20 / 45
第2話-救出
救出-5
しおりを挟む
「配置完了しました」
福山が服の袖に隠しているマイクで、別の場所で張り込んでいる佐保田に報告した。
「了解。犯人が来るまで待機」捜査員全員に通告し、犯人到着まで張り込みを続ける。
そんな会話をする捜査員全員の目は、公園の中心で突っ立って犯人を待つ浩の姿が映っていた。
そんな浩はソワソワしながら犯人を待っていると、浩が持つエミリのスマホにメッセージが入る。
“警察が多いので、場所を変更する。追って連絡する”
「そんな・・・・・・刑事さん、犯人からメッセージが届きました。場所を変更したいと」
浩は耳につけたマイク付きのBuletoothイヤホンを介して、佐保田に犯人からの要求を伝えた。
「分かりました。一旦、撤収しましょう」
佐保田の指示を受けて、浩、佐保田の部下三人も太秦家へと戻った。
「お帰りなさい。お金は渡せたの?」リビングに戻って来たばかりの浩に、体調が回復したエミリが結果を尋ねた。
だが、浩は首を横に振り「渡せなかった」とだけ答えソファーに腰を下ろし顔を手で覆った。
「奥さん、申し訳ございません。次こそは、必ずお金を渡せるようにしますから」そう言って、エミリを励ます佐保田。
「佐保田さん。どうして、お金を渡す前提なんですか?」
京助がそう質問すると、佐保田は顔をゆがませてこう言った。
「何が言いたい? 金を渡せば太朗君はすぐに戻って来るんだぞ。素人は邪魔しないでくれ」
「どうも、失礼しました」
「にしても、ここまで長丁場になるとは・・・・・・」佐保田も今までの事件とは違う状況に戸惑いを隠せないようで頭を悩ませる。
「薫ちゃん、ちょっと良い?」京助は薫にそう言い、リビングから連れ出す。
「何か?」
廊下に出て薫はすぐに話を切り出した。
「いやさ、気になっていた事が分かったんだよ」
「え? 何なんですか? 教えてください」
「薫ちゃん、同じ警察官として気にならなかった?」
「何がです?」
「易々と身代金を渡すことに関してだよ」
「人質の解放が優先事項なので、当然じゃないですか?」
「いや、渡すまでは良いんだよ。不自然じゃない。けど、取り返すという項目があの佐保田っていう刑事からは抜け落ちているように感じるんだよな」
「じゃあ、金智さんは佐保田さんが犯人ではないか。そう仰りたいんですか?」
「犯人グループの仲間じゃないかな。それと、太朗君の行動パターンを熟知している身近な人間が誘拐したのではないかな。どう思う? 薫ちゃん」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
「ま、薫ちゃんも少し疑った目で捜査に参加した方が良いと思うぜ」
京助はそれだけ言うと、リビングに戻った。
「何を話していた?」部屋に入るや否や佐保田にそう聞かれ「デートのお誘いをなんつって」と誤魔化す京助にふんっと鼻を鳴らして呆れたといった態度を見せた。
「刑事さん、太朗は無事なんでしょうか?」
浩は弱弱しい声で太朗の安否について、質問した。
「それは何とも。ですが、今までの事件パターンからして安全である事の方が高いかと。心配しないでください。必ず助け出しますから」
『お願いします!』太秦夫婦揃って、刑事達に頭を下げる。
「頭をあげてください。次の要求の時の為に、作戦を立てましょう」と前向きな発言で佐保田は夫婦を元気づける。
それから、特殊事件捜査係の刑事と太秦夫婦で知恵を出し合い作戦を立てる。
だが、手すきの薫は暇そうにしながら作戦会議に聞き耳を立てるだけであった。
そんな中、京助はリビングから姿を消していた。
福山が服の袖に隠しているマイクで、別の場所で張り込んでいる佐保田に報告した。
「了解。犯人が来るまで待機」捜査員全員に通告し、犯人到着まで張り込みを続ける。
そんな会話をする捜査員全員の目は、公園の中心で突っ立って犯人を待つ浩の姿が映っていた。
そんな浩はソワソワしながら犯人を待っていると、浩が持つエミリのスマホにメッセージが入る。
