リア充VS非リア『ブサイク達の大逆転』 ――名前の壁は超えてやる!

雪見だいふく

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何じゃ、この何か足りないやつの集まりみてぇなクラスはよォ!!

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 俺は、何もそこまでブスじゃねぇぞ!!

「お前の教室はここだ」

 まるで、家に帰るなよ。と威圧をかけるように肩をギュッと握られる。

 そして、俺の前に建っているのはボロい校舎……。と、言うより、ゴミ屋敷に近いようなボロボロの民家だった。

 ……逃げ出すわけにもいかないからな。

 俺は、そのボロい校舎? に入っていく。

「お邪魔しまーす……」

 く、靴箱がない?! そこには靴箱が置いていない。土足で入れってことか?

「ふぉ? ふぃみは誰だい?」

 後ろから、とんでもないブスボが聞こえてくる。振り返るのも怖いくらいだ。
 だが、返事をしないわけにもいかず、なかなか回らない水道の蛇口のように首だけを回して、その男を見る。
 口は特徴的な出っ歯。その周りには、たくさんのシミ。目は大きくて輝いている。鼻はシュッとしている。口のせいで、とてもバランスが悪い。髪は天パで身長も高い。

「お、俺ですか……?」
「ふぃみ以外に誰がいりゅってんだい?」
「いや、俺、転入して来たんですけど……。どこに靴を置けばいいのかなー……って、悩んでまして」
「くちゅ? くちゅなら、袋に入れて持っておきゅんだよ。しょこらふぇんに、ふぉん投げて置いたら、捨てられちゃうかりゃね」

 捨てられる!? このクラスに『人権』は無いのか?!

「あ、そうなんですか。もう一つ質問いいですか?」
「ふぁい?」
「一年生のクラスは何処ですかね……」

 この狭い民家のどこに、一年の教室なんて、あるんだ。

「うぃち年のクラス? しょんなの、ありゅわけ無いじゃないか。うぃんな、おにゃじだよ」

 同じ!? 学年関係なく? それってFクラスだからか?

「しょうがにゃいなぁ。ぼきゅがあんにゃいしてやるよ」

 そう言う、彼に俺は後ろから付いていく。
 玄関。とも、呼べないような、荒地で靴を脱ぎ、右側に曲がる(そもそも右側ししかない)。

「ふぁい、ここだよ」

 襖を開けると、すぐに教室……寺小屋があった。
 いや、こんな言い方をしたら、寺子屋に失礼かもしれない。
 机はダンボール。座布団と呼んでいいのかすら、分からないようなもの。
 剥げる。と、いうよりも燃え散ったという表現が似合うような黒い畳。
 本当に黒い。と、いうより変なシミとほこりで何も書けなそうな黒板。
 幼稚園児が破っかのように、ぷつぷつと破られている襖。

 ……寺子屋、すみませんでした!

「おー! 誰、その子?」

 めっちゃ可愛い声が聞こえてくる。
 え? もしかして美少女なのに、劣等生的な?!
 俺は、その子を見つけるためにキョロキョロと周りを見渡す。

「ここだよ! ここ!」

 いや、どこ?!

「どこですか?」
「やった! 私の勝ちだね!」
「いや、意味分かりませんって!」

 すると、何も無いように見えた黒い壁から、ひょこっと現れる。
 黒いローブを着ている女性……? いや、男性? それとも塗壁(ぬりかべ)!?

「私の名前は壁山 柳(かべやま ぬりこ)。宜しくねー!」

 この声だけ聞けば、美少女。の容姿は顔面崩壊の域を超えている。
 目はタコ。鼻は豚。口は金魚……。

 福笑いでミスっても、こんな顔にはならねぇぞ……。
 あ、でも! バランスだけは取れてるね!

「あははは……宜しくお願いします」

 まぁ、他にもブスはいっぱいいた。
 顎がショベルカーのショベルみたいに長い人。豚と人間を合成したような人。靴下を咥えてる人。靴下を咥えてる人!?
 うん。個性的なメンバーだ。この面子なら、俺の影もかなり薄いってもんだ。
 端っこの誰もいない席に座る。

 よし。この端なら目立たないし。最高だ!

 そう思い、ふんぞり返って偉そうに座っていると、後ろから肩を叩かれる。

 トントン

「あのー……」

 か、可愛い声!? 駄目だ。モテ茄子。そんなことに動揺されるな……!
 塗り壁の次だから、河童か小豆洗いだ! そうに違いない!

「何だよ」

 クラスに入ってきたばかりなのに、愛想の無い返事をする。

「そこ。私の席なんですけど」

 どこうと思い、後ろを振り返ると……。

 ……! 可愛い!! どこの令嬢だ!? 可愛すぎる!
 金髪ショート! まさに美少女! 顔も整っていて美形! そんな子が何故ここに……?! あぁ! でも、もう何でもいいや!

「女神様……」

 俺は土下座をし、手を捧げる。
 この子が俺にとって唯一の希望だ。

「あの……。勘違いしてませんか?」

 そして、手を掴まれる。
 思ったより、握力あるなー……。
 その手は、どこかに運ばれる。土下座をしているので、前は見えないけど。

 チョンチョン

「?」

 チョンチョン

「もう、いいです! 気にしません!」
「ガチホモですか……?」
「うわぁぁぁん」

 さようなら。俺の青春物語。

「まぁ、どいて下さい」
「はい」

 俺は隣に一個ずれる。
 ……駄目だ。一人を除いて希望がない。この美形は多分。先生のタイプに男の娘は合わなかったんだろうな。可哀想に。
 でも、この子は悲惨だよな……。何とかしてあげたい。

「いや、男ですよ?! ホモですか!?」

 声がダダ漏れだったらしい。まぁ、いいや。

 うわぁぁぁん。こんなクラスに希望は無いよー! 嫌だァ! 僕、もう不登校になるぅ。


『……諦めるには、まだ早いです!』

 脳に直接、話しかけるように声が聞こえる。

『私は……! この高校のかなり前の革命家! 小林 大便マン(こばやし だいべんまん)ですっ!』

 これまた、俺と同じような名前の酷さだな……。
 いや、俺より酷いな。

『あなたと私は地味に通じるものがある……! それは、名前が酷すぎるということ!』

 分かります。痛いほどに分かります。

『こんな……最低クラスに落とされて、諦めるのはまだ早い! この学校にある! あの規則を使えばいいんですよ……』
『あの規則。とは……?』
『あれですよ。あ・れ』

「あぁぁあ!! やってみます! どうせ、こんな終わったクラスにいても、しょうがないので!」

 俺は、教室に響く大きな声で納得したような反応をした。

 俺が……! このFクラスをどうにかしてやる!
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