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第一ゲーム アサルト・スクール
銃
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景色が一瞬で変わり、私は廊下に片足からトンっと軽く着地した。隣にディーもいる。
(意外と重い…本物の銃か…)
恐らくサブマシンガン。ディーはアサルトライフルのようだ。
私は辺りを見回した。
ここは3階、2年生フロアの廊下。
「…ここじゃ危ないから、ちょっと移動しようか。」
「うん、そうだね。」
今の場所だと360度警戒しなければならない。
私たちは図書室を通り、廊下を右に曲がった。
(階段が増えてる……不気味…)
普段ならただの壁。しかしそこには階段が追加されていて、思わずドン引きしてしまう。
するとその時、遠くで銃声の音がした。
興味関心で撃ったのか、それとも人に向けていたのかは分からない。
私たちのクラスは35人。このステージは5階まである。つまり、1つの階に最低7人はいるだろう。
こちらが逃げ隠れしやすい場所………ないな。思い浮かばない。
ならば、少し冒険してみるか。
「ディー、私と別行動でもいいけど…どうしたい?」
「俺はずっと伊澄といたいけど……とりあえず今は一緒にいる。伊澄、俺強いから。期待してて…?」
「うん、心強い。じゃあ……4階と5階に行ってみようか。」
ディーが強いならなおさら良い。
私たちは階段を上がった。
その時だった。
「あ……」
「あっ」
スライム?
「おい待てって!スライムの癖に足速すぎだろ!」
4階の近くから、クラスメイトの瀬山幸一の声も聞こえる。
「………」
ディーと目配せをして、私は銃を構える。
バンバンバンッ…!
心臓が跳ねるほどの音が、2重、3重に響いた。
「きゅっ」
スライムは鳴き声を上げると、消えた。ちょっと可愛かったぞ。
「え!?誰かいるのか!?……嘘だろ、生命刻印……?」
瀬山くんが曲がり角から現れた。その顔は唖然としている。
「あ……お前ら……」
手には銃。瀬山君は、今から40分以内に、3人殺さなければならない。
「ディー、逃げるよっ!」
私たちは下の階へと駆けだした。
一つ言っておこう。
私の50m走のタイムは、9秒である。
体が成長したって、せいぜい8秒5程度。
瀬山君は運動部。すでに足の速さでは勝てない。
ではどうするべきか。
……情で時間を稼ぐ。
私は階段を下りながら、すうっと息を吸った。
「私たち、同じクラスだったよね…。人を撃ったら、貴方の家族は悲しむと思う!少しだけ、話をしよう。何か誤解があるかもしれないし!」
やばい、私女優になれそう。『話をしよう』という言葉とは反対に、私は足を止めない。
「あ……!」
瀬山君がたじろぐ。銃を持つ手が震える。お母さんのハンバーグとか思い出したのか?
その隙を見逃さずに、私は曲がり角を右に曲がった。
「あっ…人いた!」
運が悪かった。後ろの左側の廊下に金崎未玖がいた。絵が上手い子だ。
金崎さんが銃を構える前に、ディーが無表情で振り返った。
私はディーの意図を理解して、走りながらそれを止める。
「ディー、まだ殺さないで。」
「えー、何で?」
「今殺したら、スリルがないじゃん…?この状況から逃げきれたら楽しくない?」
「じゃあ伊澄のことは俺が守るね。」
どういう文脈になったらその言葉が出るのかよく分からないが、足からスライディングをして銃弾を避ける。
パンッ、と音がした。
「わっ!びっくりしたぁ…」
金崎さんは今初めて銃を撃ったようだ。外れたが。
教室の中からこちらを狙う人もいたが、ディーが脚を狙って撃つと、前かがみになり「痛い…!」と呻きだした。
「待て!!!」
「俺のキルを取るな!俺も刻印が出てるんだよ!」
いつの間にか、私たちを追いかけるのは5人と2匹。なぜこんなにも狙われるのだろうか。
「はぁっ、はぁ」
少し息切れしてきたから、ここで爆弾を落とそうと思う。
私は口角を上げた。
「あれっ、みんな隣にいる人のことは撃たないのー?」
ちらっと後ろを見る。
5人(と2匹)ははっとしたようで向かい合い、お互いに銃を構えた。
私は耳を押さえる。
バンッバンッ!ドンッ!
音は鋭く、耳を貫く。銃声が重なり合った。
ディーも笑顔だった。すごく爽やか。スポーツドリンクが似合いそう。
私たちはウッドデッキに出て、武道場に入った。
そろそろ人を撃ってみるのもいいかもしれない。
そんな期待とは反対に、そこにいたのはツノが生えた白いウサギと、耳が短い黒いウサギ。
スライムとは反対に、ぴょんぴょん動く。
情?……そんなもとは、とっくに壊された。
「私白いウサギやるね。」
「了解、じゃあ黒いウサギ。」
私たちは銃を撃った。
しかし黒いウサギとは違い、白いウサギは運動神経が良かった。
こちらに飛び掛かってくるのをひらりとかわし、直線を意識して再度撃つ。
……命中。
「ピィ!」
白いウサギは消えた。鳥みたいな声出してたな。
ディーはとっくにやり終えて、銃を肩に背負った。惚れ惚れする。
……でもこれで、『刻印』が誰か2人に発動したことになる。
「…ここから体育館の2階の柵に移動できるから、そこにいよう。」
私はそう言うと、保護色になっているドアを開けた。
…そこには、白い柵と、一人の女子生徒。
岡本翠。気の強そうな顔が特徴的だ。
「えっ…!」
岡本さんが悲鳴を上げ、あたふたして銃をこちらに向けると同時に私はドアをパタンと閉めた。そしてディーに向かって笑顔で2回頷いた。
「…どうしよっか。」
私はすぐに口を開く。
「…もうそろそろ、いいよね?」
「うん。」
私はニヤリとした笑みを浮かべ、ドアを開けた。念のためドアの後ろに隠れる。
ビュンッ、と空気を裂く音が聞こえた。
…当たり。
私の思い通り。
「え!?あれっ?どうしよ、刻印出ちゃったのに!」
岡本さんのひとりごとが聞こえる。
私はそっと顔を覗かせ、躊躇わずに撃った。
「がっ!はぁっ!」
まずは一発。
「い゛っ!痛い!痛い!助けて!」
それから連続で撃つ。この子、自分勝手で好きじゃなかったんだよな。
私はしゃがむ岡本さんの前に立ちはだかった。
……さて、何言えばいいのだろうか。
ま、いっか。適当で。
私はニコッと微笑んだ。
「じゃーね。」
最後に一発撃つと、岡本さんは消えた。
あれ、今の私、悪役っぽい?
(へーえ、意外と楽しいじゃん)
私はディーのもとへ駆けよった。
「どうだった?」
「かっこよかった。」
ディーが優しい笑みで頭を撫でてくれる。
私は笑顔になり、ふと提案してみる。
「…私たちで、このゲーム強制終了してみる?」
私たち以外全員、殺してあげる!
(意外と重い…本物の銃か…)
恐らくサブマシンガン。ディーはアサルトライフルのようだ。
私は辺りを見回した。
ここは3階、2年生フロアの廊下。
「…ここじゃ危ないから、ちょっと移動しようか。」
「うん、そうだね。」
今の場所だと360度警戒しなければならない。
私たちは図書室を通り、廊下を右に曲がった。
(階段が増えてる……不気味…)
普段ならただの壁。しかしそこには階段が追加されていて、思わずドン引きしてしまう。
するとその時、遠くで銃声の音がした。
興味関心で撃ったのか、それとも人に向けていたのかは分からない。
私たちのクラスは35人。このステージは5階まである。つまり、1つの階に最低7人はいるだろう。
こちらが逃げ隠れしやすい場所………ないな。思い浮かばない。
ならば、少し冒険してみるか。
「ディー、私と別行動でもいいけど…どうしたい?」
「俺はずっと伊澄といたいけど……とりあえず今は一緒にいる。伊澄、俺強いから。期待してて…?」
「うん、心強い。じゃあ……4階と5階に行ってみようか。」
ディーが強いならなおさら良い。
私たちは階段を上がった。
その時だった。
「あ……」
「あっ」
スライム?
「おい待てって!スライムの癖に足速すぎだろ!」
4階の近くから、クラスメイトの瀬山幸一の声も聞こえる。
「………」
ディーと目配せをして、私は銃を構える。
バンバンバンッ…!
心臓が跳ねるほどの音が、2重、3重に響いた。
「きゅっ」
スライムは鳴き声を上げると、消えた。ちょっと可愛かったぞ。
「え!?誰かいるのか!?……嘘だろ、生命刻印……?」
瀬山くんが曲がり角から現れた。その顔は唖然としている。
「あ……お前ら……」
手には銃。瀬山君は、今から40分以内に、3人殺さなければならない。
「ディー、逃げるよっ!」
私たちは下の階へと駆けだした。
一つ言っておこう。
私の50m走のタイムは、9秒である。
体が成長したって、せいぜい8秒5程度。
瀬山君は運動部。すでに足の速さでは勝てない。
ではどうするべきか。
……情で時間を稼ぐ。
私は階段を下りながら、すうっと息を吸った。
「私たち、同じクラスだったよね…。人を撃ったら、貴方の家族は悲しむと思う!少しだけ、話をしよう。何か誤解があるかもしれないし!」
やばい、私女優になれそう。『話をしよう』という言葉とは反対に、私は足を止めない。
「あ……!」
瀬山君がたじろぐ。銃を持つ手が震える。お母さんのハンバーグとか思い出したのか?
その隙を見逃さずに、私は曲がり角を右に曲がった。
「あっ…人いた!」
運が悪かった。後ろの左側の廊下に金崎未玖がいた。絵が上手い子だ。
金崎さんが銃を構える前に、ディーが無表情で振り返った。
私はディーの意図を理解して、走りながらそれを止める。
「ディー、まだ殺さないで。」
「えー、何で?」
「今殺したら、スリルがないじゃん…?この状況から逃げきれたら楽しくない?」
「じゃあ伊澄のことは俺が守るね。」
どういう文脈になったらその言葉が出るのかよく分からないが、足からスライディングをして銃弾を避ける。
パンッ、と音がした。
「わっ!びっくりしたぁ…」
金崎さんは今初めて銃を撃ったようだ。外れたが。
教室の中からこちらを狙う人もいたが、ディーが脚を狙って撃つと、前かがみになり「痛い…!」と呻きだした。
「待て!!!」
「俺のキルを取るな!俺も刻印が出てるんだよ!」
いつの間にか、私たちを追いかけるのは5人と2匹。なぜこんなにも狙われるのだろうか。
「はぁっ、はぁ」
少し息切れしてきたから、ここで爆弾を落とそうと思う。
私は口角を上げた。
「あれっ、みんな隣にいる人のことは撃たないのー?」
ちらっと後ろを見る。
5人(と2匹)ははっとしたようで向かい合い、お互いに銃を構えた。
私は耳を押さえる。
バンッバンッ!ドンッ!
音は鋭く、耳を貫く。銃声が重なり合った。
ディーも笑顔だった。すごく爽やか。スポーツドリンクが似合いそう。
私たちはウッドデッキに出て、武道場に入った。
そろそろ人を撃ってみるのもいいかもしれない。
そんな期待とは反対に、そこにいたのはツノが生えた白いウサギと、耳が短い黒いウサギ。
スライムとは反対に、ぴょんぴょん動く。
情?……そんなもとは、とっくに壊された。
「私白いウサギやるね。」
「了解、じゃあ黒いウサギ。」
私たちは銃を撃った。
しかし黒いウサギとは違い、白いウサギは運動神経が良かった。
こちらに飛び掛かってくるのをひらりとかわし、直線を意識して再度撃つ。
……命中。
「ピィ!」
白いウサギは消えた。鳥みたいな声出してたな。
ディーはとっくにやり終えて、銃を肩に背負った。惚れ惚れする。
……でもこれで、『刻印』が誰か2人に発動したことになる。
「…ここから体育館の2階の柵に移動できるから、そこにいよう。」
私はそう言うと、保護色になっているドアを開けた。
…そこには、白い柵と、一人の女子生徒。
岡本翠。気の強そうな顔が特徴的だ。
「えっ…!」
岡本さんが悲鳴を上げ、あたふたして銃をこちらに向けると同時に私はドアをパタンと閉めた。そしてディーに向かって笑顔で2回頷いた。
「…どうしよっか。」
私はすぐに口を開く。
「…もうそろそろ、いいよね?」
「うん。」
私はニヤリとした笑みを浮かべ、ドアを開けた。念のためドアの後ろに隠れる。
ビュンッ、と空気を裂く音が聞こえた。
…当たり。
私の思い通り。
「え!?あれっ?どうしよ、刻印出ちゃったのに!」
岡本さんのひとりごとが聞こえる。
私はそっと顔を覗かせ、躊躇わずに撃った。
「がっ!はぁっ!」
まずは一発。
「い゛っ!痛い!痛い!助けて!」
それから連続で撃つ。この子、自分勝手で好きじゃなかったんだよな。
私はしゃがむ岡本さんの前に立ちはだかった。
……さて、何言えばいいのだろうか。
ま、いっか。適当で。
私はニコッと微笑んだ。
「じゃーね。」
最後に一発撃つと、岡本さんは消えた。
あれ、今の私、悪役っぽい?
(へーえ、意外と楽しいじゃん)
私はディーのもとへ駆けよった。
「どうだった?」
「かっこよかった。」
ディーが優しい笑みで頭を撫でてくれる。
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