探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第参拾漆話-試練

試練-10

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「おい! 貴様!! 分からんのか!!!」

 大谷巡査は男を問い詰めるが男はニヤニヤ笑うだけで答えない。

「き、貴様ぁぁぁぁぁ!」大谷巡査は男を殴ろうとするが、佐藤田警部補に止められる。

「な、何をするんですか?」

「落ち着きなさいよ。殴っても、意味ないから」

「し、しかし!」

「しかしじゃないから、落ち着きなよ」と絢巡査長も宥める。

「なぁ、正直に話してくれない?」佐藤田警部補の問いに「僕が答えると思いますか?」と不敵な笑みを浮かべる男。

「ダメか・・・・・・」
 佐藤田警部補は頭をボリボリと掻きながら、去っていった。

“あの、何か分かりました?”と長四郎の声がする。

“すいません。まだ、分かっていません”

 絢巡査長は悔しそうに答えた。

「万事休すか・・・・・・」燐は天を見上げ、ここまでかといった顔をする。

「りりちゃんは、赤、白、青で言えば何色が好き?」

「急に何ですか?」長四郎にそう問うリリ。

「何色が好きかな? と思って」

「あんた、まさか好きな色で切ろうなんて考えてないでしょうね?」

「流石は名探偵のラモちゃん。ご名答」

「ええっ!! そんなんで切ろうとしていたんですか!?」リリは答えなくて良かったと安堵する。

「うん。それしかないだろ?」

「それしかないって・・・・・・」

「考えましょうよ。探偵さん」

 リリの説得に長四郎は、え~ っといった顔をする。

 そんな会話をしているのを聞いていた絢巡査長達は、頭を抱えて悩む。

 残り時間も僅かになり、犯人の男は答えないようともしない。こんな八方塞がりの状況を打開出来る策は見つからない。

「なぁ、君は何色が好き?」

 いつの間にか戻ってきた佐藤田警部補は、男にそう問うた。

「佐藤田さん!?」

「ね、何が好き?」絢巡査長の小言を手で制しながら、質問を続ける。

「何色でも良いでしょう」

「ぬわんだとぉぉぉ!!」大谷巡査が男に掴みかかろうとするので絢巡査長は必死で止める。

「いや、大事な事だよ。何色が好きなの?」

「言っておきますけど、答えませんよ」

「何で? 君の目的は、あのビルを爆破することだろ?」

「・・・・・・」男は無言で佐藤田警部補の話に耳を傾ける。

「だったら、一か八か、爆破して見ようと思わない?」

「思いますね」と答える男に掴みかかろうとする大谷巡査を必死で止める絢巡査長。

「でしょう? じゃあ、教えてよ」

「分かりました。教えます。赤と青の線を切ってください。同時に切らないと爆発します」

「OK」佐藤田警部補はOKサインをし、マイクのスイッチを入れる。

“探偵さん、白の線を切って”

 指示に従い、長四郎は迷わずに白の線を切る。

「あ、切った!!」
 燐はリリを庇うように覆い被さり、爆風を受けようとする。

「止まったようだな」

 長四郎は安堵したようにふぅ~ っと息を吐いた。

 ビルのロックが解除した音が鳴り、エレベーターが稼働し始めた。

 本部テントでも、拍手が巻き起こり捜査員達は握手を交わす。

「何で白だと分かった?」男の問いに「爆破したいんだったら、本命の線を言うだろうと思ってな・・・・・・」と答えテントを去っていた。

「来い!!」大谷巡査は男をひっ立たせると、警視庁へと連行していった。

 30分後、長四郎達はビルから出てきた。

「お疲れ様でした」絢巡査長は労いの言葉をかける。

「いや、ホントに疲れたぁ~」長四郎はう~んと背を伸ばす。

「こいつのせいで冷や冷やした」燐の言葉にうんうんと頷くリリ。

「酷いなぁ~ 助かったから良かったじゃない」

「佐藤田さんのおかげでしょ? あれ佐藤田さんは?」

「帰ったみたい」

「なぁ~んだ。お礼したかったのに・・・・・・」長四郎は残念がる。

「長さんの口からお礼って、言葉が聞けるとは・・・・・・」

「二人共、俺をなんだと思ってるの?」

「ま、なんにせよ。事件解決したんで、ご飯でも行きましょうか。長さんの奢りで」

「良いですね。行きましょう」

 女子三人に連れられながら、長四郎はその日の夕飯を食べに行くのだった。

                                                                                                                                                     完
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