幼馴染とマッチポンプ

西 天

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第2章

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 程なくして,注文したこの店自慢のモンブランがテーブルに届けられた。
 以前僕も食したことがあったが,ここのモンブランはクリームが内部にふんだんに使用されており,そのクリームの食感はなぜかモチっとしていた。甘さ控えめで底はタルトになっていた。スポンジは使用されていないがタルトの生地とクリームが相まって最高の一品である。
 価格は学生の僕にとっても良心的な飲み物とのセット料金になっている。

 そんなモンブランが柚葉の前に置かれる。
「おいしそう。さすが陽葵わかってる」
 語尾が上がったのを聞き逃さかった。モンブラン好きなのは変わっていないと少し安心した。機嫌も直してくれたようだ。

 僕はいつもの口調で話しかける。
「何でこの学校に来たんだよ?」
 核心に迫るような問一。
 柚葉は一口モンブランを食べ満面の笑顔を浮かべた後回答した。
「ああそれね。誰かさんが卒業したら突然出て行って心配だったから…っていうのが一割。私も気になってこの学校調べてたら行ってみたいって思ったし何より都会暮らし,しかも一人暮らしなんか最高じゃないっ。って思ったのが九割」
 いつもながら口滑らかに要所でからかってくる。
「僕と変わらないな。田舎っ子が都会に出たがるなんて当然だ。そりゃ田んぼや畑よりビルや華やかな街に惹かれる」
 ましてや年頃の女子だ。青春真っ只中を田んぼや畑に囲まれて過ごしたくないはずだ。
 
 問二以降はお互いどんな部屋に住んでいるのか,友達は出来たか,などの他愛のない質問をお互いに問うては回答の繰り返しをしていた。
 その中であまり家族の話は僕からはしなかった。彼女も同様に。
 
 しばらくすると,いくら幼馴染みとはいえ話す話題はなくなる。質問の回答欄はプリントいっぱいに埋め尽くされてきた。
 お互いに注文した飲み物は残っているが,僕は店員に足してもらった水の入ったグラスに口をつける。
 僕は水を飲みながら今日のことについて回想していた…,

 単刀直入にほとんどの事は何でも聞ける間柄。
 そんな彼女は喫茶店の窓からの景色を見るとはなしに見ていた。客は僕と柚葉と後ろのテーブルで仕事帰りだろうかパソコンを開き何か作業をしているように見える女性の計三人だけだった。
 店内のBGMはギルバード・オサリバンのアローン・アゲイン・ナチュラリーが流れていた。
 僕は好きなバンドがこの曲を基にし曲を作ったと知り,最近この曲を聞いたばかりだった。
 この曲は暖かい春の風と涼しげな秋の雰囲気を感じさせる。そして穏やかな曲調。しかしそれとは裏腹に波乱に満ちたバットエンドな歌詞が印象的である。

 彼女はこの曲をどんな想い聞いているのだろうか―
 
 
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