俺が追放したテイマーがチート能力を手に入れてハーレム状態なんだが、もしかしてもう遅い?〜勇者パーティも女の子募集中です〜

ときのけん

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一章 四人の勇者と血の魔王

第17話 我が真紅の炎は迸る雷霆、斬鉄の神剣をも焦がす邪龍の怨嗟なり

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『ご存じですか?偉大なる初代勇者様はこの瘴気の森で聖剣を作成したのです。修復に必要な濃密な魔力は単に私や犬っころが流し込んで済む話ではなく、瘴気の森に生息し、瘴気に適合し吸収した魔物の血液や核でなければいけません。あの人の魔力は……異質でしたから』

「いやぁ……緊張したぁ、元とは言え魔王と普通にお喋りする日が来るとは思わなかったな」

「同感です」

 巨狼に瘴気を防ぐ障壁を付与されたリェフルとルリマは、魔力の充満したこの瘴気の森の大地を踏み締める。
 そこらへんの小さな動物もよく見れば身体の形が異質だったりする。何なら魔力を帯びている個体もいる事から、もはや動物というより魔物と言ってしまった方が正しいかもしれない。

「ほんとありがとね、協力してくれて!他国の勇者なんかに……」

「構いません。魔王を倒したい、世に平和をもたらしたいという願いは私もロクトも持っています。それを代理戦争まがいに仕立て上げた国が問題なのであって、貴方を敵対視などしていません」

「うぅ……ありがどぉおお!」

「離れてください」

「うーん冷たい」

 感極まって抱きついたリェフルをルリマの手が押しのける。

「ごめんごめん、仲間は聖剣壊しちゃった時に勢いで国から逃げたせいで置いてきちゃってさ。ずっと寂しかったんだよ人肌が……ポチさんはゴワゴワだし撫でようとしたらすごい怒っちゃって!なんか、禁忌魔法?っていうのあたしに向けて使ってくるし」

「禁忌魔法をそんな軽々と使用して大丈夫なんで……いえ、それに関しては何も言えませんね」

 禁忌という意味を知らないのか、軽率に使いまくる生意気な賢者をルリマは一人知っていた。

「そう言えば……ずっと気になっていたのですが」

「んー?」

 唾を飲み、一拍置いてルリマは言った。

「何をしたら、聖剣って壊れるんです?」

「あ、それ聞いちゃう?」

「……少し興味があったもので」

 もし岩の聖剣も破壊されるような事があれば──────という不安。長らく勇者という職業に憧れていたルリマは聖剣を絶対の神剣であると盲信していた。しかし彼女は目の前でバラバラの破片の状態の雷の聖剣を見てしまった。

 ロクトが戦闘中に聖剣が突如破壊され……彼の旅が終わりを迎えてしまうのではないか、と。

「まー心配だよね!恋人の聖剣があんなバラッバラになっちゃったらどうしようって」

「え“」

「へ、違うの?」

「いえ……別に……違わないです」

 見透かされていたとは思っていなかったルリマは過剰に反応してしまっていた。

(軽薄な雰囲気だとしても、この勇者は私の気配に気付いた。ロクトとは違ってしっかりとした実力者……油断は出来ないか)

「答えてもいいよ。でもあたしの質問も一つ、応じてほしいかな」

「なんでしょう?プライベートなものでなければお答えします」

「ロクトさんとルリマさんの馴れ初めを教えて?」

「思いっきりプライベートなのが来ましたね」

 ため息をつき、ルリマは深く後悔した。

(目的があったとは言え、ロクトに手を出すような性格には見えないし、結果的には無駄な嘘だった。それに加え、こんな内容の嘘をついていた事がもしロクトにバレたら……)

 死ぬほど馬鹿にしてくる姿はもう鮮明に想像できた。

「どしたの?そんなに嫌な質問だった?」

「……いえ、答えます。答えますとも」

 まず幼少期にロクトと初めて出会った時の事を話そうとしたが……彼女は気付いた。

「─────おや、待ってください」

 ルリマは茂みから出てきた魔物を見ると、レナから手渡されたメモをもう一度読み返した。

「【ブラッドスライム】の核……倒しましょう、聖剣修復のための素材です」

「了解~!」

 赤黒い、重力によって少し潰れた形の球体がふよふよと動く。跳ねる。

「と言っても主に戦うのはあたしじゃないんだけども……」

「任せてください」

 聖剣を失った北の勇者が持っている武器はどこの武器屋にも置いてあるような短剣のみ。申し訳なさそうにルリマを見ていたリェフルだが──────風を斬る音が耳に入る。

「……え」

 いつの間にか赤黒いスライムの身体は真っ二つになっていた。

「終わりました。核を取り出すのはリェフルさん、貴方が担当してくださる?」

「え、あっ、もちろん!」

 ぐちゃぐちゃのどろどろの液体に駆け寄り、まさぐりながら……リェフルは冷や汗を流す。

(─────斬撃が全く見えなかった。これが剣聖の娘……!)

 今の時代の『剣聖』とは神によって定められた職業ではなく、ただの称号だ。賢者も同じように、『最初の』剣聖や賢者はその職業を授かっていたが、現代では認められた者がそう呼ばれる。実際にルリマと彼女の父親である先代剣聖の職業は『剣士』。魔法協会の賢者の多くも『魔法使い』だ。

 先代剣聖は自ら引退したが、ルリマが剣聖を名乗ることはなかった。よって今代の剣聖は『不在』となっていた。

「魔剣持ってないのに全然強いじゃーん。なんで剣聖継がないの?」

「質問は一つのはずでは?」

「へいへい。聞きませんよー」

 リェフルから見たルリマの剣は、異常な力を有しているようには特に見えない普通の剣。先ほどのルリマの攻撃は魔剣の能力を利用した技術ではない……信じ難いが、そう解釈する他なかった。

「お、あったあった」

 手を血みどろのようなスライムの亡骸で汚しながら、リェフルは核を皮袋に収納する。

「きったね!あたし一回手洗いたい」

「すみません、必要な素材の魔物が────この洞窟の中にいるそうなので。それだけ手に入れてからでよろしいでしょうか」

「うーん……それもそうだね。じゃあ、お互いの質問に答えるのは戻って落ち着いてからにしよっか」

 今倒したブラッドスライムのように、ルリマがいればすぐに終わる仕事だと判断した。

 すぐ近くに洞穴のような、小さな暗闇があった。手を小刻みに振って出来る限り汚れを落としたリェフルは早歩きで先に進むルリマについていく。

「【ライト】!どう?明るいでしょ」

「詠唱短縮で光魔法ですか、珍しいですね。助かります」

 リェフルの指先に灯った温かい光が周囲を照らし、ゴツゴツとした岩肌が肉眼で認識できるようになる。

「雷の聖剣の力なんだけど、壊れちゃってもまだ一部は使えるみたい」

「……なるほど」

 聖剣による恩恵。ロクトは正式な勇者ではないため、ルリマがそれを目にするのは初めてのことだった。

 聖剣に認められ、職業が勇者に変われば元が剣士であろうと魔力は増幅し、反対に魔法使いであろうとも武器が問題なく扱える筋力が備わる。それぞれの聖剣によって異なる属性の魔法適正、ユニークスキルがあると言われている。

「そう言えば次の魔物はなんて名前なの?ブラッドスライムとか、瘴気の森の魔物は初めて見るから気になる!」

「えーと、確か……」

 メモの紙を凝視したルリマは淡々と読み上げた。

「【魔界龍帝デスバハムート】です」

「なんて?????」

「【魔界龍帝デスバハムート】……の血液が必要だそうです」

「聞き間違いじゃなかったのが凄く残念。森に住んでる魔物の名前じゃないよそれ。死ぬほど強そうなんだけど二人で勝てる相手なの!?」

「まぁ、少量の血液さえ入手できれば良いので─────」

 その時だった。
 暗闇から大地が震えるほどの唸り声が響いたのは。

『……何者だ?その名を呼ばれるのは久しぶりだ』

「「……」」

 無言で、リェフルは声のした方向に光の灯った指先を向ける。

 そこは洞窟の中では極端に広がっている場所。湿気と魔力はさらに濃く、しかし魔物が大量発生している訳ではなかった。

 いる生命は1つ。


 ───────広がった空間の中心に、スプトの町のギルドほどの大きさの龍が鎮座していたのだ。




「デカすぎんだろ……」

 リェフルは白目を剥きそうになりながらなんとかその龍を視界に捉える。黒い体表は薄暗い洞窟の闇に溶け込んでいるが、巨大に見えるのはそのせいではない。

「血を。拝借しに来ました」

 話が通じるのは幸か不幸か。分からなかったがそもそも交渉の余地は無い。突然現れて血をよこせと言う者に誰が従おう。
 故にルリマは剣を抜き、単刀直入に要求を言った。

 片手には小瓶。スピードと器用さが大事になる一戦。

「リェフルさん、もっと明るく出来ますか?」

「う、うん!出来るよー」

「頼みます」

 リェフルは光を指先から飛ばし……巨大化させる。天井に設置した光は龍と人を照らし、戦いの火蓋は切って落とされる。

(魔剣は出したくない。出来ればこの剣のまま済ませたい)

 普段通りのルリマなら、躊躇いなく魔剣を手にその龍を斬っただろう。だが────リェフル・サンヴァリアブルという少女が近くにいる。
 ……他国の勇者であろうとも、この短期間でルリマがリェフルに抱いた印象は悪いものではなかった。それどころか……幼少期に憧れた勇者という存在が近くにいる。人並みの少女をしている。

 聖剣を手にした一人に命運を背負わせたくない、出来るだけ手を貸したい……彼女がロクトへ抱く複雑な感情に近く、しかし異なるものが生まれていた。

「【罪過八鏖閃】」

 ルリマが出した回答は、現時点で出せる全力を最初から全開で行ってしまうというものだ。

『む……』

 龍の前足を素早い身のこなしで回避。一太刀目を叩き込む。
 ─────次の瞬間、ニ太刀目が振り下ろされた。

「こっちはこっちで速すぎィ!」

 ルリマのユニークスキルは、彼女からしてみれば不完全。発展途上。だがそれは歴代の剣聖達のユニークスキルと比較した時の話であり……通常のスキルを圧倒的に上回る力を誇る。

『ふん、ちょこまかと─────』

 龍がルリマめがけて口を開き、喉を鳴らす。咆哮、ブレスで目の前に剣士を焼き焦がすために。

 が、その時には既にルリマは八刀目を叩き込んでいた。

「やっぱ無理か」

『ほう、驚いた。速いだけかと思ったがその剣技、得物さえ良ければ我が鱗の奥に届いたやも知れぬ』

 鱗に少しの傷がついただけ。流血の一滴も確認出来ない。

「リェフルさん、魔剣を出します。十分距離を取って離れていてください」

 ルリマの判断は速かった。手元に魔力を集中させ……魔法を唱えた。

「『開け、時空の扉。世界への反逆の意思、蛮勇と献身の山羊は厄災に有り─────【次元穴ディメンションホール】』──────って、え!?」

 ルリマが驚きのあまり魔法を解除した光景。それは……全力でこちらに向かってくる白と黄の髪が揺れる少女、リェフルだった。

「ちょっと、離れてないと魔剣が……!」

「女の子1人戦わせといて見てるだけなんて、勇者の名が廃るんだよっ!」

「あなたも女の子でしょうが……」

 リェフルは駆ける。龍の視線は興味深そうにルリマを待つだけで、獣人の少女には見向きもしないという意思が見えていた。武器も持たずに闇雲に向かってこようとどうせ何も為せない。予想というより確信に近いものが龍にはあった。

 だが────リェフルは無策で、手ぶらで戦場に躍り出た訳ではない。それどころか『武器』としては魔剣をも超えるスペックを持つ。

「それは……!」

「見てこれ!雷の聖剣の破片!1個だけレナさんが持っとけって!」

 彼女の手には光るカケラ。だが持つだけで力と自信……勇気が湧き上がる。

「とーぅっ!」

 その常軌を逸した身のこなしは聖剣を手に入れる前からのリェフルの強みだった。それを活かし、彼女は龍へ大きく跳躍する。

『待て貴様。今、聖剣と言ったか?それに『レナ』って……』

「うぉおおおおおおおおお!!!!!」

『いやだからちょっとま』

 狙うは────頭部。こめかみ。獣の爪ほどの破片を強く握る。

「【雷剛】ッ!」

 バチッと電気の声が洞窟に響く。
 雷の聖剣のユニークスキルの中でも最も威力の低い【雷剛】でも、今のリェフルが出せる最大火力だった。

 ─────破片とは言えど、聖剣は聖剣。勇者は勇者。

『ぐっ……』

 ほんの少しだが、リェフルが刺した箇所から血が吹き出したのだ。

「び、瓶!速く速く!」

「は、はいっ!」

 ルリマから投げ渡された小瓶を見事にキャッチしたリェフルは吹き出る血液を採取する。
 ……が、あまりにも貯まるのが遅い。数秒では瓶の底が隠れるほどしか手に入らず、どう考えても待ってる間に龍の反撃を喰らう。

