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第1話-出会
出会-9
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「セクハラですか?」薫は私頭に事実確認する。
「はい。そうです。残念な話ですが・・・・・・」
「退職されたと仰っていましたが、それはいつの事でしょうか?」京助が質問すると「昨年の5月です」と答えた。
「5月。これまただいぶ前の話ですね」
「・・・・・・」
京助の発言に返答しない私頭。
「5月の話だったら何なんですか?」
「いや、もしその人が犯人だったら計画的犯行になるよなぁ~と思ってさ」
「だとしたら、金智さんの推理は外れているってことじゃないですか」
薫に痛い所を疲れ、京助は少し狼狽えた表情を見せる。
「そ、そんな事ねぇし。全てあくまでも可能性の話だから!!」
「そんなこと言ってもダメです。すいませんが、その女性について詳しく教えて頂けますか?」薫はメモ帳を取り出して、本格的に話を聞き出そうとする。
「分かりました」
そこから私頭は退職した女性社員の西口 杏について語り始めた。
西口杏は、入社4年目の社員であった。着実にキャリアを積み、順調のように進んでいたかのように見えた矢先、事件は起こった。
西口杏が、セクハラを訴え出たのだ。
会社はすぐさま内部調査を行いその結果、その様な事実は確認できなかったのだ。
当然、西口杏は反論した。だが、それは認められず会社を去ることとなった。
「それで、西口杏さんがセクハラした相手が飯田さんだった」
「そうです。死んだ人間を悪く言いたくないですが、かなり悪賢い奴だったんだと思います。役員に根回しをして、彼女の告発を握りつぶしたので」
「そうでしたか」
薫はそう返事をしながら、被害者の飯田に怒りを覚える。
西口杏は勇気を出して告発したのに、それを握りつぶしただけではなく会社から追い出し平然と暮らしていたと考えると怒りを抑えずにはいられなかった。
「にしても、酷い話ですね。同じ女として許せません」
「ごもっともです」
薫と私頭が意気投合しているのに対して、京助はというとつまらなそうに二人の会話を聞いていた。
「犯人は女性かぁ~」
天井を見て、自身が座る回転椅子をクルクルと回しながら京助は発現する。
「何か問題なんですか?」
「問題と言うか、何というか。ほら、さっき会社に誰が電話してきたか聞いたって言ったでしょ」
「はい」
「そん時に聞いたのよ。電話口の相手が、男か女かを」
「女じゃないんですか?」
「ブッブー男でしたぁ~」
クイズ番組の司会者風に答える京助に苛立ちを覚える薫と私頭。
「じゃあ、協力者かもしれないじゃないですか?」
「協力者?」
「そうです。私頭さん、西口杏さんがこの会社にいる時、親しくしていた男性は知りませんか?」
薫が質問すると、「そうですねぇ~」と少し考えた私頭は「すいません。心当たりになる人物は思いつきません」と申し訳なさそうに答えた。
その回答を聞き、京助はニヤッと笑みを浮かべる。
「協力者を見つけましょう」
これからの捜査方針を立て、勢い良く椅子から立ち上がる。
「薫ちゃん。それも良いけど、同僚の刑事に情報を共有してからの方が良いんじゃない?」
「それもそうですね。じゃあ、連絡してきますので待っていてください」
薫は二人にそう告げると、連絡をしにその場から立ち去った。
京助は薫の姿が消えたのを確認し、口を開いた。
「私頭さん、西口杏さんが犯人だとお思いですか?」
「え? 信じたくはないですけど。もしそうなら、仕方いかなと」
「仕方ないですか・・・・・・」
「ええ」
「もし、西口杏さんが犯人だったとしてここの鍵はどうやって開けたと思います?」
「はい?」
「だから鍵ですよ。俺がここに来た時に、鍵は開いていたのでお世辞にも密室とは言えない状況だったので」
「鍵はこのビルの守衛が管理しています。最後にここを出る社員が鍵を守衛に預けて帰り、来たときはその逆で守衛から鍵を貰います」
「じゃあ、守衛さんに確認を取れば良い。と言いたい所ですけど、刑事が聴取しているはずなので薫ちゃんから聞くとしましょう」
「はぁ」
