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第二章
第15話 ※
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ティルスディアは、マールから報告のあった書類を確認したあと、サファイアが療養している離宮へと来ていた。
「まさか昨年の書類と間違えるなんて……」
提出前に確認したはずだったが、何故か差し替えられていた。
おそらくシャーロットの仕業だろう。
ティルスディアとルーディアを近づけたくなくて、連れ出す口実を無理やり作った。
「2人は、大丈夫かな……」
書類を確認したら、この離宮に来るようにシャーロットから指示があった。
シャーロットは王としてルーディアの相手をしていたから、いきなり感情的になることはないだろうが、サマギルム島から戻ってから、2人の間には微妙な空気が流れている。
サファルティアが目覚めた日の夜。
シャーロットはティルスディアの部屋に来るなりため息をついた。
「サフィ」
「なんでしょう?」
眠っている間に溜まっていた書類を片付けていただけなのだが、どうやらそれがお気に召さなかったらしい。
書類とペンを取り上げられ、ベッドへと連行される。
「っ! ちょ、待って、待ってくださいっ!」
「嫌だ。お前は、目を離すとすぐに無茶したり変なものに絡まれたりする。一生ベッドに縛り付けてやろうか」
低いシャーロットの声には、どこか焦りのような憂いのようなものが滲む。
「シャーリーッ!!」
強めに呼べば、シャーロットはサファルティアの服にかけていた手を止める。
「本当、どうしたんですか? 確かにサマギルム島のアレは、僕も悪かったですが……」
サファルティアは戸惑い気味にシャーロットの顔を覗き込む。
どこか苦しそうなシャーロットの表情に、サファルティアの胸が締めつけられる。
「…………ルーディア・カロイアスのことは、確かにまだ許していない」
「僕にはシャーリーだけですよ?」
「それでも、お前は私から離れることに躊躇いはないだろ」
「それは……」
側室であることを選んだのは、いつでもシャーロットの手を離せるようにするためで、間違っていない。
だけど、周りから何と言われようとこの立場を捨てられないのは、サファルティアの弱さだ。
中途半端な自覚はある。だけど、好きな人のそばには出来る限りいたい。
「私は、サフィにそばにいてほしい。サフィ以外はいらない」
シャーロットの思いは心地良い。
束縛されるのも嫌ではない。
「僕も、シャーリーだけです。でも、シャーリーもいざとなれば僕を切り捨てる事が出来ますよね」
「っ……!」
サファルティアの指摘はその通りで、必要であればサファルティアもティルスディアも駒として使う、王として非情な決断が出来る。
サファルティアは小さく笑う。
「陛下は、それでいいんです。僕はあなたの役に立てるなら駒でも女装でもなんでも出来ます。だから、必要な時はちゃんと使ってください」
王としての決断に私情はいらない。サファルティアはそれでいいと肯定したうえで、シャーロットの役に立ちたいと寄り添ってくれる。
「僕にはシャーリーが何に悩んでいるのか分かりません。……サマギルム島で何かありましたか?」
仮にも第二王子であるサファルティアであれば、話しても構わないだろう。
(ジョルマン・キャローの死に、ロクドナ帝国が関わっているかも、なんて言えるか……!)
言えばサファルティアは自分から調査に加わろうとするだろうし、相手側の狙いがわからない以上、第二王子であるサファルティアを矢面に立たせるメリットはない。
何よりも――失いたくない。
サファルティアをきつく抱き締める。何も言わずに腕の中にいてくれる彼が愛おしく、守らなければと強く思う。
「……いや、少し疲れているだけだ」
シャーロットの目の下にはうっすらとだがクマが出来ている。
いくら薬を盛られていたとはいえ、長い事眠ってしまった事が申し訳なくなってきて、サファルティアはシャーロットの背に腕を回す。
「なら、早く寝てください。明日からは僕も手伝います」
「いや、ティルの謹慎はまだ解かない」
「は?」
「仕事はしてもいいが、部屋からは出るな」
ティルスディアが謹慎になるのは仕方ないにしても、サファルティアとしても動けないのは少し不便だ。
謹慎というよりも軟禁に近い状態に、サファルティアはシャーロットを睨む。
「それは些か横暴です。いくら陛下でも、僕まで部屋から出られなくする理由は?」
「サフィが可愛すぎるから」
「答えになってません! ちょ、何処触って……ひぁっ! まだ、話はっ……」
シャーロットがサファルティアの口を塞ぐ。
それ以上は聞きたくないとでもいうかのように。
サファルティアは抵抗するが、シャーロットに抑え込まれ、身動きを封じられる。
「ンンッ! ふ、んぁ……シャーリー、怒り、はぁ、ますよ……っ」
「もう怒っているだろ。そんなことより、私を癒してくれ」
「今はそんなことして、んあぁっ!」
シャーロットの手が服の裾から入り込んでくる。
探り当てられた乳首を摘ままれて、サファルティアはビクリと震える。
「可愛い。サフィは怒っていても、ここは感じるんだな」
くすりと笑うシャーロットにサファルティアは羞恥で頬を染める。
「……シャーリーにだけです」
怒っていても、恥ずかしくても、触れてほしいと思うのはシャーロットだけだ。
「そうか」
「そうです。なので、あとでいいのでちゃんと話してください」
「……わかった」
結局、そのまま流されるように抱かれて、うやむやにされたまま数か月。
いまだにシャーロットからはあの時の話は聞けていない。
「今日こそ教えてもらえると思たんですけどね……」
きっかけとなったルーディアが同席すれば、シャーロットは何か言うかと思ったけれど王としての姿勢は変わらずで、火山の研究報告を聞くだけで終わってしまった。
「ティル」
お茶会が終わったのか、シャーロットが離宮に現れる。
「お帰りなさい、陛下」
いつも通り迎え、シャーロットに椅子を勧める。
「ルーディア・カロイアスは今日はここに泊まらせる」
「良いのですか?」
「ああ。少し確かめたいことがある」
ティルスディアはこてんと首を傾げる。
「わたくしは知らないほうが良いですか?」
「……今はな」
「わかりました。でしたら何も聞きません。陛下は今日はこちらに泊まるつもりですか?」
「そのつもりだ」
「では、夕食もこちらに運ばせますね」
ティルスディアがマールに指示を出した後、自分も着替える。
サファルティアの離宮にティルスディアが長居するのは外聞が良くないし、シャーロットの悪評にも繋がりかねない。
「なんだか久しぶりにサフィを見た気がする」
「そうですか? 毎晩お会いしていると思いますが……」
シャーロットが苦笑する。
確かに毎晩のようにティルスディアの部屋に行き、一緒に寝ているが最近はシャーロットの帰りが遅く、サファルティアが先に寝ていることも多かった。
朝は朝でのんびりする時間もなく、会話も少なかった。
少しだけ仕事の話をしてから、シャーロットはいったん執務室に戻り、夕方に再び離宮に戻ってくる。
湯浴みを先に済ませ、夕食を一緒に摂ってから他愛ない話をしながらベッドに移動する。
「ん……」
鼻に抜けるような甘い吐息がサファルティアから溢れる。
首の後ろに手が回り、髪の生え際あたりを擽られるとぞくりとして、その手に導かれるように顔を上げれば、熱のこもったシャーロットの顔が間近にある。
シャーロットの端正な顔がじっとサファルティアを見つめていて、心臓が跳ね上がる。
「サフィ」
シャーロットの声が耳を擽る。
小さな頃から一緒にいるはずなのに、昼間の雰囲気と違うからか、照れと緊張で目を閉じる。
柔らかな感触が唇に触れる。確かめるように何度も触れてくるのが擽ったい。
吸い付くような動きに思わず口を開けば、ぬるりとした感触が口の中に入ってくる。
「ぁ……ふ…………ん……」
くちゅくちゅと耳元で水音がするのが恥ずかしい。
だけど、舌が絡まって、唾液を注がれて、貪るように蹂躙される感触が気持ちいい。
「ふぁ……は、……ぁ、もっと…………」
思わず漏れた言葉に、シャーロットはくすりと笑う。
「サフィはキスが好きだな」
「キス……気持ち、いいですから……」
素直に言えば頭を撫でられ、またキスされる。
サファルティアはうっとりと目を細め、その感触や温度を堪能する。
こくりと喉を鳴らして唾液を飲み込むと、まるで媚薬のように身体が熱くて、頭がふわふわしてくる。
「サフィ、いいか?」
シャーロットの問いに頷く。
「僕も、シャーリーが欲しい……」
「いい子だな、サフィ」
ベッドに押し倒されて、見上げればシャーロットの顔がある。甘く蕩けるような、それでいて情熱を孕んだ瞳にサファルティアも応えるように抱き着いた。
「まさか昨年の書類と間違えるなんて……」
提出前に確認したはずだったが、何故か差し替えられていた。
おそらくシャーロットの仕業だろう。
ティルスディアとルーディアを近づけたくなくて、連れ出す口実を無理やり作った。
「2人は、大丈夫かな……」
書類を確認したら、この離宮に来るようにシャーロットから指示があった。
シャーロットは王としてルーディアの相手をしていたから、いきなり感情的になることはないだろうが、サマギルム島から戻ってから、2人の間には微妙な空気が流れている。
サファルティアが目覚めた日の夜。
シャーロットはティルスディアの部屋に来るなりため息をついた。
「サフィ」
「なんでしょう?」
眠っている間に溜まっていた書類を片付けていただけなのだが、どうやらそれがお気に召さなかったらしい。
書類とペンを取り上げられ、ベッドへと連行される。
「っ! ちょ、待って、待ってくださいっ!」
「嫌だ。お前は、目を離すとすぐに無茶したり変なものに絡まれたりする。一生ベッドに縛り付けてやろうか」
低いシャーロットの声には、どこか焦りのような憂いのようなものが滲む。
「シャーリーッ!!」
強めに呼べば、シャーロットはサファルティアの服にかけていた手を止める。
「本当、どうしたんですか? 確かにサマギルム島のアレは、僕も悪かったですが……」
サファルティアは戸惑い気味にシャーロットの顔を覗き込む。
どこか苦しそうなシャーロットの表情に、サファルティアの胸が締めつけられる。
「…………ルーディア・カロイアスのことは、確かにまだ許していない」
「僕にはシャーリーだけですよ?」
「それでも、お前は私から離れることに躊躇いはないだろ」
「それは……」
側室であることを選んだのは、いつでもシャーロットの手を離せるようにするためで、間違っていない。
だけど、周りから何と言われようとこの立場を捨てられないのは、サファルティアの弱さだ。
中途半端な自覚はある。だけど、好きな人のそばには出来る限りいたい。
「私は、サフィにそばにいてほしい。サフィ以外はいらない」
シャーロットの思いは心地良い。
束縛されるのも嫌ではない。
「僕も、シャーリーだけです。でも、シャーリーもいざとなれば僕を切り捨てる事が出来ますよね」
「っ……!」
サファルティアの指摘はその通りで、必要であればサファルティアもティルスディアも駒として使う、王として非情な決断が出来る。
サファルティアは小さく笑う。
「陛下は、それでいいんです。僕はあなたの役に立てるなら駒でも女装でもなんでも出来ます。だから、必要な時はちゃんと使ってください」
王としての決断に私情はいらない。サファルティアはそれでいいと肯定したうえで、シャーロットの役に立ちたいと寄り添ってくれる。
「僕にはシャーリーが何に悩んでいるのか分かりません。……サマギルム島で何かありましたか?」
仮にも第二王子であるサファルティアであれば、話しても構わないだろう。
(ジョルマン・キャローの死に、ロクドナ帝国が関わっているかも、なんて言えるか……!)
言えばサファルティアは自分から調査に加わろうとするだろうし、相手側の狙いがわからない以上、第二王子であるサファルティアを矢面に立たせるメリットはない。
何よりも――失いたくない。
サファルティアをきつく抱き締める。何も言わずに腕の中にいてくれる彼が愛おしく、守らなければと強く思う。
「……いや、少し疲れているだけだ」
シャーロットの目の下にはうっすらとだがクマが出来ている。
いくら薬を盛られていたとはいえ、長い事眠ってしまった事が申し訳なくなってきて、サファルティアはシャーロットの背に腕を回す。
「なら、早く寝てください。明日からは僕も手伝います」
「いや、ティルの謹慎はまだ解かない」
「は?」
「仕事はしてもいいが、部屋からは出るな」
ティルスディアが謹慎になるのは仕方ないにしても、サファルティアとしても動けないのは少し不便だ。
謹慎というよりも軟禁に近い状態に、サファルティアはシャーロットを睨む。
「それは些か横暴です。いくら陛下でも、僕まで部屋から出られなくする理由は?」
「サフィが可愛すぎるから」
「答えになってません! ちょ、何処触って……ひぁっ! まだ、話はっ……」
シャーロットがサファルティアの口を塞ぐ。
それ以上は聞きたくないとでもいうかのように。
サファルティアは抵抗するが、シャーロットに抑え込まれ、身動きを封じられる。
「ンンッ! ふ、んぁ……シャーリー、怒り、はぁ、ますよ……っ」
「もう怒っているだろ。そんなことより、私を癒してくれ」
「今はそんなことして、んあぁっ!」
シャーロットの手が服の裾から入り込んでくる。
探り当てられた乳首を摘ままれて、サファルティアはビクリと震える。
「可愛い。サフィは怒っていても、ここは感じるんだな」
くすりと笑うシャーロットにサファルティアは羞恥で頬を染める。
「……シャーリーにだけです」
怒っていても、恥ずかしくても、触れてほしいと思うのはシャーロットだけだ。
「そうか」
「そうです。なので、あとでいいのでちゃんと話してください」
「……わかった」
結局、そのまま流されるように抱かれて、うやむやにされたまま数か月。
いまだにシャーロットからはあの時の話は聞けていない。
「今日こそ教えてもらえると思たんですけどね……」
きっかけとなったルーディアが同席すれば、シャーロットは何か言うかと思ったけれど王としての姿勢は変わらずで、火山の研究報告を聞くだけで終わってしまった。
「ティル」
お茶会が終わったのか、シャーロットが離宮に現れる。
「お帰りなさい、陛下」
いつも通り迎え、シャーロットに椅子を勧める。
「ルーディア・カロイアスは今日はここに泊まらせる」
「良いのですか?」
「ああ。少し確かめたいことがある」
ティルスディアはこてんと首を傾げる。
「わたくしは知らないほうが良いですか?」
「……今はな」
「わかりました。でしたら何も聞きません。陛下は今日はこちらに泊まるつもりですか?」
「そのつもりだ」
「では、夕食もこちらに運ばせますね」
ティルスディアがマールに指示を出した後、自分も着替える。
サファルティアの離宮にティルスディアが長居するのは外聞が良くないし、シャーロットの悪評にも繋がりかねない。
「なんだか久しぶりにサフィを見た気がする」
「そうですか? 毎晩お会いしていると思いますが……」
シャーロットが苦笑する。
確かに毎晩のようにティルスディアの部屋に行き、一緒に寝ているが最近はシャーロットの帰りが遅く、サファルティアが先に寝ていることも多かった。
朝は朝でのんびりする時間もなく、会話も少なかった。
少しだけ仕事の話をしてから、シャーロットはいったん執務室に戻り、夕方に再び離宮に戻ってくる。
湯浴みを先に済ませ、夕食を一緒に摂ってから他愛ない話をしながらベッドに移動する。
「ん……」
鼻に抜けるような甘い吐息がサファルティアから溢れる。
首の後ろに手が回り、髪の生え際あたりを擽られるとぞくりとして、その手に導かれるように顔を上げれば、熱のこもったシャーロットの顔が間近にある。
シャーロットの端正な顔がじっとサファルティアを見つめていて、心臓が跳ね上がる。
「サフィ」
シャーロットの声が耳を擽る。
小さな頃から一緒にいるはずなのに、昼間の雰囲気と違うからか、照れと緊張で目を閉じる。
柔らかな感触が唇に触れる。確かめるように何度も触れてくるのが擽ったい。
吸い付くような動きに思わず口を開けば、ぬるりとした感触が口の中に入ってくる。
「ぁ……ふ…………ん……」
くちゅくちゅと耳元で水音がするのが恥ずかしい。
だけど、舌が絡まって、唾液を注がれて、貪るように蹂躙される感触が気持ちいい。
「ふぁ……は、……ぁ、もっと…………」
思わず漏れた言葉に、シャーロットはくすりと笑う。
「サフィはキスが好きだな」
「キス……気持ち、いいですから……」
素直に言えば頭を撫でられ、またキスされる。
サファルティアはうっとりと目を細め、その感触や温度を堪能する。
こくりと喉を鳴らして唾液を飲み込むと、まるで媚薬のように身体が熱くて、頭がふわふわしてくる。
「サフィ、いいか?」
シャーロットの問いに頷く。
「僕も、シャーリーが欲しい……」
「いい子だな、サフィ」
ベッドに押し倒されて、見上げればシャーロットの顔がある。甘く蕩けるような、それでいて情熱を孕んだ瞳にサファルティアも応えるように抱き着いた。
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