じだったの?」
「・・・・・・あったけ?」小声で明野巡査に聞く声が聞こえてきた。
「わ・・・・・・からないです」
「ま、良いや。じゃあ、そこで殺人を?」
「違います。そこは薬漬けにする部屋みたいで、殺人現場は特定されて居ないようです」
「分かった。ありがとう。後は佐藤田さんの指示に従ってくれ。じゃ」
長四郎は通話を終了し、こめかみをぐりぐりしながら燐がどこに監禁されているのかを考え始める。
そんな長四郎の横では絢巡査長が押収した駅構内の防犯カメラ映像から、ホームレスに接触するイヴ・ウィンガードの姿が映っていなかの確認をしていた。
「長さん。ラモちゃん見つかりそうですか?」
「何とも言えないな。殺人をするのは、奴が気にいった女の人らしい」
「あの人、正真正銘の女性ですよね?」
「多分。レズビアンなのかも。なんせ、多様性の時代だから」
「そこに突っ込む気はないですが、相手を殺すっていう神経が分かりません」
「それって、絢ちゃんの感想ですよね?」長四郎は瞼をパチパチと開閉させる。
「モノマネはしなくて良いですから」
「よく今ので、モノマネだと分かったね」
「感心してないで、長さんも手伝ってください」
「へいへい」長四郎は作業に取り掛かろうとする手をピタッと止める。
「絢ちゃん、ごめん。事件解決の切り札を持っていたのを忘れてた!」
長四郎はそう言って席を立ち、部屋を出ていった。
そんな頃、佐藤田警部補は命捜班を訪ねてきた松重刑事と話していた。
「ようこそ、陸の孤島へ」
佐藤田警部補はそう言って、珈琲の入ったマグカップを机の上に置いた。
「陸の孤島ね。にしては、楽園のように見えるのは俺だけかな?」
部屋のモニターに繋がれたゲーム機を見て、松重刑事はふっと笑う。
「ああ、あれね。うちの若いのが持ってきたのよ」
「そうかい。咎めないところがあんたらしいけどね」
「ちゃんと、注意しましたよ。節度を持ってやりなさいってね。そんな話をする為に来たんじゃないでしょ?」
「そうだった。これを見てくれ」
持ってきた封筒を佐藤田警部補の前に置くと、佐藤田警部補はすぐに封筒から捜査資料を取り出して目を通す。
「これ? 本当なの?」読み終えた佐藤田警部補の第一声はそれであった。
「本当だ。美術館に置かれていた女性の腕は、FBI捜査官のものだった。日本まで追跡していたが捕まってバラバラさ」
「よく分かったね。FBIの捜査官って。」
「最初は日本人女性と思って捜査していたんだが、司法解剖の結果で外国人だと分かって。当然、捜索願が出ている外国人を当たっていたんだが、アメリカ大使館からそのFBI捜査官が羽田空港で行方不明となったっていう情報が捜査本部に入ってな。もしやと思って、本国から彼女の所持品を送ってもらってDNA検査したら」
「一致した」
松重刑事はコクリと頷いて答えた。
「それで、FBIはなんて?」
佐藤田警部補は資料に記載されていないことを問うた。
「それが沈黙なんだ。なぁ、イヴ・ウィンガードは単独犯じゃないのか?」
「何となくだがイヴ・ウィンガードは何らかの組織に属していて、組織の仕事をこなすついでに自身の殺人をしているって考えられるかもな」
「組織か。FBIが殺されるのも納得の理由だな。ありがとう。また動きが分かったら連絡するよ」
「どうも。宜しくお願い致します」
佐藤田警部補は松重刑事に頭を下げる。
「よしてくれよ。じゃ」
松重刑事が命捜班の部屋を出ていったと同時に、佐藤田警部補のスマホにメッセージが入る。
それを見た佐藤田警部補は顔をしかめ「もう少し、早くに言ってよ」と苦言を呈するのだった。
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