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第1章・異世界転移と異世界転生

看病したかっただけなのに②

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「うわぁ、展開早すぎじゃない?」

「そうかも……。アルバトス様の心配していた通りね……」

 誰かの話し声が聞こえて、私は目を覚ました。
 まだ眠いから、目を擦りながら、誰の声だろうと必死に目を開く。

「あ、オリエさん、起きた?」

「ごめんね、起こしちゃって。アルバトス様が心配してたから、様子を見にきたんだけど、ごめんね、邪魔しちゃって」

 声の主は、ジャンくんとモネちゃんだった。
 アルバトスさんがしていた心配って、なんだろう?
 あと、邪魔って何? 寝てたのを起こされたから?

 あぁ、私、寝てたのか。いつの間に寝たんだろう?
 すごく暖かくて、気持ちいいから、寝ちゃったのかな?

 と考えて、私はこの場所が、アルバトスさんが貸してくれた部屋でないことに気がついた。
 そして、自分の体に後ろから巻き付いた、逞しい腕にも。

「え? えぇっ?」

 逞しい腕は、男性のものだ。誰の腕だろうと少し考えて、思い出した。
 腕の主は、気持ち良さそうに、すうすうと寝息を立てて眠っている。

「オリエさん、その……すでに一線を……」

「ジャン!」

 何かを言いかけたジャンくんを、モネちゃんが止めた。
 ジャンくんは、一体何を言いかけたっけ?
 確か、イッセンとか言ってたな……イッセンってなんだ?
 首を傾げた私の後ろから、声がする。

「まだだ」

「え?」

 首だけ後ろに向けて振り返ると、褐色の肌に銀色の髪をした、金色の瞳の男の人。

「ジャン、伯父上は大丈夫か」

「はい、だいぶ回復されました。今はうちの親父やモネの親父さんと、今後の事を話されています」

「わかった。今日は俺もそちらに向かうと、伯父上に伝えてくれ。それから、モネ」

「はい」

「すまないが、何着か服を用意してくれ。手持ちでは、少しきついんだ」

「わかりました。すぐにご用意してお持ちします」

 ユリウスからの指示を受けたジャンくんとモネちゃんは、一礼すると部屋から出て行った。


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