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第1章・異世界転移と異世界転生

看病したかっただけなのに③

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 ジャンくんとモネちゃんが出ていくと、ユリウスは私の体に腕を回したまま、はぁ、と深いため息をついた。
 どうしたのかと聞いてみると、彼はしばらく黙って考え込んでいたが、思い切ったように口を開いた。

「オリエ、その……君は今俺の隣に居てくれるのは、君が俺のベッド潜り込んだっていう事でいいのかな?」

「は? 何言ってるの?」

 私は体を捻り、ユリウスの方を見た。
 そして、目の前の逞しい褐色の胸板を見て、急に恥ずかしくなってしまう。
 だって、男の人の裸とか、見慣れていないんだものっ!
 多分、今の私は、顔が真っ赤になっているだろう。
 恥ずかしくなって、私は声を張り上げた。

「昨日、様子を見に来たの! そうしたら、ユリウスが腕を掴んで、引っ張り込んだんだよっ」

「そう、ごめんね。でも、抜け出そうとしたら、抜け出せたんじゃないの?」

「無理だよっ! だって、すごい力だったんだよ! 今のユリウスに、今の私が抵抗できるはずないじゃない! それに、私がそばにいたら落ち着くって、安心するって言うし、だからっ……」

「だから?」

「だから、大人しく抱き枕になって……そしてそのまま、寝ちゃったんだよ……」

 私がそう答えると、ユリウスは顔を赤くして、幸せそうに笑った。

「つまり、オリエは俺の腕の中にいるのは、嫌じゃないっていう事でいいかな?」

「え?」

 この人、いきなり何を言うの? と思ったけれど、私は少し迷いながらも頷いた。
 だって、実際嫌じゃなかったから。

「じゃあ……俺は今後、君を口説くつもりでいたのだけれど、その事に希望を持っていいって事かな?」

「え?」

 私が首を傾げると、ユリウスは苦笑する。

「昨日……いや、一昨日の夜だったかな? 言っただろ? 好きだって」

「え?」

「愛してるよ、オリエ。ジュニアスが君を連れて行った時、本当に気が狂うかと思った。君を無事に取り戻せて良かった……」

 私、もしかして今、告白されている?
 こんなにもカッコいい人から?
 今まで告白なんてされた事がなかったから、素直に信じる事ができない。
 だけどユリウスは真剣な、優しい表情で私を見つめていて、私には彼が嘘を言っているようには思えなかった。

「ごめん、驚かせたよね……。返事は、急がなくてもいいから。これからしばらくは、お互い忙しいだろうからね」

 戸惑う私に、ユリウスは優しく笑って……そして気を使ってくれたのだろう、少しおどけた感じで、

「オリエ、お腹が減った。何か作って」

 と言った。

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