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第二章
第17話 思わぬ再会(いろんな意味で)
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「あのさ、どうして三浦にそこまで引くんだ? ヤバさでいったら俺の方が上なのに」
「そりゃ、お前は色々やらかしてるけど、能力で何ができるか分からなくてやっちまったとか、何とか能力を制御しようとして失敗したとかで、やろうとした行動自体はまともだろ? だけど三浦は人を闇の力に目覚めたって断定するわ、尾行に盗撮をした上に、趣味で召喚をやろうとするって、明らかに行動がおかしいだろ……」
どうも一樹は行動原理の方を重視しているらしい。
そのおかげで俺を受け入れてくれたんだろうけど、その反面一樹が三浦に持っているイメージはより悪化してしまった。
まだ、魔法使いの格好に杖まで用意して現地に来たとか、ルーン文字同士を組み合わせた『ルーン・ガルドゥル』とかいうシンボルマークについて早口で解説するとか、呪文を書くのにどこからか羊皮紙を入手したとかの話をしてないけど、これは言わない方がいいな……。
「まあ、三浦の行動がおかしいのは否定できないけどさ、そんなに悪い所ばかりじゃないって」
俺の言葉に一樹が顔をしかめる。その表情は「三浦のどこが?」と言いたげだった。
俺が破滅の道に進もうとすれば全力で止めるし、能力を使った反動で俺が体調を崩してないか気に掛けていた。だから、本来は気配りのできる性格なんだと思う。……暴走した時は別として。
ただ、気配りしている場面が、悪魔を召喚して契約を持ちかけられた時や、化け物の攻撃を受けて何か症状が出ていないか心配するといったものだから、そもそもの出来事がおかしいのも事実だ。ただでさえ、一樹がドン引きしてるのに、これ以上詳しく話しても逆効果になる気がする。
「……まあいいけどよ。結局能力を何とかするあてはできたのか?」
「それが全然無いから困ってるんだよ」
セレスに会うためとはいえ、あんな危険な化け物が出てくる可能性がある召喚をもう一度やるわけにもいかない。
かといって他に思いついた手段があるわけでもなく、能力を何とかする話は完全に振り出しに戻ってしまった。
「マジかー、それなら能力を使って、少しはいい思いをできたりとかしねえの?」
「それも力が強すぎる上にまともに制御できないからなあ。もしgスポーツみたいなゲームの大会で賞金を稼ごうとしたって、あんなゲームシステムを完全に無視した強さじゃ、間違いなく不正行為と見なされて失格になるぜ」
「そりゃ、その通りだなあ……」
2人であれこれ考えてみるが、能力を何とかする手段も、上手く活用する方法も思いつかない。
その内だんだんダレてきて、俺も一樹も床に寝っ転がり始める。
「……なあ聖也」
「何だ?」
「ゲーム機でやるゲームがチート状態になるなら、スマホとかのゲームアプリはどうなんだ?」
余りに話が進まないせいか、一樹が話題を変えてきた。
「そっちもダメ。試しにやってみたことがあるけど、全キャラ保有の全アイテム持ちに加えてレベルMAXだった。おまけに運営から不正アカウントと見なされて、あっという間にゲームに接続できなくなったよ」
「じゃあゲームができない分はどうしてる?」
「Ytuberのゲーム実況を見てばっかりだ。ある程度は気晴らしになるけど、やっぱゲームは見るより、自分でプレイする方が俺は好きだわ」
そう言って、俺はため息を吐く。
それからしばらくお互いに黙っていたが、いきなり一樹が「そうだ」と言いながら、床から起き上がった。
「一樹、どうした?」
「持ってきたい物があるから、ちょっと待ってろよ」
俺が床から起き上がっている間に一樹が部屋の奥にある棚に向かい、引き出しを開けてゴソゴソと何かを探し始める。
