38 / 45
氷室伊織の場合
第37話 梶原さんの話①
しおりを挟む
「…英美ちゃんは、驚くほど頭が良くて。テストはほぼ90点以上だし、低くても80点台でした。みんなすごいっていうのですが、英美ちゃんはまだまだだよ、って謙虚で。英美ちゃんの顔を見ると、褒められるのは嬉しそうでも、点数に自分でも満足いってなさそうでした。」
「………」
「まあそうこうして夏休み前、受験ムードに入ったんです。英美ちゃんを嫉妬の目で見ていた人たちも、そろそろヤバイ、って思ったのか本気で勉強し始めて。みんなもっと早くから勉強していればよかった、なんて言っていました。」
「勉強って大切ですからね……」
「私、英美ちゃんにどういう風に勉強してたのか聞いたことがあるんです。普通に頑張って覚えただけだよ、って言ってたのですが、もっと具体的に、というようにしつこく聞いていました。ある日教えてくれたのですが、まずは知識を身に付けて、ある程度先に問題集を解く、と。中2の頃から問題集をやっていたそうです。でも、家にはまだ問題集がたくさんあってちょっと疲れる、と苦しそうに笑っていたのを覚えています。」
「中2の頃から……すごいですね。」
「はい。その時は受験する高校の目途《めど》を立て、三者面談も終わっていたので。ほとんどの友達同士では、どこを希望するか、という話ばかりでした。私も例外ではありませんでしたが、英美ちゃんはなかなか教えてくれませんでしたね。」
「………」
「…でもある日、聞きだすことに成功したんです。…県内で一番偏差値が高い附属高校が第1志望だ、と言っていました。第2希望が頭のいい公立高校だった、かな?でも英美ちゃんは自信がなさそうでした。私は行けない気がする、って。本当は県外の高校に行きたい、と。」
「県外…?」
「はい。東京とか大阪とか、都会の頭のいい高校に行ってみたいと。でも自分が本当は何をしたいのか分からない、それにお金もかかるし、と笑っていましたね。ここじゃなくて、他の自分が興味を持ったところで新しくスタートしたいって言っていました。」
「…………」
「………」
「まあそうこうして夏休み前、受験ムードに入ったんです。英美ちゃんを嫉妬の目で見ていた人たちも、そろそろヤバイ、って思ったのか本気で勉強し始めて。みんなもっと早くから勉強していればよかった、なんて言っていました。」
「勉強って大切ですからね……」
「私、英美ちゃんにどういう風に勉強してたのか聞いたことがあるんです。普通に頑張って覚えただけだよ、って言ってたのですが、もっと具体的に、というようにしつこく聞いていました。ある日教えてくれたのですが、まずは知識を身に付けて、ある程度先に問題集を解く、と。中2の頃から問題集をやっていたそうです。でも、家にはまだ問題集がたくさんあってちょっと疲れる、と苦しそうに笑っていたのを覚えています。」
「中2の頃から……すごいですね。」
「はい。その時は受験する高校の目途《めど》を立て、三者面談も終わっていたので。ほとんどの友達同士では、どこを希望するか、という話ばかりでした。私も例外ではありませんでしたが、英美ちゃんはなかなか教えてくれませんでしたね。」
「………」
「…でもある日、聞きだすことに成功したんです。…県内で一番偏差値が高い附属高校が第1志望だ、と言っていました。第2希望が頭のいい公立高校だった、かな?でも英美ちゃんは自信がなさそうでした。私は行けない気がする、って。本当は県外の高校に行きたい、と。」
「県外…?」
「はい。東京とか大阪とか、都会の頭のいい高校に行ってみたいと。でも自分が本当は何をしたいのか分からない、それにお金もかかるし、と笑っていましたね。ここじゃなくて、他の自分が興味を持ったところで新しくスタートしたいって言っていました。」
「…………」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/25:『くもりのゆうがた』の章を追加。2026/3/4の朝頃より公開開始予定。
2026/2/24:『ぬかるみ』の章を追加。2026/3/3の朝頃より公開開始予定。
2026/2/23:『かぜ』の章を追加。2026/3/2の朝頃より公開開始予定。
2026/2/22:『まどのそと』の章を追加。2026/3/1の朝頃より公開開始予定。
2026/2/21:『おとどけもの』の章を追加。2026/2/28の朝頃より公開開始予定。
2026/2/20:『くりかえし』の章を追加。2026/2/27の朝頃より公開開始予定。
2026/2/19:『おとしもの』の章を追加。2026/2/26の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
霊和怪異譚 野花と野薔薇[改稿前]
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
本作は改稿前/改稿後の複数バージョンが存在します
掲載媒体ごとに内容が異なる場合があります。
改稿後小説作品はカイタとネオページで見られます
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
しずめ
山程ある
ホラー
六つの森に守られていた村が、森を失ったとき――怪異が始まった。
フォトグラファー・那須隼人は、中学時代を過ごしたN県の六森谷町を、タウン誌の撮影依頼で再訪する。
だがそこは、かつての面影を失った“別の町”だった。
森は削られ、住宅街へと変わり、同時に不可解な失踪事件が続いている。
「谷には六つのモリサマがある。
モリサマに入ってはならない。枝の一本も切ってはならない」
古くからの戒め。
シズメの森の神に捧げられる供物〝しずめめ〟の因習。
そして写真に写り込んだ――存在しないはずの森。
三年前、この町で隼人の恋人・藤原美月は姿を消した。
森の禁忌が解かれたとき、過去と現在が交錯し、隼人は“連れ去られた理由”と向き合うことになる。
因習と人の闇が絡み合う、民俗ホラーミステリー。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる