14 / 24
それについては黙っておいて
大社君の話(#1)
しおりを挟む
「おにーさん、なにかお困り?」
「あ!自転車のチェーンの調子がいまいちで。借り物だから、下手にいじって壊してもやだし。」
「なるほど~。どれどれ~?」
「直るかな?」
道のはじっこで、
立ち往生している
おにーさんがいたので、
話しかけてみた。
「すごい、直った!ありがとう!お礼にこれあげる。食べて!」
爆弾のようなおにぎりを渡される。
「初対面で、お手製の握り飯をもらうとは思わなかった!」
「がぶりとやっちゃって!」
「えぇ??ここで食うの?」
ためらっていると、
ぐいぐいと鼻先に
爆弾おにぎりを押しつけられる。
「見た目の割にうまいね!」
「おなか壊さないといいね!」
もぐもぐと8割以上
食べたところで、
笑顔でそう言われる。
「そんな危険物なのか?!」
「僕しか食べたことがないから、どうだろうね?!」
おにーさん!
恩を仇で返す気?!
「食べっぷりが良くて、注意が遅れたなぁ。わんこにエサを恵んだ気分!」
くふふと笑われても。
儚げな美男子に見えるが、
外見に惑わされてはいけない。
このおにーさん、
予測不能の自由人だ!
「あ!わんこ君、朝からずっと襟足の近くがちくちくしてるんだけど、ついでに見てもらえる?」
「わんこ君になってるし!クソぅ、どえらいのに話しかけちゃったな~。どれ?」
おにーさんの襟足から、
ニット帽の中へと
入り込んでいるものがある。
「おにーさん、ニット帽取って?」
「わかった。」
ふわっと髪がこぼれ落ちてきたので、
後ろ髪を寄せて襟足を探ると、
プラスチック製のタグが出てきた。
タグを巻き込んだまま
ニット帽を被るなんて、
ある意味、器用だな!?
「レディース・シャツ、6,480円だって。」
「値札なの?気がつかなかった!」
「おにーさん、一応聞くけど、レディース物だと知ってて着てんの?」
「レディース物なの?知らなかった!」
「やっぱな~!そーくると思った!」
「あ!わんこ君、あと二回出会えたら、本名教えてね!」
意味不明な言葉を残して、
おにーさんはチャリに乗って
消えていった。
いろんな意味で
おなかがいっぱいだ。
強烈だったが、
その後は出会うこともなく、
(腹は下さずに済んだ。)
数日が過ぎていった。
「大社君、これあげる!食べ切れなくて。」
「やった!うまそう!さんきゅ~!」
学食で、西国と五段坂と
一緒に昼飯を食っていると、
知ってる女子におにぎりを恵まれた。
「みんなのわんこはいーよな。」
「可愛がられキャラは得だわ。」
「うらやましいだろ?」
西国と五段坂に
見せびらかしながら、
おにぎりを頬張る。
あれ??
見た目の割にうまくない。
「なんだその、ビミョーな顔。」
「うまくねーとか、贅沢なこと思ってんなよ。」
「いや!十分うまいけど!」
うまいけど、
あの爆弾のような
おにぎりの方がうまかった。
いつもの顔ぶれ以外と、
飲んだ夜の帰り道。
ほろ酔い状態で歩いていると、
道のはじっこで、
しゃがみ込んでいる人影を見つけた。
酔っ払い?
具合わりーのかな?
あまり関わりたくはねーけど。
うす暗闇で、目が合った。
よく見えないけど……。
「おにーさん?」
「わんこ君?」
「なにしてんの?具合でもわりーの?」
「ううん。探し物。髪飾り落としちゃったんだ。」
「髪飾り?おにーさんの彼女の?」
「いや、僕の髪に付いてたんだ。友達にアメコミ?してもらって、飾りまで付けてもらったんだけど、ふと髪に手をやったら、付いてなくて。」
「アメコミ?編み込みじゃね?」
「そう、それ!明日返すことになっているのに、どうしようかなぁ。」
おにーさんは少し抜けてて、
しかも、髪型を良いように
いじられてるっぽい。
これだけキレイだと、
いろいろとかまいたく
なるんだろうな。
「また借り物なのか。ったく、一緒に探してやるよ。」
「え、いいの?悪いね!」
「おにーさん。」
「なに?あった?」
「一応聞くけど、髪飾りは両側に付いてた?」
「ううん。右側だけだよ。」
「今、左側に付いてるのは?」
「あ!これだ!右じゃなくて左側だったんだ。失くしてなくてよかった!わんこ君、すごい!よくわかったね!」
「両側に付けるにしては、一個がでかいからさ~。もしやと思ったら、ビンゴかよ!」
少しどころか、
けっこう抜けてる。
「わんこ君、もう一回出会えたら、本名教えてね。約束だよ!」
また意味不明な言葉を残して、
おにーさんは暗闇に消えていった。
「あ!自転車のチェーンの調子がいまいちで。借り物だから、下手にいじって壊してもやだし。」
「なるほど~。どれどれ~?」
「直るかな?」
道のはじっこで、
立ち往生している
おにーさんがいたので、
話しかけてみた。
「すごい、直った!ありがとう!お礼にこれあげる。食べて!」
爆弾のようなおにぎりを渡される。
「初対面で、お手製の握り飯をもらうとは思わなかった!」
「がぶりとやっちゃって!」
「えぇ??ここで食うの?」
ためらっていると、
ぐいぐいと鼻先に
爆弾おにぎりを押しつけられる。
「見た目の割にうまいね!」
「おなか壊さないといいね!」
もぐもぐと8割以上
食べたところで、
笑顔でそう言われる。
「そんな危険物なのか?!」
「僕しか食べたことがないから、どうだろうね?!」
おにーさん!
