大勢の前で婚約破棄を言い渡されましたが、それは幸せへの道の第一歩でした

明衣令央

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45.祝福

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「ここは、どこなのでしょう……」

 先程まで、フレルデント王の前に居たはずだった。
 周りには家族も居て、婚礼の儀を行なっていたはずなのに、いつの間にか白一色の不思議な空間の中に居る。
 不安になったアリアは、リカルドにしがみ付いた。

「どうやら精霊の光の中から、別の空間に飛ばされたようだね。だけど大丈夫だ。ここは危険な場所じゃないよ」

 リカルドはそう言って、優しくアリアを抱き寄せた。
 アリアはリカルドの腕の中、ほう、と息をつく。
 彼がそばに居てくれるだけで、心が安らいだ。
 そして、確かにここは危険な場所などではないと思う。

「アリア、驚かせてごめんね」

 五人の子供たちは、心配そうにアリアを見つめる。 
 優しい子供たちだ、とアリアは思った。

「大丈夫ですよ」

 そう答えると、子供たちは安心したように表情を緩めた。
 彼らは人間で例えるなら、十歳くらいの子供の姿だった。
 どの子供も整った顔立ちをしており、尖った耳をしている。
 子供たちはリカルドとアリアの前で横に一列に並んでいて、一斉に胸に手を当てると五人揃って、丁寧なお辞儀をした。

「リカルド、アリア、フレルデントの未来の王と王妃よ。本日の婚礼、おめでとうございます」

 代表してそう言ったのは、真ん中に居た緑の髪の子供だった。

「我らは、あなた方がその命を終えるまで、あなた方を守る事を誓おう。だから、残りの眷属にも名を与えてほしいのだ」
「え?」

 どういう意味なのだろう?
 首を傾げたアリアに、

「なるほどね。アリア、君が付けてあげるといいよ」

 と、リカルドが耳打ちする。

「では、まずは、我の名を!」

 そう言って元気に手を挙げたのは、向かって一番左に立っている、赤い髪の子供だった。

「さ、アリア」
「え? 名前? じゃあ……」

 子供の赤い髪は、アリアに炎を連想させた。
 赤く、激しい炎。

「では、『ホムラ』ではどうでしょう?」
「うむ、気に入った!」
「次は、わしじゃ!」

 赤い髪の子供の次は、その隣の水色の髪の子供が手を挙げた。
 水色の髪は、美しい水の流れを連想させた。

「では、『スイレイ』と」
「スイレイか! 良いな!」
「次は私です!」

 次に手を挙げたのは、真ん中の緑の髪の子供の隣に居た、光輝く金色の髪の子供だった。

「『コウリン』」

 と呟くように言うと、金色の髪の子供は、嬉しそうに笑みを浮かべた。

「次は、俺だ!」

 次に手を挙げたのは、向かって右端に居た黒髪の子供だった。
 艶のある美しい黒髪から、

「『カゲツヤ』」

 と呟くと黒髪の子供は満足そうに頷いた。

「我ら眷属は、リカルドとアリアの命がある限り、二人の愛するものを守ろう。いつでも力を貸そう」

 緑の髪の子供がそう言い、五人は胸に手を当て、またお辞儀をした。

「あの、あなたの名前は?」

 四人の子供には名前を付けたが、まだ真ん中にいる緑の髪の子供には付けていなかった。
 緑の髪の子供の事は、何と呼べばいいのだろうと思い、問いかけたアリアに、緑の髪の子供は嬉しそうに笑い、言った。

「アリア、僕の名前は、ハルカゼだよ」
「え?」

 ハルカゼ、という名前を、アリアは聞いた事があった。
 そんな、まさか、と思う。

「リカルド、アリア、僕ら眷属は、君たちの命がある限り、二人が愛するものを守るよ。いつでも力を貸すから」

 緑の髪の子供――ハルカゼがそう言って笑った瞬間、視界が真っ白になり、隣に立つリカルドも、目の前の五人の子供たちも見えなくなった。


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