少しして両腕に何かを複数抱えながら一樹が戻ってきた。
「機械を使ったゲームがダメなら、こういうのならどうなるかと思ってな」
一樹が持ってきたものを次々と床に置き始める。
見ると、それは輪ゴムで縛ったトレーディングカードの束だった。
「……そういえばカードゲームは試してなかったな」
俺が小学生の頃に周りで流行っていたから、トレーディングカードゲームの経験はある。だけど、今はゲーム機を使って遊ぶばかりだったから、存在をすっかり忘れていた。
「それならちょうどいいな。これで遊んだらどうなるかやってみようぜ」
そう言いながら一樹がカードを束ねてた輪ゴムを外し始める。
今度は何が起きるのかと不安になりながらも、俺は一樹からカードを受け取った。
× × ×
「……普通に遊べる」
一樹と何回か対戦を終えて、俺はポツリとつぶやいた。
真っ当に勝負ができた喜びよりも、驚きの方がむしろ大きい。
対戦に勝ちもしたし、負けもした。
そして対戦中に明らかに理不尽な展開は1度も起きなかった。
能力の影響があったとはとても思えない。
「じゃあ、少なくともお前の能力はカードゲームに影響を与えないってことだよな。何にしても、普通に遊べるゲームがあって良かったじゃねえか」
「確かに、こういうアナログゲームは盲点だったな」
俺は一樹の言葉に同意しながらも、どうしてカードゲームでは能力の影響がなかったのかを考えていた。
TVゲームがチート状態になるのは、俺の能力がゲームのプログラムに干渉しているからだろう。逆に紙のカードにはプログラムなんて存在しないから干渉のしようがない。
なぜだろう。考えとしては筋が通っているけど、何かが引っ掛かる……。
「能力のせいで、お前ばっかり欲しいカードをポンポン引いて勝負にならないんじゃないかと思ってたんだけど、取り越し苦労だったな」
「あー、確かにカード運は普通だっ…た……」
あれ? 今、俺なんて言った?
カード運が普通……。それはつまり……。
「そうか! 頭の良さが何も変わっていなかったのと同じく、運の良さも変わってないんだ! だからカードゲームが普通に遊べたのか!!」
能力の影響を受けなかった原因がハッキリして、俺は思わず叫んでいた。
「ちょっと待て。物理面はメチャクチャ強くなったのに、知力や運は変わってねえの?」
「そうなんだよ!! この能力は現代世界じゃ持て余す所ばっかりが強化されて、役立ちそうな所は全然変わらないんだ!!」
また1つ、この能力のロクでもない所を見つけてしまった。
これじゃあ、宝くじの高額当選で大儲けすることもできやしない。
……でも、運が良くならなかったから、こうして一樹とカードゲームで普通に遊べる。それだけは嬉しかった。
× × ×
「まあ色々あるんだろうけど、また来いよ。カードゲームぐらいなら相手してやれるからさ。……将棋とかは苦手だから勘弁してくれ」
「将棋は俺も苦手だよ。今日は色々とありがとうな。一樹」
「別に大したことじゃねえよ。じゃあまた明日な」
「ああ……また明日」
家への帰り道を歩きながら俺は喜びに浸っていた。
一樹に能力を打ち明けることができたし、俺の存在を受け入れてもらえて良かった。
自分を理解してくれる人がいるっていうのは本当にありがたい。
いつか何かの形で返せればいいんだけど、今の俺に何ができるだろうか。
そんなことを考えながら歩道橋の階段を下りていく。
「マサヤ……ヨシムラマサヤ……私の声が聞こえますか……」
「あれ? 誰か俺を呼んだ?」
歩道橋を渡り終えると、俺を呼ぶ声がかすかに聞こえてきた。
足を止めて左右を見るが、特に誰も見当たらない。
「よかった……私の声が聞こえたのですね……。前にあなたと会ったセレスです……」
「セレス!? どこだ! どこにいるんだ!?」
まさかセレスがこっちの世界に来ているのか!?
「後ろの橋の下に私はいます……そこまで来て下さい……」
え、この歩道橋の下? 何だってそんな所にいるんだ。
疑問に思いながらも後ろへ振り返り、橋の下に向かっていく。
そういえばさっきのセレスの声も、頭の中に直接聞こえるといった感じじゃなくって、普通に離れた場所から聞こえた感じだったし、どういうことなんだろう。
「ここです……階段の裏の所です……」
言われた通り階段の裏に回ると、忘れもしないポンコツ新米女神のセレスがいた……のだが。
「セレス!! どうしてこの世界に……って何、その恰好?」
何故かセレスは段ボールにくるまって、アスファルトの上に横たわっていた。
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どうも一樹は行動原理の方を重視しているらしい。
そのおかげで俺を受け入れてくれたんだろうけど、その反面一樹が三浦に持っているイメージはより悪化してしまった。
まだ、魔法使いの格好に杖まで用意して現地に来たとか、ルーン文字同士を組み合わせた『ルーン・ガルドゥル』とかいうシンボルマークについて早口で解説するとか、呪文を書くのにどこからか羊皮紙を入手したとかの話をしてないけど、これは言わない方がいいな……。
「まあ、三浦の行動がおかしいのは否定できないけどさ、そんなに悪い所ばかりじゃないって」
俺の言葉に一樹が顔をしかめる。その表情は「三浦のどこが?」と言いたげだった。
俺が破滅の道に進もうとすれば全力で止めるし、能力を使った反動で俺が体調を崩してないか気に掛けていた。だから、本来は気配りのできる性格なんだと思う。……暴走した時は別として。
ただ、気配りしている場面が、悪魔を召喚して契約を持ちかけられた時や、化け物の攻撃を受けて何か症状が出ていないか心配するといったものだから、そもそもの出来事がおかしいのも事実だ。ただでさえ、一樹がドン引きしてるのに、これ以上詳しく話しても逆効果になる気がする。
「……まあいいけどよ。結局能力を何とかするあてはできたのか?」
「それが全然無いから困ってるんだよ」
セレスに会うためとはいえ、あんな危険な化け物が出てくる可能性がある召喚をもう一度やるわけにもいかない。
かといって他に思いついた手段があるわけでもなく、能力を何とかする話は完全に振り出しに戻ってしまった。
「マジかー、それなら能力を使って、少しはいい思いをできたりとかしねえの?」
「それも力が強すぎる上にまともに制御できないからなあ。もしgスポーツみたいなゲームの大会で賞金を稼ごうとしたって、あんなゲームシステムを完全に無視した強さじゃ、間違いなく不正行為と見なされて失格になるぜ」
「そりゃ、その通りだなあ……」
2人であれこれ考えてみるが、能力を何とかする手段も、上手く活用する方法も思いつかない。
その内だんだんダレてきて、俺も一樹も床に寝っ転がり始める。
「……なあ聖也」
「何だ?」
「ゲーム機でやるゲームがチート状態になるなら、スマホとかのゲームアプリはどうなんだ?」
余りに話が進まないせいか、一樹が話題を変えてきた。
「そっちもダメ。試しにやってみたことがあるけど、全キャラ保有の全アイテム持ちに加えてレベルMAXだった。おまけに運営から不正アカウントと見なされて、あっという間にゲームに接続できなくなったよ」
「じゃあゲームができない分はどうしてる?」
「Ytuberのゲーム実況を見てばっかりだ。ある程度は気晴らしになるけど、やっぱゲームは見るより、自分でプレイする方が俺は好きだわ」
そう言って、俺はため息を吐く。
それからしばらくお互いに黙っていたが、いきなり一樹が「そうだ」と言いながら、床から起き上がった。
「一樹、どうした?」
「持ってきたい物があるから、ちょっと待ってろよ」
俺が床から起き上がっている間に一樹が部屋の奥にある棚に向かい、引き出しを開けてゴソゴソと何かを探し始める。
少しして両腕に何かを複数抱えながら一樹が戻ってきた。
「機械を使ったゲームがダメなら、こういうのならどうなるかと思ってな」
一樹が持ってきたものを次々と床に置き始める。
見ると、それは輪ゴムで縛ったトレーディングカードの束だった。
