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第96話 (no side)
しおりを挟む「「「き…キャァァァァァァアアアッ!!」」」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉおおッ!!」」」
「水無月様抱いてーー!!」
「書記様甘味を献上させてー!!」
「なんでオレはあっちに行っちゃダメなんだよ!!!!!!」
「うわ彼処毬藻いんじゃん…隠れとこ」
「副会長様…嗚呼、本日も実に麗しい…踏まれたい…」
会計と書記によるファンサで、一気に黄色い声で騒がしくなった舞台下を眺め、副会長は憂いのため息をついた。
憂う副会長からは何とも言えぬ色気が醸し出ており、その姿を最前列で目撃してしまった幸運な生徒達は皆一様に顔を赤らめて倒れていく。
現場は更に混沌を極めた。
『…皆さん、静かにして下さい。でないと新歓に参加させませんよ?』
痺れを切らした副会長がようやく口を開いた。その言葉とともに浮かべられた笑顔は心做しか黒い気がする。その笑顔はまるで…そう、魔王様が降臨する前置きのときのような…。
「「「……………」」」
『ふふ、出来るではないですか。次からは私が言わずとも静かにして欲しいものです。…では、最後に会長の神崎と風紀委員長の神無月からお願いします。……お二人とも、言い合い等というくだらない事をして時間を無駄にしないで下さいね?』
「チッ…」
「勿論だ」
副会長のお願いを聞いた会長は実に嫌そうに顔を顰めて舌打ちし、俺様なオーラを纏って悠然と中央へ向かう。
それに対して、舞台脇から少し遅れて出てきた委員長は、至って真面目な顔をしていた。
『一度しか言わねぇから、俺様の話をよく聞いとけ。いいな?』
「「「「はい!!」」」」
「「「Yes, sir !!」」」
しっかり躾けられた生徒達は、告げられた会長の言葉に一も二も無く同意の意を表する。皆の視線は会長ただ一人に向けられ、その言葉
を聞き逃さぬよう耳を澄ませていた。
『今回の鬼ごっこだが…俺達生徒会も参加する。勿論“飼い主”側としてだ。気が向けば捕まえてやる、楽しみにしておけ。あぁ最後に言っておくが…面倒事起こして俺様を煩わせるなよ』
会長が口角を片側だけ上げてニヤリと嗤うと、今度はサイレントで黄色い悲鳴が上がる。
それを見下ろし満足気な表情を零した後、相手の方を一瞥もせずにマイクを放り投げた。
空中で軌跡を描いたそれが鈍い音を立てることは無く、タイミング良く彼の方に近付いてきた者の手に収まる。
己が投げたマイクの行方を追うことなく、出番は終わったとばかりに元居た場所へと会長は足を運ぶ。
また委員長もそれを咎めようとはせず、捕らえたそれの電源を入れて口を開いた。
『風紀から連絡だ。今回の行事によって生じるであろう混乱に乗り、不適切な行為を行う事が無いようにして欲しい。強姦や暴力、制裁等は以ての外だ。それでもやると言うのなら…それ相当の覚悟を持っておけよ?……俺が必ず殺ってやる』
妙な考えを抱いていた者は皆腹の底から恐怖を感じ、被害者と成り得る可能性の高い者はその言葉に全幅の信頼と安堵を持つ。それ以外の者は自分には関係無いと他人事に聞いている。
『また昨年同様、風紀は参加せずに見回りを実施する。何か異変等が発生した場合、付近の委員に話しかけてくれ。それでは主役である新入生達、新歓を楽しんで』
珍しく委員長が笑顔をこぼすと、講堂内のボルテージが一気に上がり、若者らしい元気な歓声が溢れた。
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2026.01.21▶10話を更新。次は和の視点に戻ります。個人的にとても好きな朔間兄弟を出せてうきうきが止まりません。2章を終えたら近況ボートを書いてみようなどと思っている次第ですが、終わり所を正直まだ悩んでおります。11話も個人的に好きなキャラクターが初登場なんですよね。楽しみ。
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