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それがご馳走になる
何でもご馳走になる(右田園視点③)
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「景政くんは、いつからあの言葉遣いなの?」
「高校の時からだよ。全寮制の男子校で、身を守るために3年間、オネエを装ってたんだ。変わったヤツでいれば、迫られないから!って。」
「キレイなのも大変だね~。そんな可哀想な景政くんは、右田に末永く可愛がってもらうといいよ!」
「そうだな!右田、弟をよろしく頼む!お前の兄は、俺が一生をかけて幸せにするから!」
「勝手に決めるなよ。あいつにも選ぶ権利があるだろ。」
「絶対、右田を選ぶよ!!」
望と須野に口を揃えて断言された。懐かれたとは思ったが、色恋沙汰とは違うんじゃねぇのか。
「景政の連絡先を教えるから、メールでもしてやって!」
「のんちゃん、それじゃダメよ!右田がするわけないじゃない!2人が連絡先を交換するまでは立ち会わなきゃ!今すぐ景政くんに電話をかけてみて!」
「そうだな!わかった!」
須野に行動を読まれた。タイミング良く景政が電話に出て、望にスマホを押し付けられる。
『右田さん?私とまた会ってくれる?』
「会うって!だから、連絡先を交換しておけよ!」
「耳の近くで大声を出すなよ。うるせぇ。」
望は耳元で騒ぐし、須野の横槍もあって、次に会う予定までしっかり組まされた。
「景政くん、声がうれしそうだったね!」
「俺のことを、義兄ちゃんって呼んでもいいからな!」
「呼ばねぇよ。また面倒くせぇことになってきた。」
「そう言いながらも、右田だって景政くんを気に入ってるんでしょ?腕を組ませたり、すんなり2人で会う約束をするなんて奇跡だもの!」
「あいつには、虫ケラを追い払うような素振りをしないもんな。表情も仏のように穏やかだし。俺の扱いと違いすぎて大爆笑しちゃうレベル!」
「そんなに違うか?」
「全く違う!!」
望とノリが同じでうるせぇとは思ったが、どういう訳か扱いの違いは生じていて、思い当たる節はある。ま、いい加減な性格だし、深く考えてねぇけどな。
その日、景政とは、午前中に温浴施設内で落ち合うことにした。岩盤浴後に大浴場へ行くと、洗い場に景政らしき姿を見つけた。この色の白さは多分そうだ。
「右田さん!!こんな行き当たりばったりの待ち合わせは初めてだよ!何時に施設内のどことか指定しようよ!電話しても繋がらないし、このまま会えないかと思った!」
「会えたじゃねぇか。大袈裟だな。」
「ここに着いてから、1時間以上も経ってるんだよ?すっごく不安だったんだから!」
「そうか。悪ぃ。」
隣に座って間近で顔を合わせた途端、眉毛をハの字にしてひどく焦った様子で話すので、つい口元が緩んだ。
「う…!超男前の微笑みって半端ない!やばい、動悸がする!」
「動悸?顔も赤ぇし、風呂に入り過ぎてのぼせたか?」
「のぼせてないよ!右田さんを探すために、施設内を歩き回っていた時間の方が長いし!」
「なら、歩き回ったせいだろ。」
「違う!右田さんは全然わかってない!」
隣からの小言を聞き流しながら、ざっと全身を洗ってから湯船の方へ歩き出すと、景政が慌てて後を追ってきた。
「やっと会えたのに、置いて行かないで!あっ!」
「危ねぇな。居なくならねぇから、落ち着け。」
「ホント逞しい…。やっぱ、超格好良い…。」
転びそうな身体を受け止めると、景政が鼻血を出した。やっぱりのぼせてるじゃねぇか。タオルで鼻を押さえさせ、脱衣場へ引っ張っていく。
「ここで少し涼め。」
「うう…。恥ずかしい。」
鼻血はすぐに止まったが、腰にバスタオルを巻いた姿で長椅子に腰掛け、力なく下を向く様子にまた口元が緩んだ。
