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第参拾参話-幻想
幻想-14
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「あ~ もしもし、今回は出番の少ない一川ばい」
長四郎の下に一川警部から電話が掛かってきた。
「どうも」
「例の件なんやけどね」
一川警部は長四郎の頼みである捜査をしていた。その定期報告であった。
「はい、はい。分かりました」
「で、そっちのほうはどうなの?」
「そうですねぇ~ 芳しくないです」
「芳しくないとね?」
「はい」
「それで、これからどげんすると?」
「今、次の一手を考え中なので」
「じゃ、その一手を楽しみにしとくばい」
「そう言われると困ります」
長四郎は照れくさい感じで答え、通話を終了した。
「はぁ~ 疲れた」
首をゴリゴリっと音を立てて長四郎は首の凝りをほぐそうとするがほぐれるわけもなくこの凝りをほぐすには、身体を温めるほかにない。
長四郎はそう思い、流行りのサウナに繰り出すことにした。
日が変わって翌日。
燐は時間になっても姿を現さない長四郎を訪ねて事務所へと向かった。
今日は、再度、小石川植物園へ行く予定で昨晩解散したのだ。だが、長四郎は姿を現すことなく連絡もつかないので仕方なく五反田にある事務所へUターンする羽目になった。
合鍵を使って事務所に入ると「居るぅ~」と声を掛けるが返事はない。
「寝てるな・・・・・・」
燐は長四郎が居るであろう事務所奥にある自室へと通ずるドアを開ける。
そして、寝室へ音を立てずに入る燐。
長四郎はベッドの上で大きく口を開け、熟睡していた。
「すぅ~」っと息を吸ってから「起きろォォォォォォォォ!!!」と耳元に向かって叫ぶ。
長四郎は「うわぁぁぁぁぁぁぁ」と変な声を出してベッドから転げ落ちる。
「な、何すんだよ・・・・・・」
「起きなさい。何時だと思ってるんだよ」
「何時だって?」
枕元に置いてあるスマホを取り時間を確認する。時刻は12時を過ぎていた。
「う~わ。こんなに寝てたんだ。いやぁ~ 悪い。悪い」
「悪いじゃないし。全く」
「疲れてたの。おじさんは君みたいに若くないの」
「20代後半のくせに」
「馬鹿者! 20を過ぎたら皆、おじさん、おばさんの仲間入りなんだよ」
「知らないよ。そんな事。それより植物園に行くんでしょ?」
「行かないよ。今日は」
「今日は?」
「その前にお着替えするから出ていってくれるかしら?」
長四郎は女子みたいな言い方をして燐を部屋から追い出す。
二人は朝食と昼食がてら、お台場にあるイタリアンレストランに来ていた。
「真逆の位置にいるけど、良いの?」
燐は出されたパスタをフォークで巻き巻きしながら、長四郎に質問した。
「良いの」長四郎は答えながら、ピザに手を付ける。
「しかも、飲んでるし」
ピザを食べた後に、イタリアの地ビールで喉を潤す長四郎を見て呆れる燐。
「そう軽蔑した目で俺を見るな」
「見るわよ。で、お台場にきた理由は?」
「ここだ」
長四郎はスマホにお台場に新設された植物園の公式ホームページを見せる。
「また植物園?」
「植物園がカギだろ?」
「そうなの?」
「そうなの。で、ジギタリスを見に行くの」
「植物見て事件解決できるの?」
「? マークが多いんだよ。ラモちゃんは」
「だって、あんたが何も言わないから」
「言わないよ。言ったら事件解決するもん」
「絶対、噓だ」
燐はそう言ってパスタを大きくすする。
「うわぁ~ 汚ねぇ」
「汚くないし」
「イタリア人が見たら怒るぞ、パスタはすするものじゃないって」
「それは失礼しました」
燐は当てつけのように、またパスタを啜って食べるのだった。
長四郎の下に一川警部から電話が掛かってきた。
「どうも」
「例の件なんやけどね」
一川警部は長四郎の頼みである捜査をしていた。その定期報告であった。
「はい、はい。分かりました」
「で、そっちのほうはどうなの?」
「そうですねぇ~ 芳しくないです」
「芳しくないとね?」
「はい」
「それで、これからどげんすると?」
「今、次の一手を考え中なので」
「じゃ、その一手を楽しみにしとくばい」
「そう言われると困ります」
長四郎は照れくさい感じで答え、通話を終了した。
「はぁ~ 疲れた」
首をゴリゴリっと音を立てて長四郎は首の凝りをほぐそうとするがほぐれるわけもなくこの凝りをほぐすには、身体を温めるほかにない。
長四郎はそう思い、流行りのサウナに繰り出すことにした。
日が変わって翌日。
燐は時間になっても姿を現さない長四郎を訪ねて事務所へと向かった。
今日は、再度、小石川植物園へ行く予定で昨晩解散したのだ。だが、長四郎は姿を現すことなく連絡もつかないので仕方なく五反田にある事務所へUターンする羽目になった。
合鍵を使って事務所に入ると「居るぅ~」と声を掛けるが返事はない。
「寝てるな・・・・・・」
燐は長四郎が居るであろう事務所奥にある自室へと通ずるドアを開ける。
そして、寝室へ音を立てずに入る燐。
長四郎はベッドの上で大きく口を開け、熟睡していた。
「すぅ~」っと息を吸ってから「起きろォォォォォォォォ!!!」と耳元に向かって叫ぶ。
長四郎は「うわぁぁぁぁぁぁぁ」と変な声を出してベッドから転げ落ちる。
「な、何すんだよ・・・・・・」
「起きなさい。何時だと思ってるんだよ」
「何時だって?」
枕元に置いてあるスマホを取り時間を確認する。時刻は12時を過ぎていた。
「う~わ。こんなに寝てたんだ。いやぁ~ 悪い。悪い」
「悪いじゃないし。全く」
「疲れてたの。おじさんは君みたいに若くないの」
「20代後半のくせに」
「馬鹿者! 20を過ぎたら皆、おじさん、おばさんの仲間入りなんだよ」
「知らないよ。そんな事。それより植物園に行くんでしょ?」
「行かないよ。今日は」
「今日は?」
「その前にお着替えするから出ていってくれるかしら?」
長四郎は女子みたいな言い方をして燐を部屋から追い出す。
二人は朝食と昼食がてら、お台場にあるイタリアンレストランに来ていた。
「真逆の位置にいるけど、良いの?」
燐は出されたパスタをフォークで巻き巻きしながら、長四郎に質問した。
「良いの」長四郎は答えながら、ピザに手を付ける。
「しかも、飲んでるし」
ピザを食べた後に、イタリアの地ビールで喉を潤す長四郎を見て呆れる燐。
「そう軽蔑した目で俺を見るな」
「見るわよ。で、お台場にきた理由は?」
「ここだ」
長四郎はスマホにお台場に新設された植物園の公式ホームページを見せる。
「また植物園?」
「植物園がカギだろ?」
「そうなの?」
「そうなの。で、ジギタリスを見に行くの」
「植物見て事件解決できるの?」
「? マークが多いんだよ。ラモちゃんは」
「だって、あんたが何も言わないから」
「言わないよ。言ったら事件解決するもん」
「絶対、噓だ」
燐はそう言ってパスタを大きくすする。
「うわぁ~ 汚ねぇ」
「汚くないし」
「イタリア人が見たら怒るぞ、パスタはすするものじゃないって」
「それは失礼しました」
燐は当てつけのように、またパスタを啜って食べるのだった。
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