“警察が多いので、場所を変更する。追って連絡する”
「そんな・・・・・・刑事さん、犯人からメッセージが届きました。場所を変更したいと」
浩は耳につけたマイク付きのBuletoothイヤホンを介して、佐保田に犯人からの要求を伝えた。
「分かりました。一旦、撤収しましょう」
佐保田の指示を受けて、浩、佐保田の部下三人も太秦家へと戻った。
「お帰りなさい。お金は渡せたの?」リビングに戻って来たばかりの浩に、体調が回復したエミリが結果を尋ねた。
だが、浩は首を横に振り「渡せなかった」とだけ答えソファーに腰を下ろし顔を手で覆った。
「奥さん、申し訳ございません。次こそは、必ずお金を渡せるようにしますから」そう言って、エミリを励ます佐保田。
「佐保田さん。どうして、お金を渡す前提なんですか?」
京助がそう質問すると、佐保田は顔をゆがませてこう言った。
「何が言いたい? 金を渡せば太朗君はすぐに戻って来るんだぞ。素人は邪魔しないでくれ」
「どうも、失礼しました」
「にしても、ここまで長丁場になるとは・・・・・・」佐保田も今までの事件とは違う状況に戸惑いを隠せないようで頭を悩ませる。
「薫ちゃん、ちょっと良い?」京助は薫にそう言い、リビングから連れ出す。
「何か?」
廊下に出て薫はすぐに話を切り出した。
「いやさ、気になっていた事が分かったんだよ」
「え? 何なんですか? 教えてください」
「薫ちゃん、同じ警察官として気にならなかった?」
「何がです?」
「易々と身代金を渡すことに関してだよ」
「人質の解放が優先事項なので、当然じゃないですか?」
「いや、渡すまでは良いんだよ。不自然じゃない。けど、取り返すという項目があの佐保田っていう刑事からは抜け落ちているように感じるんだよな」
「じゃあ、金智さんは佐保田さんが犯人ではないか。そう仰りたいんですか?」
「犯人グループの仲間じゃないかな。それと、太朗君の行動パターンを熟知している身近な人間が誘拐したのではないかな。どう思う? 薫ちゃん」
「それは・・・・・・その・・・・・・」
「ま、薫ちゃんも少し疑った目で捜査に参加した方が良いと思うぜ」
京助はそれだけ言うと、リビングに戻った。
「何を話していた?」部屋に入るや否や佐保田にそう聞かれ「デートのお誘いをなんつって」と誤魔化す京助にふんっと鼻を鳴らして呆れたといった態度を見せた。
「刑事さん、太朗は無事なんでしょうか?」
浩は弱弱しい声で太朗の安否について、質問した。
「それは何とも。ですが、今までの事件パターンからして安全である事の方が高いかと。心配しないでください。必ず助け出しますから」
『お願いします!』太秦夫婦揃って、刑事達に頭を下げる。
「頭をあげてください。次の要求の時の為に、作戦を立てましょう」と前向きな発言で佐保田は夫婦を元気づける。
それから、特殊事件捜査係の刑事と太秦夫婦で知恵を出し合い作戦を立てる。
だが、手すきの薫は暇そうにしながら作戦会議に聞き耳を立てるだけであった。
そんな中、京助はリビングから姿を消していた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
隣人意識調査の結果について
三嶋トウカ
ホラー
「隣人意識調査を行います。ご協力お願いいたします」
隣人意識調査の結果が出ましたので、担当者はご確認ください。
一部、確認の必要な点がございます。
今後も引き続き、調査をお願いいたします。
伊佐鷺裏市役所 防犯推進課
※
・モキュメンタリー調を意識しています。
書体や口調が話によって異なる場合があります。
・この話は、別サイトでも公開しています。
※
【更新について】
既に完結済みのお話を、
・投稿初日は5話
・翌日から一週間毎日1話
・その後は二日に一回1話
の更新予定で進めていきます。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる