異界の異邦人〜俺は精霊の寝床?〜

オルカキャット

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5章 領都プリンシバル

46話 バナナはおやつなのか

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 アドラーブル発ラモーヌ行き、行程四日の旅。そのため、Dランク待遇の俺と従者(仮)のルナステラさんで旅の準備をする。

 今は亡き五ゴルド剣と出会った武器防具屋さんへ行く。
 ルナステラさんが次々と品定めをし、色々比べて買って行く。俺はスーパーについていったお父さんのように口出しなしの荷物持ち。

 で買ったもの。
 ーーーーーーーーーーーー

 雨よけ基本セット。1ゴルド5シルド。
 防水布2枚。
 ロープ。
 鉄杭。

 今の季節ならごろ寝でOK。雨が降った時だけ使用。by従者情報。
 俺はこの世界でまだ雨にあったことがない。

 スコップ。5シルド。
 取り外し可。長い棒をつけると杖になり、スコップの先を削ると短槍になる。by従者情報。

 水筒、革袋大。0.8シルド。
 革袋小。0.5シルド 
 大は水を入れバックパックの中へ、小は腰に取り付ける。
 革製の方が温度が上がりにくい。防水加工品は高くつく。by従者情報。

 非常食。塩漬け肉。3シルド。
 固形クッキー。2シルド。
 水と塩があれば数日は過ごせる。動かずに生きるだけなら1ヶ月以上もつ。by従者情報。

 ーーーーーーーーーーーー

 ルナステラさん、先生と呼ばせていただきます。

 その後、銀のパイプ亭をもう一晩確保した。
 荷物を整理したあと、ルナステラさんが、

「夕食まで出かけていいでしょうか」
「うん、いいよ」

 訳も聞かず了承する。
 まあ、一人だけで買いたいものもあるし、一人だけで出かけたいところもある。早い話、近くの森でザイラと会うのだろう。

 その間に俺は一人で風呂へ入り、下着を洗濯した。

 部屋で髪を乾かしていると、ベッドで寝ていた馬鹿猫その……何番だっけ? ミーミーと泣いて首筋にかぶりつく。お前は吸血ネコか。
 ま、俺の美味しいマナを吸っているだけなんだけど。

「お前ら、ずーっと俺に付いてくる気か?」

 ミー?

「よし、じゃあお前はミーミーと泣くから『ミー』だな。昨日の寝ているだけの馬鹿猫その三は、ムームーと文句ばっか言ってるので『ムー』だ。となると、明日来るやつはマーかな。マ・ミ・ムと揃うので。新しく増えたらメとモにしよう。とか、そんな適当に名前を付けてると闇の精霊ねーさんに怒られるだろうなあ。じゃあどんな……」

 その時、馬鹿猫その二がボオッと光る。

「な、何だ今の。まさか本当に『ミー』に決まってしまったの?」

 ミー♪

 ……決まったらしい。

 帰ってきたルナステラさんと共に夕食をとる。相変わらず硬い黒パンとポテトらしきもの。たっぷりクズ野菜のスープに何の動物かわからない焼いた肉の塊。
 ルナステラさんをお風呂に送り出して早々と寝る。
 さあ明日は旅立ちの日だ。

 ーーーーーーーーーーーー
 冬馬の家計簿
 入金
 0
 支出
雨よけセット 1ゴルド5シルド
スコップ 5シルド
水筒大小 1ゴルド3シルド
非常食 5シルド
 宿泊(2人分)6シルド
 夕食(2人分)2シルド
 風呂(2人分)1シルド

 残金12ゴルド2シルド30ペンド
 ーーーーーーーーーーーー


 領都プリンシバルへ向うふたり旅。四日間、会話が保つのだろうか。盗賊や魔物が襲ってきた場合、ふたりで対応できるのだろうか。……と、思った時もありましたというやつ。

「よう、トーマじゃないか。お前らもラモーヌ行きか」
「あ、おはようございます。プリンシバルまで行きます。皆さんは?」
「俺たちゃラモーヌまで往復だ。契約してる商人の護衛でな」
「あら、ロサードのところ逃げ出してきたの」
「違います違います。ちゃんとした依頼です」
「そう、頑張ってね。良い冒険を」

 グランデへ一緒に行った冒険者さんたち。斧使いの前衛の人と回復魔法を使ってたお姉さんだ。チームを組んでるのかな。

 ざわざわガヤガヤとラモーヌ行きの隊列は進む。乗合馬車がいる。商人の馬車がいる。俺たちと同じ徒歩で向かう旅人たちがいる。
 朝一で旅立つ旅人は、付かず離れず一緒に行動をともにするらしい。たまたま偶然ですという顔をしながら、乗合馬車や商人の馬車にいる護衛に寄生しながら進む。旅人の知恵。

「賑やかな旅になったです。このままならラモーヌまで安全に進めるのです」
「ザイラは? 付いてきてるのか?」
「はい森の中を並行して進んでいます。斥候やってもらってますです」
「すまないな。いっしょに行動できるのに、こいつのせいで」

 パシパシと俺の頭を叩いてる『マー』旧姓馬鹿猫その一。
 朝起きるとしっかりミーと入れ替わっていた。『マー』と命名するとボウッと光ってフニャーと鳴く。そこはマーと鳴いてくれよ。

 アドラーブル北門を出ると、ちょこんとザイラがルナステラさんを待っていた。これが犬なら尻尾をブンブン振っていることだろう。でもご主人様と一緒に行動できるのが嬉しいらしいのは見ていればわかる。が、いきなりガルルルと唸り始めた。それと対抗して俺の頭の上で馬鹿猫マーがシャーッと威嚇した。きっと尻尾はパンパンに膨らんでいるのだろう。
 忘れてた。魔獣と精霊獣は仲が悪いんだった。

 基本は二時間歩いて二十分ほど休憩を取る。俺のバックパックもそこそこ重いのに、俺よりでかいリュックを背負っているルナステラさんは大丈夫なんだろうか。
 Gでショックなソーラー時計をポケットから出して確認しながらすすむ。1日は二十四時間とわかっているんだ。こっちに来た時、朝6時に日の出の鐘が鳴り、次の日も朝6時に鐘が鳴った。ただ、あの頃に比べると少しずつ日の出は遅くなっている。それとも二十四時間より微妙に長いのか。

「あのさあ、従魔に名前を付けるってなんか意味がある?」

 歩きながらそれとなくルナステラさんに聞いてみた。

「ありますよ」
「どんな?」
「呼びやすいです」
「いやそういう意味じゃなくて、従魔契約的に必要なことなのかなあと」
「魔法陣で呼び出したり拾った魔物の子供と従魔契約するには名前をつけますね。もちろん従魔魔法を詠唱してからですけど。あとは使役獣とかペットにも名前はつけますが、儀式みたいなもんですかね」
「ザイラの場合は?」
「かわいくてかっこよくて強そうな名前を考えたです」

 と言いながらガッツポーズ。
 だからあ……全てをルナステラさんに頼れるわけではないらしい。

 でも、名前は一番短い呪。『形なきものを名前という名で縛る』というのをなんかの小説で読んだことがある。
 自分の子供に名をつける。ペットに名をつける。ひょっとして思った以上に重要な儀式なのかもしれない。

 なんの事件もイベントも起こることはなく、俺たちは懐かしい宿場町ラモーヌに到着した。初めてだけど……
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