恩を仇で返す気?!
「食べっぷりが良くて、注意が遅れたなぁ。わんこにエサを恵んだ気分!」
くふふと笑われても。
儚げな美男子に見えるが、
外見に惑わされてはいけない。
このおにーさん、
予測不能の自由人だ!
「あ!わんこ君、朝からずっと襟足の近くがちくちくしてるんだけど、ついでに見てもらえる?」
「わんこ君になってるし!クソぅ、どえらいのに話しかけちゃったな~。どれ?」
おにーさんの襟足から、
ニット帽の中へと
入り込んでいるものがある。
「おにーさん、ニット帽取って?」
「わかった。」
ふわっと髪がこぼれ落ちてきたので、
後ろ髪を寄せて襟足を探ると、
プラスチック製のタグが出てきた。
タグを巻き込んだまま
ニット帽を被るなんて、
ある意味、器用だな!?
「レディース・シャツ、6,480円だって。」
「値札なの?気がつかなかった!」
「おにーさん、一応聞くけど、レディース物だと知ってて着てんの?」
「レディース物なの?知らなかった!」
「やっぱな~!そーくると思った!」
「あ!わんこ君、あと二回出会えたら、本名教えてね!」
意味不明な言葉を残して、
おにーさんはチャリに乗って
消えていった。
いろんな意味で
おなかがいっぱいだ。
強烈だったが、
その後は出会うこともなく、
(腹は下さずに済んだ。)
数日が過ぎていった。
「大社君、これあげる!食べ切れなくて。」
「やった!うまそう!さんきゅ~!」
学食で、西国と五段坂と
一緒に昼飯を食っていると、
知ってる女子におにぎりを恵まれた。
「みんなのわんこはいーよな。」
「可愛がられキャラは得だわ。」
「うらやましいだろ?」
西国と五段坂に
見せびらかしながら、
おにぎりを頬張る。
あれ??
見た目の割にうまくない。
「なんだその、ビミョーな顔。」
「うまくねーとか、贅沢なこと思ってんなよ。」
「いや!十分うまいけど!」
うまいけど、
あの爆弾のような
おにぎりの方がうまかった。
いつもの顔ぶれ以外と、
飲んだ夜の帰り道。
ほろ酔い状態で歩いていると、
道のはじっこで、
しゃがみ込んでいる人影を見つけた。
酔っ払い?
具合わりーのかな?
あまり関わりたくはねーけど。
うす暗闇で、目が合った。
よく見えないけど……。
「おにーさん?」
「わんこ君?」
「なにしてんの?具合でもわりーの?」
「ううん。探し物。髪飾り落としちゃったんだ。」
「髪飾り?おにーさんの彼女の?」
「いや、僕の髪に付いてたんだ。友達にアメコミ?してもらって、飾りまで付けてもらったんだけど、ふと髪に手をやったら、付いてなくて。」
「アメコミ?編み込みじゃね?」
「そう、それ!明日返すことになっているのに、どうしようかなぁ。」
おにーさんは少し抜けてて、
しかも、髪型を良いように
いじられてるっぽい。
これだけキレイだと、
いろいろとかまいたく
なるんだろうな。
「また借り物なのか。ったく、一緒に探してやるよ。」
「え、いいの?悪いね!」
「おにーさん。」
「なに?あった?」
「一応聞くけど、髪飾りは両側に付いてた?」
「ううん。右側だけだよ。」
「今、左側に付いてるのは?」
「あ!これだ!右じゃなくて左側だったんだ。失くしてなくてよかった!わんこ君、すごい!よくわかったね!」
「両側に付けるにしては、一個がでかいからさ~。もしやと思ったら、ビンゴかよ!」
少しどころか、
けっこう抜けてる。
「わんこ君、もう一回出会えたら、本名教えてね。約束だよ!」
また意味不明な言葉を残して、
おにーさんは暗闇に消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
君と僕との泡沫は
七天八狂
BL
【ツンデレ美貌✕鈍感平凡の高校生】
品行方正才色兼備の生徒会長と、爪弾きの底辺ぼっちが親の再婚で義兄弟となった青春BLドラマ。
親の再婚で義兄弟となった正反対の二人の青春BL。
入学して以来、ずっと見つめ続けていた彼が義兄弟となった。
しかし、誰にでも親切で、みなから慕われている彼が向けてきたのは、拒絶の言葉だった。
櫻井優斗は、再婚を繰り返す母のせいで引っ越しと転校を余儀なくされ、友人をつくることを諦め、漫画を描くという趣味に没頭し、孤独に生きていた。
高校で出会った久我雅利の美貌に見惚れ、彼を主人公にした漫画を描くことに決めて、二年間観察し続けていた。
底辺ぼっちだった優斗は、周りから空気のように扱われていたから、見えない存在として、どれほど見ていても気づかれることはなかった。
そのはずが、同じ屋根の下に住む関係となり、当の本人に、絵を描いていたことまでもがバレてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる