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氷室伊織の場合
第36話 喫茶店
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今日は大学が休みなため、昼頃に梶原さんと梶原さんおすすめらしい喫茶店で待ち合わせをすることにしていた。
朝、恐る恐る鏡に近づいてみると、いつもと同じように、俺の顔が映っているだけだった。
気持ちを落ち着かせるために川沿いをゆっくりと歩く。
ザー、と言う澄んだ水の音と共に風が川辺の草を揺らした。
苦い香りが鼻をくすぐる。
(俺はこれからどうすればいいのだろうか……)
自然に囲まれ、弱気な考えが頭を占める。
(いや、やり遂げなければならない。)
思い直して、視線を上げた。
横断歩道を歩いている途中に信号が点滅し始め、少し走る。
角を曲がり歩いていると、隣を過ぎ去る自転車の風が心地よく感じる。
やがて、目的地の喫茶店に着いた。
ドアを開け、中に入る。
カラン、という鈴の音。
ケーキのような甘い香りと、染みついたコーヒーの匂いが混ざり合っている。
人はだいぶ少なかった。
メッセージに書かれた服装らしき人物の席に近づく。
「あの……梶原由里《かじわらゆり》さんですか?」
その女性は顔を上げる。
「あっ、はい。氷室さんでよろしかったでしょうか?」
「はい。本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。よろしくお願いします。」
「いえいえ。どうぞ座ってください。注文もご自由に…」
「…ありがとうございます。」
俺は反対側のソファーに腰掛け、机に小さく貼られているメニュー表を眺める。
梶原さんの前にも、ミルクティーと、食べかけのたまごサンド、果物がたっぷりのプリン。
俺は紅茶とオムライス、ホットケーキを頼んだ。
俺は口を開く。
「本日は中学3年生の頃同じクラスだったという高原英美さんの話を伺わせていただきます。具体的なエピソードなど聴かせていただければ…」
「…はい。えっと、高原さん…英美ちゃんと呼ばせていただきます、とは3年生の時ほぼ毎日一緒に行動していました。仲は良かったのですが、お互いほかに話す人もいないから、って感じで……」
「……はい。」
そこで俺が注文したものが運ばれてきた。
紅茶を一口飲み、話に再度耳を傾ける。
朝、恐る恐る鏡に近づいてみると、いつもと同じように、俺の顔が映っているだけだった。
気持ちを落ち着かせるために川沿いをゆっくりと歩く。
ザー、と言う澄んだ水の音と共に風が川辺の草を揺らした。
苦い香りが鼻をくすぐる。
(俺はこれからどうすればいいのだろうか……)
自然に囲まれ、弱気な考えが頭を占める。
(いや、やり遂げなければならない。)
思い直して、視線を上げた。
横断歩道を歩いている途中に信号が点滅し始め、少し走る。
角を曲がり歩いていると、隣を過ぎ去る自転車の風が心地よく感じる。
やがて、目的地の喫茶店に着いた。
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カラン、という鈴の音。
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「あの……梶原由里《かじわらゆり》さんですか?」
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「…ありがとうございます。」
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「…はい。えっと、高原さん…英美ちゃんと呼ばせていただきます、とは3年生の時ほぼ毎日一緒に行動していました。仲は良かったのですが、お互いほかに話す人もいないから、って感じで……」
「……はい。」
そこで俺が注文したものが運ばれてきた。
紅茶を一口飲み、話に再度耳を傾ける。
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