ひとりぐらし

雨宮 叶月

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氷室伊織の場合

第37話 梶原さんの話①

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「…英美ちゃんは、驚くほど頭が良くて。テストはほぼ90点以上だし、低くても80点台でした。みんなすごいっていうのですが、英美ちゃんはまだまだだよ、って謙虚で。英美ちゃんの顔を見ると、褒められるのは嬉しそうでも、点数に自分でも満足いってなさそうでした。」




「………」




「まあそうこうして夏休み前、受験ムードに入ったんです。英美ちゃんを嫉妬の目で見ていた人たちも、そろそろヤバイ、って思ったのか本気で勉強し始めて。みんなもっと早くから勉強していればよかった、なんて言っていました。」





「勉強って大切ですからね……」





「私、英美ちゃんにどういう風に勉強してたのか聞いたことがあるんです。普通に頑張って覚えただけだよ、って言ってたのですが、もっと具体的に、というようにしつこく聞いていました。ある日教えてくれたのですが、まずは知識を身に付けて、ある程度先に問題集を解く、と。中2の頃から問題集をやっていたそうです。でも、家にはまだ問題集がたくさんあってちょっと疲れる、と苦しそうに笑っていたのを覚えています。」





「中2の頃から……すごいですね。」





「はい。その時は受験する高校の目途《めど》を立て、三者面談も終わっていたので。ほとんどの友達同士では、どこを希望するか、という話ばかりでした。私も例外ではありませんでしたが、英美ちゃんはなかなか教えてくれませんでしたね。」




「………」





「…でもある日、聞きだすことに成功したんです。…県内で一番偏差値が高い附属高校が第1志望だ、と言っていました。第2希望が頭のいい公立高校だった、かな?でも英美ちゃんは自信がなさそうでした。私は行けない気がする、って。本当は県外の高校に行きたい、と。」



「県外…?」




「はい。東京とか大阪とか、都会の頭のいい高校に行ってみたいと。でも自分が本当は何をしたいのか分からない、それにお金もかかるし、と笑っていましたね。ここじゃなくて、他の自分が興味を持ったところで新しくスタートしたいって言っていました。」





「…………」
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