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第二章 クレイジー・パーティー・イン・ホスピタル
第10話 監視の目
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新宮総合病院1階の守衛室では二人の中年男性がじっとモニターに見入っている。
16個のモニターには病院内の監視カメラからの映像が代わる代わる映し出されていた。
守衛の二人は一言も声を発することなく虚ろな目でモニターを見続けている。
だが、たくさんの映像のうちひとつに若い男女の姿が映し出されると、微動だにしなかった守衛のうちの一人が機器を操作してカメラの切り替えを停止した。
モニターの中央に映し出されたのは若い男女の二人であり、守衛は二人の姿を凝視していた。
ただし、その表情からは何ら感情の色は窺えない。
映像の中の二人はエレヴェーターホール横の階段を上がろうとしているところだった。
守衛の一人が恋華らの行く先にある階段の監視カメラの映像に切り替えると、二人の侵入者を追うようにしてモニターの中の映像が切り替わる。
もう一人の守衛も虚ろな表情でモニターを見つめながら、目だけで恋華らの動きを追い続けていた。
その守衛室から8フロア上階に位置する医師の控え室では、脳外科医の氷上恭一が彼しかいない室内でじっと虚空を見つめていた。
氷上はあらかじめブレイン・クラッキングで己の傀儡としていた守衛の目を通して恋華と甘太郎の姿をその視界に捉えていた。
「まだ小僧と小娘じゃないか。堂々と入ってくるのは実戦経験の浅さから来る無鉄砲さなのか、それとも自信の裏返しかな? だがこの病院はすでに私の掌の上。二度と抜け出せはしない」
そう言う氷上の顔には陰険でサディスティックな笑みが浮かんでいた。
「すばらしい実験体だ。早くその脳を見たくて仕方がないよ」
氷上は恍惚の表情で恋華の姿を見つめて言葉を漏らした。
「上がって来い。護衛の小僧はここで殺し、梓川恋華を我がものとしてやる」
16個のモニターには病院内の監視カメラからの映像が代わる代わる映し出されていた。
守衛の二人は一言も声を発することなく虚ろな目でモニターを見続けている。
だが、たくさんの映像のうちひとつに若い男女の姿が映し出されると、微動だにしなかった守衛のうちの一人が機器を操作してカメラの切り替えを停止した。
モニターの中央に映し出されたのは若い男女の二人であり、守衛は二人の姿を凝視していた。
ただし、その表情からは何ら感情の色は窺えない。
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守衛の一人が恋華らの行く先にある階段の監視カメラの映像に切り替えると、二人の侵入者を追うようにしてモニターの中の映像が切り替わる。
もう一人の守衛も虚ろな表情でモニターを見つめながら、目だけで恋華らの動きを追い続けていた。
その守衛室から8フロア上階に位置する医師の控え室では、脳外科医の氷上恭一が彼しかいない室内でじっと虚空を見つめていた。
氷上はあらかじめブレイン・クラッキングで己の傀儡としていた守衛の目を通して恋華と甘太郎の姿をその視界に捉えていた。
「まだ小僧と小娘じゃないか。堂々と入ってくるのは実戦経験の浅さから来る無鉄砲さなのか、それとも自信の裏返しかな? だがこの病院はすでに私の掌の上。二度と抜け出せはしない」
そう言う氷上の顔には陰険でサディスティックな笑みが浮かんでいた。
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