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第三話 来訪者

電話の正体

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電話の音を皮ぎりに、主任と俺の動きはピタリと止んだ。
 僕は主任に組み敷かれながらも、思わず電話の方を見た。頭によぎるのは、隣の関のこと。もしかして聞かれていたのだろうか。

「早く出ろよ」
 主任の方を見ると俺の上から退いていた。屹立は上を向いたままだけど。
 僕は立ち上がろうとしたけど、すっかり腰が抜けてしまって立ち上がれない。しょうがないので電話の前まで這って移動した。

 いまだに鳴り続ける電話の受話器を手にして、耳に当てた。
「もしもし。篠原です」
「あ、もしもし。篠原さん? 夜警の田中です。お休みのところすみません。今新規のお客様が飛び込みでいらしたんですが、部屋、新しいフロアを使っていいですか?」

 電話に出たら夜警の人の声がして、僕はホッとして静かに息を吐いた。声もそうだし、内容もだ。声が響いたわけじゃなくて良かった。

「はい、新しいフロアに入れてもらって大丈夫です。チェックイン、よろしく……っ!」
 途中で下半身に刺激が走って、思わず声が漏れそうになった。頭だけ振り返ると、主任が覆い被さって僕の萎えかけた物を軽く握っていた。
 覆い被されられているせいで、主任の表情は読み取れない。

「篠原さん? 大丈夫ですか?」
 急に黙りこんだ俺を訝しんだのか、田中さんが心配そうに問いかけてきた。僕は必死に快楽に耐えて、声を絞り出す。

「……っ、大丈夫です……! チェックインよろしくお願いします……」
「分かりました。ゆっくり休んでくださいね」
 そのやり取りをしている間にも主任の手は止まらない。震える手で受話器を戻す。

 ゆっくりと受話器が電話機に戻った瞬間、僕は堪えきれずに肘を付いた。四つん這いの恰好になった途端、主任の手は激しさを増す。

「はぁ……あっ」
 イキそう。そう思った瞬間、主任の手は僕の屹立から手を離し、するりと穴の方へ指を滑らせた。主任の指は僕の屹立から出た我慢汁でぬるぬるで、今日二回目ということもあってか、すんなりと中へと入っていった。

「うっ……」
 最初だけ訪れる異物感に思わず呻くが、すぐに異物感は快楽に塗り潰された。

「今度こそ入れるぞ」
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