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第1章・異世界転移と異世界転生

アルバトスとの約束①

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「オリエさん、これからの事ですが、この結界の術者を代わりますので、私の代わりに、ずっとユリウスのそばにいてあげてください」

「え?」

「ユリウスがこれからどう生きて行くかはあの子に任せますが、私はあの子には広い世界を見てもらいたいと思っています。だから私の代わりに、あなたにはあの子に寄り添ってもらいたいのです」

「結界の術者を代わるって、できるんですか? 確か、魔力が足りないとか言っていませんでした?」

 確か、アルバトスさんが術者だと、命をかけても数日で結界が解けてしまうって言っていたはずだ。

「えぇ、言っていましたね。だけど、結界を維持できるだけの魔力さえ用意できれば、術者を代わる事ができます。だから、あなたにはまた魔結晶を造ってもらう事になりますが、私が術者……結界の人柱的な役割を代われば、オリエさんはユリウスと共に、どこにでも行く事ができすよ」

「それは、嬉しいですけど……」

 だけど今度は、アルバトスさんがこの村から動けなくなってしまうって事なんじゃないかな。
 それを言うと、彼は頷き、大丈夫ですよ、と緑の目を優しく細めて笑った。

「私は、いいんですよ。私はこの村が大好きですし、のんびりと残りの余生を過ごします」

「余生って……」

 アルバトスさんって、多分元の私と同年代か、少しだけ年下なんだよね。
 まだまだ若いのに、と思ってしまうんだけど、本当にそれでいいんだろうか?

「いいんですよ、オリエさん。ユリウスだって、私が安全な場所で大人しくしておいた方が、落ち着くでしょう」

 確かに、それはあるかもしれない。
 私はアルバトスさんの申し出に頷いた。

「じゃあ、よろしくお願いします」

 私は、ずっと、ユリウスと一緒に居たかった。
 例え、どんな危険な場所であっても、彼が行くなら、どこまでもついていきたい。
 その事をアルバトスさんに言うと、アルバトスさんは頷いた。

「そうしてあげてください。あの子のそばに、ずっと居てあげてください。あと、オリエさんにはあの子の事で、お願いがあります。聞いていただけますか?」

「はい」

「あの子は普段は穏やかな子だと思うのですが、内面にはとても激しい感情も持っている子です。私が一度命を失った事により、あの子の封じていた力は解放されました。その強大な力を、一時の感情で間違った使い方をしないように、あの子の枷になってあげてほしいのです」

 私はアルバトスさんが一度命を落とした時の事を思い出した。
 あの時のユリウスは、私の声も届かないくらい、怒りに我を失っていた。

「私に、それができるでしょうか?」

 少し不安になって聞いてみると、アルバトスさんは深く頷いた。

「もちろんですよ。逆にあなたにしか、あの子を止める事はできないでしょう。オリエさん、よろしくお願いしますね」

 アルバトスさんはそう言うと、ペコリと私に頭を下げた。

「あの子はあなたの事が大好きなので、あなたがそばにいれば、穏やかでいられると思います。だから、ずっとあの子のそばに居て、安心させてやってください」

「はい」

 私は深く頷いた。
 私の中の、ずっとユリウスのそばに居たい気持ちは、真実だ。
 彼にうっとおしいと思われるくらい、そばに居ようと思う。

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