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第1章・異世界転移と異世界転生

看病したかっただけなのに①

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 ユリウスの様子を見に行くと、彼はベッドに横になって、苦しそうに呻いていた。
 先程話をした時は、平気そうに見えていたけれど、本当は無理をしていたのかもしれない。
 女性から男性へ、体が変わってるんだものね。
 外見だけでなく、内蔵の方も変わっているのなら、私の時とは違うだろう。
 私の場合は、ぶっちゃけおデブさんから分厚い肉がなくなったくらいだし、苦しかったのは元の自分を殺された直後だけだった。
 その後は意識を失って五日間も寝ていたそうだから、その間にゆっくりと体は変わり、回復したのだと思う。

「ユリウス……」

 苦しそうなユリウスの額に触れると、かなりの熱が出ているようだった。
 熱でぬるくなったタオルを濡らして、再び額にあててあげると、うっすらと金色の瞳を開けて、嬉しそうに笑う。

「ユリウス、今度は、そばに居ていいかな」

 そう尋ねると、ユリウスは頷いてくれた。
 ゆっくりと伸ばされた手を取ると、熱い手が私の手を握りしめる。
 そして。

「え?」

 ぐい、と引っ張られ、気づくとベッドに引きずり込まれ、熱い体に包まれていた。
 私はただただ混乱し、え? え? え? と、頭の中に、クエスチョンマークをまき散らす。

「あぁ、オリエは、体温が低くて、気持ちいい……」

 逞しい腕にすっぽりと包まれて、耳元でそんな事を囁かれた。
 これは、どういう状況だ?
 熱が高いユリウスが、体温低めの私で自分の熱を冷ましたいだけ?
 だけど、この状況はいかがなものだろう?
 私、超イケメンに熱い体で抱き締められて、心臓が口から飛び出そうなくらい暴れてるんだけどー!
 なんとか抜け出せないかと体をひねったんだけと、それを許さないというかのように、ユリウスの逞しい褐色の腕が体に巻き付けられて、放してくれない。

「オリエがそばに居ると……少し気が紛れる……心身共に、安らぐ事ができる……」

「そう、なの?」

「そうだよ。だって、ジュニアスに連れて行かれたときは、気が狂いそうになってた……だから、今は、落ち着く……オリエはここに居るんだって、安心、する……」

 ユリウスはそう呟くと、そのまま眠りに落ちてしまったようだった。
 言葉通り、少し落ち着いたのだろう、規則正しい寝息が首筋をくすぐる。
 安心して眠りにつけたのなら、良かった。
 それに私が必要だというのなら、このまま大人しくひんやり抱き枕になっていてもいいかもしれない。
 今の私は、ただの抱き枕だ。
 私はそう思いながら、自分の体に回されたユリウスの手に自分の手を重ねて、彼が少しでも回復するようにとヒールを唱え、目を閉じた。

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