「……そういえばカードゲームは試してなかったな」
俺が小学生の頃に周りで流行っていたから、トレーディングカードゲームの経験はある。だけど、今はゲーム機を使って遊ぶばかりだったから、存在をすっかり忘れていた。
「それならちょうどいいな。これで遊んだらどうなるかやってみようぜ」
そう言いながら一樹がカードを束ねてた輪ゴムを外し始める。
今度は何が起きるのかと不安になりながらも、俺は一樹からカードを受け取った。
× × ×
「……普通に遊べる」
一樹と何回か対戦を終えて、俺はポツリとつぶやいた。
真っ当に勝負ができた喜びよりも、驚きの方がむしろ大きい。
対戦に勝ちもしたし、負けもした。
そして対戦中に明らかに理不尽な展開は1度も起きなかった。
能力の影響があったとはとても思えない。
「じゃあ、少なくともお前の能力はカードゲームに影響を与えないってことだよな。何にしても、普通に遊べるゲームがあって良かったじゃねえか」
「確かに、こういうアナログゲームは盲点だったな」
俺は一樹の言葉に同意しながらも、どうしてカードゲームでは能力の影響がなかったのかを考えていた。
TVゲームがチート状態になるのは、俺の能力がゲームのプログラムに干渉しているからだろう。逆に紙のカードにはプログラムなんて存在しないから干渉のしようがない。
なぜだろう。考えとしては筋が通っているけど、何かが引っ掛かる……。
「能力のせいで、お前ばっかり欲しいカードをポンポン引いて勝負にならないんじゃないかと思ってたんだけど、取り越し苦労だったな」
「あー、確かにカード運は普通だっ…た……」
あれ? 今、俺なんて言った?
カード運が普通……。それはつまり……。
「そうか! 頭の良さが何も変わっていなかったのと同じく、運の良さも変わってないんだ! だからカードゲームが普通に遊べたのか!!」
能力の影響を受けなかった原因がハッキリして、俺は思わず叫んでいた。
「ちょっと待て。物理面はメチャクチャ強くなったのに、知力や運は変わってねえの?」
「そうなんだよ!! この能力は現代世界じゃ持て余す所ばっかりが強化されて、役立ちそうな所は全然変わらないんだ!!」
また1つ、この能力のロクでもない所を見つけてしまった。
これじゃあ、宝くじの高額当選で大儲けすることもできやしない。
……でも、運が良くならなかったから、こうして一樹とカードゲームで普通に遊べる。それだけは嬉しかった。
× × ×
「まあ色々あるんだろうけど、また来いよ。カードゲームぐらいなら相手してやれるからさ。……将棋とかは苦手だから勘弁してくれ」
「将棋は俺も苦手だよ。今日は色々とありがとうな。一樹」
「別に大したことじゃねえよ。じゃあまた明日な」
「ああ……また明日」
家への帰り道を歩きながら俺は喜びに浸っていた。
一樹に能力を打ち明けることができたし、俺の存在を受け入れてもらえて良かった。
自分を理解してくれる人がいるっていうのは本当にありがたい。
いつか何かの形で返せればいいんだけど、今の俺に何ができるだろうか。
そんなことを考えながら歩道橋の階段を下りていく。
「マサヤ……ヨシムラマサヤ……私の声が聞こえますか……」
「あれ? 誰か俺を呼んだ?」
歩道橋を渡り終えると、俺を呼ぶ声がかすかに聞こえてきた。
足を止めて左右を見るが、特に誰も見当たらない。
「よかった……私の声が聞こえたのですね……。前にあなたと会ったセレスです……」
「セレス!? どこだ! どこにいるんだ!?」
まさかセレスがこっちの世界に来ているのか!?
「後ろの橋の下に私はいます……そこまで来て下さい……」
え、この歩道橋の下? 何だってそんな所にいるんだ。
疑問に思いながらも後ろへ振り返り、橋の下に向かっていく。
そういえばさっきのセレスの声も、頭の中に直接聞こえるといった感じじゃなくって、普通に離れた場所から聞こえた感じだったし、どういうことなんだろう。
「ここです……階段の裏の所です……」
言われた通り階段の裏に回ると、忘れもしないポンコツ新米女神のセレスがいた……のだが。
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