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第125話
しおりを挟む応えを期待してるトコ悪いが、生憎と俺はその疑問に一々反応してやる程お優しい出来た人間ではない。
隣に立つ異常者もどうせ似たようなコトでも考えてんだろう。興が冷めたと言わんばかりの表情を態々浮かべていた。
「…ンなコトぐらい自分で考えろ」
「お前学年3位なンだろ?ソコに付いてる大層な頭はオカザリか?」
まさに“侮蔑した”と言っても過言でない、酷く貶んだ声音を2人して眼前で弱々しく震える人物に放つ。
最近流行ってるらしい小説風に例えるなら、俺達が悪役令嬢ってヤツで、副会長がヒロインだろう。俺達は全員女ではないが。
「なん、で…」
始めの頃の余裕は一体何処へ逃げ出したのか。
己の不幸を哀れみ、ただ助けを待つだけのお姫サマのように弱々しく震えた声音で呟く彼は、寄る辺を見失った幼子のようだった。
「(常時被っていた猫に脱走された今の副会長を見たとして、一体何人が本人だと気が付くんだろうな)」
恐らく片手にも満たないと、頭の片隅で考える。
華織学園では誰もが空想する。
他人に押し付けた理想を崇め、讃えるコトで弱い自分を守っている。
眼前の幼子は、自身に当てられた役を熟しつつ、恐らく俺に理想を見出したコトで自分を守っていたのだろう。
だから、ヒーローがまるで悪役のようなコトをヒロインにしてくる現実と理想の乖離でこうなっている。
「…憐れだな」
「ぁ……」
人格が完全に形成されていない頃から、“イイコ”であろうと誰かの理想を演じていれば、きっと育つモノも育たない。大方、コイツの根本は未だ幼子のままなのだろう。
そんな奴に子飼いをさせるなんて、理事長も人が悪い。
…いや、俺が言えたコトではないか。
「そろそろコイツ連れてかないッスか?」
面倒くさそうに軽く欠伸をしたコウハイは、既に興味を失ったようだった。こんなにも面白みの無い茶番劇は早く終わらせてしまいたいという考えが透けて見える。
「あぁそうだな」
かく言う俺も似たようなコトを考えていた。
特に予定など無いが、いつまでも此処で無駄に時間を潰す程の享楽家になったつもりはない。
まぁ、此処で過ごした時間など10分にも満たないが。
緩慢に視線を戻せば、希望や絶望、悲哀等が複雑に入り混じった薄暗くなってしまった2つの青色と直撃した。お自慢の頭は働いていないのか、ぼんやりとコチラを見上げたまま微かに頬を紅く染める。
…マジで見る影もねぇな、コイツ。
「うッわ、なァンかコレ軽く壊れてねェ?センパイナニした?」
つられて視線を向けたらしいコウハイが、明らかに様子のオカシイ副会長を見て軽くドン引いている。つい数秒前までは確かにソコにあったはずの無気力感は何処かへ消えていた。
「別に何もしてないが。お前だって知ってるだろ」
「だからこそッスよ、気狂い」
「残念だが、マジで心当たりねぇんだわ」
「マジかよヤバくね」
「あぁ、面倒くせぇコトになった」
ガシガシと軽く右側頭部を掻きながら舌打ちする。
コウハイ曰く“壊れた”らしい幼子は、俺達が言葉の応酬をしている間も、夢見がちな少女のように頬を紅らめ、一心にコチラを視界に映していた。
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