2 / 5
第2話 仲間
しおりを挟む
やがてゆっくりと目を開けたロイは、前を見た。
土をそっとかけて、立ち上がる。
「……私は、進まなければならない。」
諦めてはならない。絶対に。
……それが、
それが。
□
ロイは進み続けた。
そして、隣国からの帰りである商業の馬車と出会った。
御者はお人好しそうなおじいさんで、快くロイを乗せてくれた。
やがて到着した街で、ロイは3人の仲間を得た。
1人目は、ギルドで会った、現実主義のカイル。
生き延びることが全てだと考えているらしい。一番強い。
2人目は、ロイと同じ『緑の大地』を探し求めていたアイリーン。
仲間を失ってしまった彼女の口癖は、「夢は叶わない」。
3人目は、頭の回転が速いエリス。
なぜか一緒に行動したいと言ってくれた。目的は分からない。
3人ともロイより年は上だったが、そんなこと気にならないほど楽しかった。
以前カイルに、木々が美しいという土地に連れて行ってもらったが、そこは伝承の『緑の大地』ではない気がした。
魔物を倒すのにも慣れてきて、稼いだお金でペンダントを買った。
そこに、ヌイの毛を大切に入れた。
「なあ、次の依頼はどうするか?」
カイルがそう言った。
「えー、私たちずっと依頼ばっかやってるし、そろそろ別のことやろうよー!」
エリスが明るく言う。
「別のこと、とはどんなことでしょう?」
アイリーンが無表情でエリスに尋ねる。
「えー、うーん………。あっ、ロイは?ロイは、なんかやりたいことない?」
「…え!?」
突然話を振られたことに驚くが、ずっと、言いたかったことについて口を開く。
「………私、は。『緑の大地』を、探したい。」
一瞬の沈黙。
「…ロイは、何か目途があるの?」
「はあ?そんなのただの幻想だろ。本気にしてたらキリがない。」
カイルが笑うように言う。
「カイル、言い方が強いです。……でも、私もその夢は叶わないと思います。」
「………うん。私にも、それが何かは分からない。でももともと、落ち着いたら探しに行こうと思っていたから。……3人とも、私より強いし、私がいなくても大丈夫だと思うよ。」
「何言ってんだよ、ロイ。お前もあと一歩で俺たちに追いつくじゃねえか。お前の謙虚さは気持ち悪いんだよ。」
「そうですよ、ロイ。この短期間で貴方は十分強くなりました。」
「……ありがとう。でも、私は夢を信じたいんだ。この決心は変わらない。絶対に諦めない。」
ロイの瞳は、とても真っ直ぐで、強かった。
「……ふーん、まあ、私はロイに着いていくよ!面白そうだし、気になるし。」
エリスがそう言った。
「………私も、他にやることもないですし。無駄だとは思いますが、また、探すのも良いかもしれませんね。」
「……ハッ、お前らだけじゃなくて俺も必要だろ?」
「3人とも……ありがとう。心強いよ。」
「具体的には何をするんだよ?」
「………とりあえず依頼をやろう。」
「結局依頼かよ」
土をそっとかけて、立ち上がる。
「……私は、進まなければならない。」
諦めてはならない。絶対に。
……それが、
それが。
□
ロイは進み続けた。
そして、隣国からの帰りである商業の馬車と出会った。
御者はお人好しそうなおじいさんで、快くロイを乗せてくれた。
やがて到着した街で、ロイは3人の仲間を得た。
1人目は、ギルドで会った、現実主義のカイル。
生き延びることが全てだと考えているらしい。一番強い。
2人目は、ロイと同じ『緑の大地』を探し求めていたアイリーン。
仲間を失ってしまった彼女の口癖は、「夢は叶わない」。
3人目は、頭の回転が速いエリス。
なぜか一緒に行動したいと言ってくれた。目的は分からない。
3人ともロイより年は上だったが、そんなこと気にならないほど楽しかった。
以前カイルに、木々が美しいという土地に連れて行ってもらったが、そこは伝承の『緑の大地』ではない気がした。
魔物を倒すのにも慣れてきて、稼いだお金でペンダントを買った。
そこに、ヌイの毛を大切に入れた。
「なあ、次の依頼はどうするか?」
カイルがそう言った。
「えー、私たちずっと依頼ばっかやってるし、そろそろ別のことやろうよー!」
エリスが明るく言う。
「別のこと、とはどんなことでしょう?」
アイリーンが無表情でエリスに尋ねる。
「えー、うーん………。あっ、ロイは?ロイは、なんかやりたいことない?」
「…え!?」
突然話を振られたことに驚くが、ずっと、言いたかったことについて口を開く。
「………私、は。『緑の大地』を、探したい。」
一瞬の沈黙。
「…ロイは、何か目途があるの?」
「はあ?そんなのただの幻想だろ。本気にしてたらキリがない。」
カイルが笑うように言う。
「カイル、言い方が強いです。……でも、私もその夢は叶わないと思います。」
「………うん。私にも、それが何かは分からない。でももともと、落ち着いたら探しに行こうと思っていたから。……3人とも、私より強いし、私がいなくても大丈夫だと思うよ。」
「何言ってんだよ、ロイ。お前もあと一歩で俺たちに追いつくじゃねえか。お前の謙虚さは気持ち悪いんだよ。」
「そうですよ、ロイ。この短期間で貴方は十分強くなりました。」
「……ありがとう。でも、私は夢を信じたいんだ。この決心は変わらない。絶対に諦めない。」
ロイの瞳は、とても真っ直ぐで、強かった。
「……ふーん、まあ、私はロイに着いていくよ!面白そうだし、気になるし。」
エリスがそう言った。
「………私も、他にやることもないですし。無駄だとは思いますが、また、探すのも良いかもしれませんね。」
「……ハッ、お前らだけじゃなくて俺も必要だろ?」
「3人とも……ありがとう。心強いよ。」
「具体的には何をするんだよ?」
「………とりあえず依頼をやろう。」
「結局依頼かよ」
0
あなたにおすすめの小説
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される
あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた……
けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。
目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。
「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」
茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。
執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。
一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。
「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」
正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。
平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。
最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる