5 / 52
第一章 闇の魔女
第5話 取り残された男
しおりを挟む
アップグレード後からこの洞窟を訪れるプレイヤーの人数は3倍以上に膨れ上がり、僕もミランダも自分の仕事をする時間が増えた。
必然的に二人の会話の時間は減ってしまったけど、それでも僕はミランダが活躍をする姿を見られるのが嬉しかった。
このゲームでは戦闘を行うことの出来るプレイヤーやNPCは共通して三種類の魔法やスキルを実装することが出来る。
下位、中位、上位の3つの枠に魔法やスキルを自分で選んで割り当てる。
少ないけれど、その限られた枠に色々な魔法やスキルの中から自分に合ったものを選択して組み合わせる、というシステムが結構な人気を博しているらしい。
もちろん最初から誰でも強い魔法やスキルが選べるわけじゃなくて、レベルが上がるにつれて選択できる種類が増えていく。
スキルの組み替えも自由自在だ。
闇の魔女たるミランダは3つの枠のうち下位魔法に実装している『黒炎弾』と呼ばれる闇の炎を火球状にして打ち出す闇属性の魔法を連発してプレイヤーたちを苦しめていた。
そして彼女の装備武器である『黒鎖杖』。
この杖の先端には漆黒の鎖が取り付けられていて、伸縮自在のそれがプレイヤーたちを打ちのめし、縛り上げては葬り去っていった。
さらにミランダのような高レベルのキャラクターは、3つの枠の他に4つ目の枠となる特殊魔法があり、特定の条件でのみ発動するという縛りがあるものの、その威力は絶大だった。
当然、この枠にはミランダの伝家の宝刀である『死神の接吻』が実装されている。
そしてアップグレードによって『死神の接吻』は発動条件などに変更が加えられていた。
相手の息の根を止める確率が50%から33%に減退したものの、それまで彼女の体力が3分の1以下までに減った場合にのみ発動する条件だったのが、体力が半分になった時点で発動するように調整された。
これによりミランダは戦闘中、以前よりも早い段階で『死神の接吻』を繰り出すようになり、プレイヤー側は魔法の効果が2分の1から約3分の1に減ったという利点はあるものの命の危険にさらされる時間が長くなる。
よりスリルと緊迫感を演出することができるってことらしい。
とっつき易さを増すことでミランダはよりメジャーなイメージを持つようになっていて、彼女自身がそれを楽しんでいることは僕にとっても嬉しいことだった。
ちなみに僕はアップグレード後もまったく変わり映えのない冴えないキャラのままだ。
戦闘に参加しない一般NPCだから実装できる魔法もスキルもないしね。
アップグレードから取り残されて何一つ変更点がないって一般NPC軽視もいいところだと思わない?
セリフの一言一句まで以前と変わらない僕を見て、ミランダは勝ち組が負け組を憐れむように感想を漏らした。
「成長しない男ね」
……僕のせいじゃないですよね?
必然的に二人の会話の時間は減ってしまったけど、それでも僕はミランダが活躍をする姿を見られるのが嬉しかった。
このゲームでは戦闘を行うことの出来るプレイヤーやNPCは共通して三種類の魔法やスキルを実装することが出来る。
下位、中位、上位の3つの枠に魔法やスキルを自分で選んで割り当てる。
少ないけれど、その限られた枠に色々な魔法やスキルの中から自分に合ったものを選択して組み合わせる、というシステムが結構な人気を博しているらしい。
もちろん最初から誰でも強い魔法やスキルが選べるわけじゃなくて、レベルが上がるにつれて選択できる種類が増えていく。
スキルの組み替えも自由自在だ。
闇の魔女たるミランダは3つの枠のうち下位魔法に実装している『黒炎弾』と呼ばれる闇の炎を火球状にして打ち出す闇属性の魔法を連発してプレイヤーたちを苦しめていた。
そして彼女の装備武器である『黒鎖杖』。
この杖の先端には漆黒の鎖が取り付けられていて、伸縮自在のそれがプレイヤーたちを打ちのめし、縛り上げては葬り去っていった。
さらにミランダのような高レベルのキャラクターは、3つの枠の他に4つ目の枠となる特殊魔法があり、特定の条件でのみ発動するという縛りがあるものの、その威力は絶大だった。
当然、この枠にはミランダの伝家の宝刀である『死神の接吻』が実装されている。
そしてアップグレードによって『死神の接吻』は発動条件などに変更が加えられていた。
相手の息の根を止める確率が50%から33%に減退したものの、それまで彼女の体力が3分の1以下までに減った場合にのみ発動する条件だったのが、体力が半分になった時点で発動するように調整された。
これによりミランダは戦闘中、以前よりも早い段階で『死神の接吻』を繰り出すようになり、プレイヤー側は魔法の効果が2分の1から約3分の1に減ったという利点はあるものの命の危険にさらされる時間が長くなる。
よりスリルと緊迫感を演出することができるってことらしい。
とっつき易さを増すことでミランダはよりメジャーなイメージを持つようになっていて、彼女自身がそれを楽しんでいることは僕にとっても嬉しいことだった。
ちなみに僕はアップグレード後もまったく変わり映えのない冴えないキャラのままだ。
戦闘に参加しない一般NPCだから実装できる魔法もスキルもないしね。
アップグレードから取り残されて何一つ変更点がないって一般NPC軽視もいいところだと思わない?
セリフの一言一句まで以前と変わらない僕を見て、ミランダは勝ち組が負け組を憐れむように感想を漏らした。
「成長しない男ね」
……僕のせいじゃないですよね?
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる