コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす

明衣令央

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最終章:国の終わり、そして始まり

69・後悔と改心

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「ごめんなさい、父さん、母さん、ウォルト兄さん、アラン兄さん……ごめんなさい、オウンドーラ王……」

「やっと、理解できたか。そうか……」

 今さらトマスが後悔しようが反省しようが、オウンドーラ王はどうでも良かった。
 今の状況を引っ繰り返してこの国を救う術など、無いに等しかったからだ。
 いや、正確には無いに等しいだけで、方法はあった。
 ただ、それが成功する確率こそ、無いに等しかったのだ。

「オウンドーラ王……僕は、どうすればいいですか? どうしたら許されますか? どう償えばいいですか?」

 今さら許してほしいのかと、オウンドーラ王は呆れたようにトマスを見つめた。

「そうだな……この国が救われれば、お前の罪も多少は許されるかもしれんな」

「この国を救う……どうしたらいいでしょう……誰か、魔物たちを倒してくれるような人が居れば……」

 そう呟いたトマスは、突然目を輝かせてオウンドーラ王を見つめた。

「そうだ、ギルベルト・ガンドールに戻ってきてもらえばいいんですよ!」

「お前は、簡単に言うなぁ。一体誰のせいでギルベルト・ガンドールが出て行ったと思っているんだ……」

 ギルベルト・ガンドールに助けを求める事――それはもちろんオウンドーラ王も考えた事だったが、オウンドーラ王には、自分がギルベルト・ガンドールを怒らせた自覚があった。
 それに、ギルベルト・ガンドールは、この結末まで理解して出て行ったのだから、戻ってくるはずがない。
 それをトマスに教えてやると、彼は落胆したが、再び顔を上げて言った。

「でも、一生懸命頼めば! もしかすると!」

「トマス……」

「オウンドーラ王、僕、この間は、自分が悪いなんて全く思っていませんでした。だけど今は、本当に反省しているし、なんて事をしてしまったんだろうって、後悔しているんです。だから、僕が一生懸命に頼めば、ギルベルト・ガンドールは考え直してくれるのではないでしょうか?」

 確かに、今のトマスは以前のトマスとは違うのかもしれないと、オウンドーラ王は思った。
 今の彼は、自分が犯した罪のせいで、家族を失ってしまった事を理解して、反省している。
 オウンドーラ王には、今残っている兵士たちには、できるだけ国民たちを守らせたかった。
 それなら、無理を承知で、手が空いているトマスをギルベルトの元へ行かせるのも、一つの手かもしれない。

「お前は体が弱いと聞いていたが、一人で馬に乗れるのか? お前がギルベルトの元に行くとしても、誰も供につけてはやれないぞ? それに、王都を出たとしても、ギルベルトの元に行くまでには、まだ魔の森を抜けねばならない。お前に行けるのか?」

 オウンドーラ王の言葉に、トマスは少し考え込んだが、頷いた。

「馬には、昔、少しだけ乗った事があります……。上手くはないけど、乗れない事はないはずです。それから魔の森は……怖いけれど、そんな事を言っている場合じゃないです! 僕はなんとしてでも、ギルベルト・ガンドールに会いに行きます!」

 そう言ったトマスに、わかった、とオウンドーラ王は頷き、馬の手配をしてくれた。
 そしてトマスは与えられた馬に乗り、ギルベルト・ガンドールに会うために、魔の森の先を目指す事になった。
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