 はずだったのだが──────

『あのー、勇者とかレナの姉御が関わってるとかはもっと速く言ってくれないっすかね』

 2人が思っている反応ではなかった。龍は鼻から疲れたような風を吹かせ、リェフルが落ちぬよう配慮しながら四足が楽な姿勢に移行した。

「え。もしかしてレナさんの知り合い……?」

『まーそうっすね。姉御にお使いでも頼まれたんすか?血なんて全然持ってってもらっていいんで』

 さっきの喋り方が嘘のような適当な敬語。イマイチ状況がハッキリしないままリェフルは血を瓶に入れ続ける。

 …………全員が無言なまま微妙な空気が流れ出した。

「あ、あのー。レナさんとはどういうご関係なんです?」

 耐えきれずリェフルは下手な笑いを作りながら龍のこめかみに立ち続ける。

『んーあの。自分、親が初代勇者様の世話になって。【魔界龍帝】はその名の通り魔界の帝王だったんすよ、大昔の話ですけど』

「えーすごい!」

『でも【刃の魔王】……初代魔王に敗北して魔界の実権を奪われた後はそりゃもう酷い扱いを受けたらしくて』

「うんうん。苦労したんだね、デスバハムートの親御さん」

『本名嫌いなんで呼ぶのやめてほしいっす。親父は尊敬してますけどキラキラネームはやめて欲しかったんすよね』

「あ、そう……じゃあなんて呼べば」

『ファイナルリベリオンファフニール・極・ブラックフレイムカースゲートって呼んでいただければ』

「おっけ!(デスバ)ハム(ート)!」

『多分もっと良い略し方あったと思いますよ……。んで、初代魔王を倒してくれた上にこの洞窟っていう最高の睡眠環境を提供してくれた初代勇者様には頭が上がらないって訳です。魔力めちゃくちゃ濃いし誰も来ないし最高ですよ。あ、別に嫌味じゃないっすよ』

「なるほど……うん、なるほどではあるんだけど」

 リェフルとルリマは龍の話を聞いている間、どこか釈然としない表情だった。

「彼女は『レナ・ブレイヴ・ラグナフォートとの関係』を聞いたはずです。なのに何故、貴方は初代勇者との話を?」

「あ、うん。そうそう」

 瓶に血液が溜まり切ると同時に、龍の傷口は塞がり始めた。地面に飛び降りたリェフルは自己再生スキルを待っていてくれた事への感謝よりも、龍の話の違和感の方が気になっていた。

『……あー、これ姉御話してないパターンっすか』

「「?」」

『これ言って良い奴やつかな……いやダメか?うーん……まぁいいか。うん、言っちゃっていいわ……あーでもやっぱ』

「もう、気になるから言うなら速く言ってよハム!」

『分かりました言います!でも自分に聞いたって言わないでくださいよ』

 龍はどこか遠くを見つめる目で、小さな声を発した。

『今でこそ魔王と呼ばれているレナの姉御は昔────初代勇者様の旅の仲間だったんすよ』











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コラム。
勇者による魔王討伐が各国の競争となってしまった現在は『西の勇者』などの呼ばれ方をしますが、昔は例えば『岩の勇者』のように聖剣の名を冠する通り名で呼ばれていました。今でもたまに名残で呼ばれたりはしますが。
魔王にも【刃の魔王】 (初代魔王)のように同様に二つ名があります。現魔王マジストロイや先代のレナにも。こちらの呼び方は勇者とは異なり昔から変化していません。
何故そう呼ぶようになったかという発端は初代魔王を見た人間です。初代魔王が人間界を侵略してきた時、当時の人間達があまりに恐怖してしまったので初代魔王が名乗ろうともそんな声を聞いている余裕はなかったのです。かろうじて生き延びた人間は周りにこう伝えます。『自由自在に刃を操る力でみんな殺された』、と。こうして【刃の魔王】という名が人間界で広まり、複数本の聖剣を携えそれに立ち向かった初代勇者が【剣の勇者】と呼ばれ浸透していき、今に至ります。
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