異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

文字の大きさ
102 / 370
第1章・異世界転移と異世界転生

ユリウスのお披露目①

しおりを挟む

「ねぇ、ユリウス……もしかして、なんだけど、昨日より成長した?」

 朝ごはんを食べる前に気付いたんだけど、ユリウスの体は昨日よりも少し大きくなっているように見えた。
 多分、二センチか三センチは大きくなっているような気がする。
 だって、昨日着ていたシャツやズボンが、ピチピチになっていたのだ。

「成長、したね。でも、もう落ち着いたと思う。心配をかけて悪かったね。あと、こんな恰好でごめん。手持ちの服は、全部こんな感じなんだ」

「ううん、大丈夫だよ。私は、ユリウスが元気になったのなら、それでいいから」

 ユリウスが元気になったのは、本当だと思う。
 昨日の朝とは比べ物にならないくらい、今日の彼は食欲旺盛だったからだ。
 良く食べるっていう事は、元気な証拠だと私は思っている。

「服の事なんだけどね」

「何だい?」

「ユリアナの時、大き目の服……男物ばかり着ていたのは、いつ体が変わっても大丈夫なようにしていたの?」

 私の問いに、そうだよ、とユリウスは頷いた。

「考えてみてごらんよ。女物の服を着ていて、突然体が変わったら、大変だと思わないか?」

 確かにそうかもしれない……私は想像してしまい、思わず吹き出してしまった。

「笑いごとじゃないんだよ、オリエ。そんなに簡単にあの人が死ぬはずはないとは思っていたけれど、もしもの事があるからね。だから、ドレスや着飾る事は避けていたんだ」

 そう言えば、ドレスは着ない、着飾る事は好きではない、みたいな事を、以前言っていたよね。
 あの時は、着飾ったら美人だろうな、もったいないなぁ、なんて事を思っていたけど、こんな理由があったなんて、夢にも思わなかった。

「失礼しまーす、ユリウス様、服をお持ちしましたー」

 モネちゃんがユリウスの服を持ってきたのは、朝食の片付けを終えた頃だった。

「助かったよ、モネ。ありがとう」

「いいえ、どういたしまして」

 今の体に合った服へと着替えたユリウスを見て、私はやっぱり彼はカッコいいなぁなんて思っていた。
 無造作に髪を結んだ彼は、

「髪も切らなきゃなぁ」

 と、小さく呟く。
 ユリアナはストレートの髪を背中の真ん中あたりまで長くしていたから、今のユリウスは、アニメの美形キャラのような銀髪の長髪だ。
 このままでもいいんじゃないかと思ったけれど、ユリウスは切る気満々のようだった。
 まぁ、髪を短くしてもカッコいいだろうけど。

「さて、顔を見せに行くかぁ」

「うん。みんな心配してると思うよ」

「そうだね、たくさん心配しているだろうな……。でも今度は、驚かせてしまうね」

 苦笑するユリウスに、そうかもね、と私も頷いた。
 なんてったってユリアナ王女が、男の人になっちゃったんだもんね。
 みんなびっくりするんだろうなぁ。

「ジャンくんとモネちゃんは、ユリウスの事、知っていたの?」

 私が尋ねると、ジャンくんとモネちゃんは頷いた。
 二人とも、お父さんから聞いていたらしい。
 ジャンくんのお父さんは、このシルヴィーク村の村長だし、モネちゃんのお父さんは、冒険者登録もできるハロン商店の経営者だ。
 このシルヴィーク村でユリウスを育てるために、アルバトスさんが協力を求めたのだろう。

「ユリウス様の事は、うちやモネのところの他は、一部の大人だけが知っているらしいです。でも、ほとんどの人が知らないだろうから……すごく驚くと思います……」

「男は号泣、女は黄色い声を上げる光景が目に浮かぶわ」

 ジャンくんとモネちゃんは、そう言うと苦笑した。
 確かに、美人のユリアナ王女が消えて、こんなにカッコいいユリウスが現れたら、男の子は泣いちゃうし、女の子は大騒ぎだろうね。
 ユリウス、モテるんだろうなぁ。
 そんな事を思いながら彼を見上げると、ユリウスは少し疲れたような顔で、ふう、とため息をついた。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...