「ううう…。恥ずかし過ぎる。呆れた?」
ハの字眉毛で、目に涙を溜めながら俺を見てくるので、横に座って乾いたタオルで目元を拭いてやった。
「呆れてねぇよ。気にするな。」
「そんな優しい顔しないで…。余計に恥ずかしくなる。」
タオルで顔を覆ってしまった景政の頭を撫でる。毛並みの良い洋犬みてぇなやつだな。かまってくれオーラ全開で、呼べば尻尾を振り回して駆け寄ってきそうだ。
「飼い主ってのも面白そうだな。」
「…ん?何か言った?右田さんに会えて、安心したらお腹が減ったよ!もう大丈夫だから、着替えてお昼にしない?」
「何も。いいけど、本当に大丈夫か?」
「大丈夫!早く着替えて行こうよ!」
フードエリアへ移動し、景政に席取りを任せる。
メインの注文をした後、飲み物と単品を調達してから景政の待つ席へと向かう。
「お前はビールじゃなくて、ソフトドリンクな。」
「俺が飲むと、世話が大変になるもんね!」
「わかってんじゃねぇか。」
飲みながらつまんでいるうちに、メインが出来上がったので取りに行く。カツカレーとサラダのセットと、そばと天ぷらのセットを1つずつ頼んだ。
「カレーにらっきょうが付いてる。これもだけど、天ぷらの椎茸と茄子も食べたことがない。」
「何となく苦手意識があるからか?」
「当たり。でも、右田さんとなら案外美味しく食べられそう!」
「食べてみりゃ、案外何でもご馳走になるからな。」
「それを言われるのは2回目だ。右田さんが先に食べて!」
数口食べてから、らっきょうをカツカレーと一緒に、景政の口の中に放り込んでやる。天ぷらも半分ずつ先に食べて、同じようにしてやった。
「美味しいだろ?」
「美味しい!ご馳走になった!」
美人顔をほころばせて言うから、頭を撫でずにはいられなかった。撫でてやると、華やかな笑顔を向けてくる。こいつに尻尾があったら、千切れんばかりに振っているだろうな。飼い犬に餌をあげているようで、笑いがこみ上げてきた。
「右田さんの笑顔って貴重な上に、すさまじい破壊力だよ!」
「何も壊してねぇけど。」
「目に見えるものじゃないから!」
「何だそりゃ。意味がわかんねぇ。」
「高校の時からだよ。全寮制の男子校で、身を守るために3年間、オネエを装ってたんだ。変わったヤツでいれば、迫られないから!って。」
「キレイなのも大変だね~。そんな可哀想な景政くんは、右田に末永く可愛がってもらうといいよ!」
「そうだな!右田、弟をよろしく頼む!お前の兄は、俺が一生をかけて幸せにするから!」
「勝手に決めるなよ。あいつにも選ぶ権利があるだろ。」
「絶対、右田を選ぶよ!!」
望と須野に口を揃えて断言された。懐かれたとは思ったが、色恋沙汰とは違うんじゃねぇのか。
「景政の連絡先を教えるから、メールでもしてやって!」
「のんちゃん、それじゃダメよ!右田がするわけないじゃない!2人が連絡先を交換するまでは立ち会わなきゃ!今すぐ景政くんに電話をかけてみて!」
「そうだな!わかった!」
須野に行動を読まれた。タイミング良く景政が電話に出て、望にスマホを押し付けられる。
『右田さん?私とまた会ってくれる?』
「会うって!だから、連絡先を交換しておけよ!」
「耳の近くで大声を出すなよ。うるせぇ。」
望は耳元で騒ぐし、須野の横槍もあって、次に会う予定までしっかり組まされた。
「景政くん、声がうれしそうだったね!」
「俺のことを、義兄ちゃんって呼んでもいいからな!」
「呼ばねぇよ。また面倒くせぇことになってきた。」
「そう言いながらも、右田だって景政くんを気に入ってるんでしょ?腕を組ませたり、すんなり2人で会う約束をするなんて奇跡だもの!」
「あいつには、虫ケラを追い払うような素振りをしないもんな。表情も仏のように穏やかだし。俺の扱いと違いすぎて大爆笑しちゃうレベル!」
「そんなに違うか?」
「全く違う!!」
