甘×恋クレイジーズ

枕崎 純之助

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第三章 トロピカル・カタストロフィー

第20話 その頃、日本では

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甘太郎あまたろうの奴、たぶん地下に入ったんだわ」

 日本。
 談合坂だんごうざか医院の自室で八重子やえこはパソコンのモニターをにらみつけながら、苦々にがにがしげにつぶやきをらした。
 モニターにはポルタス・レオニスの中心街の地図が映し出されていて、その大通りには青色の点が示されている。
 それはGPSで追跡ついせき中の甘太郎あまたろうの居場所だった。
 つい先ほどまでは。

「さすがにあいつも地下ではGPSが使い物にはならないことを知ってるでしょうし、事前連絡もなしに地下に入ったってことはよほど切羽せっぱまった状況なんだわ」

 そう言うと八重子やえこは部屋に置かれたテレビに目をやった。
 画面に映し出されているニュース番組では、東南アジアの都市国家ポルタス・レオニスで起きている異常事態が速報されている。
 ただし、現地の映像は見られず、何かしらの暴動が起きていることだけが伝られていた。
 日本政府はすでにポルタス・レオニスへの渡航とこうを一時的に禁止し、現地にいる日本人の安否あんぴ確認に躍起やっきになっている。

「まったく。まさか敵にやられてないでしょうね。甘太郎あまたろう

 八重子やえこは内心のあせりをおさえ込むようにくちびるみしめるとパソコンの画面に再度見入った。
 ポルタス・レオニスの地下街ちかがいについては八重子やえこも情報を入手しつつあった。
 だが、現地にいる甘太郎あまたろうに連絡を取る手段は今の時点では皆無かいむだった。
 八重子やえこがやや苛立いらだたしげに自分のケータイを手に取ると、ふいにケータイが振動しんどうり返した。
 八重子やえこがケータイに目をやると、そこには甘太郎あまたろう顧客こきゃくにして、彼の母親である甘枝あまえを知る守谷もりや貴子たかこからのメールがとどいていた。

守谷もりやさん……たのんでいた件だわ」

 八重子やえこは急いでその内容を確認する。
 かつて甘枝あまえ顧客こきゃくであった守谷もりや貴子たかこには、甘枝あまえの情報を継続的けいぞくてきに入手してもらっていた。
 彼女ならば古い顧客こきゃくつながりで、色々と情報を得られるからだ。
 最初は面倒くさがっていた守谷もりやだったが、八重子やえこ報酬ほうしゅうをはずむとこころく動いてくれるようになった。

「分かりやすい人で助かるわ」

 そう言うと八重子やえこはメールの内容に目を通していった。
 そこには甘太郎あまたろうの母・酒々井しすい甘枝あまえがどのようにしてかくし屋としての稼業かぎょうを行っていたのかが克明こくめいに記されていた。
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