大勢の前で婚約破棄を言い渡されましたが、それは幸せへの道の第一歩でした

明衣令央

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39.思いがけない来訪者

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 それは、リカルドとアリアの婚礼まであと五日という日の事だった。
 王宮に両家の親族が集まり、婚礼の最終打ち合わせを行っていた時、リカルドの元を、ウクブレストの王女が訪ねてきたという報告が入った。

「ターニア様が? どうされたのでしょう?」

 ターニアはディスタルの妹で、現在十五歳、クリスと同じ年齢だった。
 幼い頃から学問に興味を持ち、非常に勉強熱心で、十三歳の頃から他国に留学をしていたはずなのだが、突然の訪問に全員が驚いた。
 ターニアとは友人であったはずなのだが、ウクブレスト王家に対して怒りを燻らせているクリスは、不快感を顕にする。

「とりあえず、わざわざ来てくれたんだ。会わないわけにはいかないだろう」

 父親であるフレルデント王ーーライルの言葉に、リカルドは頷いた。

「そうですね、僕とステファンで会いましょう。父上、念のため、魔法で会話を確認してください」
「ああ、わかった」

 頷いたライルが指をパチンと鳴らすと、空中に映像が浮かび上がる。
 そこには長いライトブラウンの髪を緩く三つ編みにした、一人の少女が映し出されていた。
 どうなっているのかと驚くアリアたちに、

「ターニアを通した部屋の映像だよ。父上が魔法で様子を確認できるようにしたんだ」

 とリカルドが言った。

「先に言っておくけれど、僕らはいつもこんな盗み聞きのような事をしているわけではないからね。だけど、彼女はウクブレストの王女。このフレルデントに何をしにきたのか、その真意を見極めるためにも、全員で確認をした方がいいだろう」

 リカルドはそう言うと、ステファンと共に部屋を出ていった。

「ターニア様……」
 
 アリアがターニアの姿を見るのは、久しぶりだった。
 おそらく最後に会ってから、二年以上は経過しているはずだった。
 彼女は留学先から全くウクブレストに戻らず、勉学に勤しんでいると聞いていた。
 元気そうな姿を目にし、良かった、とアリアは呟いた。

「やあ、ターニア、久しぶりだね」

 しばらくすると、リカルドとステファンが、ターニアが待つ部屋へと入室した。
 リカルドの入室と共に、ターニアは立ち上がりドレスの裾を軽く持ち上げて挨拶をする。

「リカルド様、お久しぶりです」
「何年も留学に出ていたと聞いていたが、今日はどうしたんだい?」

 リカルドがそう言うと、ターニアは困ったような表情になり……
 
「お願いです、リカルド様。今のウクブレストに関する事で、ご存知の事があれば、何でもいいので教えていただきたいのです」

 と言った。
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