望とノリが同じでうるせぇとは思ったが、どういう訳か扱いの違いは生じていて、思い当たる節はある。ま、いい加減な性格だし、深く考えてねぇけどな。
その日、景政とは、午前中に温浴施設内で落ち合うことにした。岩盤浴後に大浴場へ行くと、洗い場に景政らしき姿を見つけた。この色の白さは多分そうだ。
「右田さん!!こんな行き当たりばったりの待ち合わせは初めてだよ!何時に施設内のどことか指定しようよ!電話しても繋がらないし、このまま会えないかと思った!」
「会えたじゃねぇか。大袈裟だな。」
「ここに着いてから、1時間以上も経ってるんだよ?すっごく不安だったんだから!」
「そうか。悪ぃ。」
隣に座って間近で顔を合わせた途端、眉毛をハの字にしてひどく焦った様子で話すので、つい口元が緩んだ。
「う…!超男前の微笑みって半端ない!やばい、動悸がする!」
「動悸?顔も赤ぇし、風呂に入り過ぎてのぼせたか?」
「のぼせてないよ!右田さんを探すために、施設内を歩き回っていた時間の方が長いし!」
「なら、歩き回ったせいだろ。」
「違う!右田さんは全然わかってない!」
隣からの小言を聞き流しながら、ざっと全身を洗ってから湯船の方へ歩き出すと、景政が慌てて後を追ってきた。
「やっと会えたのに、置いて行かないで!あっ!」
「危ねぇな。居なくならねぇから、落ち着け。」
「ホント逞しい…。やっぱ、超格好良い…。」
転びそうな身体を受け止めると、景政が鼻血を出した。やっぱりのぼせてるじゃねぇか。タオルで鼻を押さえさせ、脱衣場へ引っ張っていく。
「ここで少し涼め。」
「うう…。恥ずかしい。」
鼻血はすぐに止まったが、腰にバスタオルを巻いた姿で長椅子に腰掛け、力なく下を向く様子にまた口元が緩んだ。
「ううう…。恥ずかし過ぎる。呆れた?」
ハの字眉毛で、目に涙を溜めながら俺を見てくるので、横に座って乾いたタオルで目元を拭いてやった。
「呆れてねぇよ。気にするな。」
「そんな優しい顔しないで…。余計に恥ずかしくなる。」
タオルで顔を覆ってしまった景政の頭を撫でる。毛並みの良い洋犬みてぇなやつだな。かまってくれオーラ全開で、呼べば尻尾を振り回して駆け寄ってきそうだ。
「飼い主ってのも面白そうだな。」
「…ん?何か言った?右田さんに会えて、安心したらお腹が減ったよ!もう大丈夫だから、着替えてお昼にしない?」
「何も。いいけど、本当に大丈夫か?」
「大丈夫!早く着替えて行こうよ!」
フードエリアへ移動し、景政に席取りを任せる。
メインの注文をした後、飲み物と単品を調達してから景政の待つ席へと向かう。
「お前はビールじゃなくて、ソフトドリンクな。」
「俺が飲むと、世話が大変になるもんね!」
「わかってんじゃねぇか。」
飲みながらつまんでいるうちに、メインが出来上がったので取りに行く。カツカレーとサラダのセットと、そばと天ぷらのセットを1つずつ頼んだ。
「カレーにらっきょうが付いてる。これもだけど、天ぷらの椎茸と茄子も食べたことがない。」
「何となく苦手意識があるからか?」
「当たり。でも、右田さんとなら案外美味しく食べられそう!」
「食べてみりゃ、案外何でもご馳走になるからな。」
「それを言われるのは2回目だ。右田さんが先に食べて!」
数口食べてから、らっきょうをカツカレーと一緒に、景政の口の中に放り込んでやる。天ぷらも半分ずつ先に食べて、同じようにしてやった。
「美味しいだろ?」
「美味しい!ご馳走になった!」
美人顔をほころばせて言うから、頭を撫でずにはいられなかった。撫でてやると、華やかな笑顔を向けてくる。こいつに尻尾があったら、千切れんばかりに振っているだろうな。飼い犬に餌をあげているようで、笑いがこみ上げてきた。
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