急に自分の推理を語り始めた京助に戸惑う私頭は早くこの時間が終わることを心の底から願うのであった。
「はい。そうです。残念な話ですが・・・・・・」
「退職されたと仰っていましたが、それはいつの事でしょうか?」京助が質問すると「昨年の5月です」と答えた。
「5月。これまただいぶ前の話ですね」
「・・・・・・」
京助の発言に返答しない私頭。
「5月の話だったら何なんですか?」
「いや、もしその人が犯人だったら計画的犯行になるよなぁ~と思ってさ」
「だとしたら、金智さんの推理は外れているってことじゃないですか」
薫に痛い所を疲れ、京助は少し狼狽えた表情を見せる。
「そ、そんな事ねぇし。全てあくまでも可能性の話だから!!」
「そんなこと言ってもダメです。すいませんが、その女性について詳しく教えて頂けますか?」薫はメモ帳を取り出して、本格的に話を聞き出そうとする。
「分かりました」
そこから私頭は退職した女性社員の西口 杏について語り始めた。
西口杏は、入社4年目の社員であった。着実にキャリアを積み、順調のように進んでいたかのように見えた矢先、事件は起こった。
西口杏が、セクハラを訴え出たのだ。
会社はすぐさま内部調査を行いその結果、その様な事実は確認できなかったのだ。
当然、西口杏は反論した。だが、それは認められず会社を去ることとなった。
「それで、西口杏さんがセクハラした相手が飯田さんだった」
「そうです。死んだ人間を悪く言いたくないですが、かなり悪賢い奴だったんだと思います。役員に根回しをして、彼女の告発を握りつぶしたので」
「そうでしたか」
薫はそう返事をしながら、被害者の飯田に怒りを覚える。
西口杏は勇気を出して告発したのに、それを握りつぶしただけではなく会社から追い出し平然と暮らしていたと考えると怒りを抑えずにはいられなかった。
「にしても、酷い話ですね。同じ女として許せません」
「ごもっともです」
薫と私頭が意気投合しているのに対して、京助はというとつまらなそうに二人の会話を聞いていた。
「犯人は女性かぁ~」
天井を見て、自身が座る回転椅子をクルクルと回しながら京助は発現する。
「何か問題なんですか?」
「問題と言うか、何というか。ほら、さっき会社に誰が電話してきたか聞いたって言ったでしょ」
「はい」
「そん時に聞いたのよ。電話口の相手が、男か女かを」
「女じゃないんですか?」
「ブッブー男でしたぁ~」
クイズ番組の司会者風に答える京助に苛立ちを覚える薫と私頭。
「じゃあ、協力者かもしれないじゃないですか?」
「協力者?」
「そうです。私頭さん、西口杏さんがこの会社にいる時、親しくしていた男性は知りませんか?」
薫が質問すると、「そうですねぇ~」と少し考えた私頭は「すいません。心当たりになる人物は思いつきません」と申し訳なさそうに答えた。
その回答を聞き、京助はニヤッと笑みを浮かべる。
「協力者を見つけましょう」
これからの捜査方針を立て、勢い良く椅子から立ち上がる。
「薫ちゃん。それも良いけど、同僚の刑事に情報を共有してからの方が良いんじゃない?」
「それもそうですね。じゃあ、連絡してきますので待っていてください」
薫は二人にそう告げると、連絡をしにその場から立ち去った。
京助は薫の姿が消えたのを確認し、口を開いた。
「私頭さん、西口杏さんが犯人だとお思いですか?」
「え? 信じたくはないですけど。もしそうなら、仕方いかなと」
「仕方ないですか・・・・・・」
「ええ」
「もし、西口杏さんが犯人だったとしてここの鍵はどうやって開けたと思います?」
「はい?」
「だから鍵ですよ。俺がここに来た時に、鍵は開いていたのでお世辞にも密室とは言えない状況だったので」
「鍵はこのビルの守衛が管理しています。最後にここを出る社員が鍵を守衛に預けて帰り、来たときはその逆で守衛から鍵を貰います」
「じゃあ、守衛さんに確認を取れば良い。と言いたい所ですけど、刑事が聴取しているはずなので薫ちゃんから聞くとしましょう」
「はぁ」
急に自分の推理を語り始めた京助に戸惑う私頭は早くこの時間が終わることを心の底から願うのであった。
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