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第八話 呪いの代償
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雪が降る。
真っ白な雪が、なにもかもを覆い隠すように。
窓の外は、凍えるほどに冷たい。
一面の白銀の世界に、まるでふたりきりになったかのような錯覚を起こさせた。
レンドーサはぼうっと、寝台の上、自分の隣で眠るフィンの顔を見つめる。
一糸まとわぬ姿を毛布に覆われて、フィンは死んだように眠っていた。
あの日から何度、身体を重ねたのか数えていない。
フィンはなにもかもあきらめたようにレンドーサに身を委ねて、好きにさせた。
神の教えも、なにもかもどうでもいいと言うように。
フィンが神を信じていないことは、よく知っている。
なら、自分になにもかも許す理由は?
いつだってなにか言いたげに自分を見る、その紫暗の瞳が儚くて。
切なげな瞳が怖くて、目をそらすように夢中でその身体を抱いた。
なんだかひどく、おそろしい予感がするんだ。
なにか大事なものが手のひらからこぼれ落ちていくような、砂時計の砂が落ちていくような不安を、どうしても拭えなかった。
「…ん」
「フィン?」
「………レン、くん?」
不意にちいさく声を漏らしたフィンがゆっくりまぶたを開け、何度か瞬きしてレンドーサを見る。
そのうつくしい瞳には確かに自分が映っているのに、なぜかひどく虚ろな色に感じられた。
「…気分は?」
「…平気です。
少し怠いだけで」
「………いやじゃ、ないか?」
「……きみも変なことを聞きますね」
その白い首筋に刻まれた牙の跡をなぞりながら問いかければ、フィンがくすりと笑う。
「一緒に許されないことをしようと言ったのは、私ですから」
「…あんた、カミサマ憎んでんの?」
口を吐いたのはただの思いつきだった。でも、たぶん自分の本心だった。
怖くて聞けずにいた、本音だった。
「…カミサマが憎いから、オレと、こんなことしてんの?」
自分をそばに置いたのも、血を与えるのも、抱かれるのも、すべて。
「憎んでなんかいませんよ」
フィンは迷ったそぶりなく答えた。
「だって、神様なんていませんから」
自分を見つめたまま、やわらかく微笑む顔すら今にも消えそうなほどに儚くて。
砂時計の砂がこぼれ落ちるようなおそろしい予感を抱かせる。
「神様なんて、いない」
そう、なにもかもあきらめたように告げる声を聞きたくなくて、そっと抱き寄せて口づけた。
はらはらと、花びらのように雪が降る。
「止まねーな」
「ですね。
しばらくは止まないんじゃないでしょうか」
教会の中からぼんやりと窓の外を眺め、レンドーサがつぶやけばフィンは本から顔を上げないまま頷いた。
リビングの暖炉で、ぱちぱちとたき火が燃えている。
こんな雪の日に誰も来ないだろうに、フィンはきちんと祭服を身に纏って膝の上に置いた本のページをめくっていた。
「…雪合戦とか、したことある?」
「…子どものころなら」
ふと口を吐いたのは、特に意味のない問いかけだった。
「へえ、あんたでもやるんだ」
「友人に誘われて。
けっこう強かったんですよ」
「ふーん」
どこか懐かしむような、憧憬を映すようなまなざしは本に向けられたままで、やけに胸が騒いだ。
もう届かないような、遙か遠くにいるように感じられて。
「…やってみる?」
「きみと?私が?
おかしなこと言うなあ」
もうそんな年じゃありませんよ、と言ったフィンに近寄ってその手を掴む。
鷹揚な動きで自分を見上げたフィンの瞳は、自分を見ているようで見ていない。
それがひどく嫌だった。
「今、なに考えてる?」
「…レンくん?」
「なに、考えてんだよ?」
「……………いつ止むかなあって」
掴まれた手首を振りほどくこともせず、フィンは心ここにあらずのような顔で答えた。
「雪。
いっそ、ずっとこのまま永遠に降っていればいいのに」
「…それじゃ、困るだろ」
「そうですね。
…でも、綺麗でしょう?」
そう言って、その人形のガラス玉の瞳のような目で自分を見て、ことりと首をかしげる。
「一面、白銀に覆われて、なにもかも雪の下で眠りについて、静かで、閉ざされて」
「フィン…?」
「…血」
「え」
「…血の跡もね、雪に覆い隠されると綺麗に真っ白になるんですよ。
ぜんぶ、覆い隠してくれる」
ほんとうに、作り物のような無感情な瞳で彼は笑う。
「以前、街で事件が起こって、その日も雪が降っていたんです。
雪で赤い血が白く染められて、なにもなかったみたいになってしまった。
でも、なにもなかったことにはならないんですよね。
雪は、赤く染められたことを忘れない。
雪の下に埋もれただけで、赤く染まった雪は、白くはならない」
「…フィンさん?」
「…雪が溶けて消えるまで、なにもかもなかったことにはならないから」
そう返事など求めずに語るフィンの、端正な顔に浮かんだ淡雪のような微笑みが怖くて、そっと上向かせて口づける。
「…欲しくなりました?」
「……ああ」
「じゃあ、…どうぞ」
ただどうすればわからなくて、また、その血を求めた。
祭服のボタンを外して、あらわになった首筋に唇を寄せる。
「…なかったことにはならないですよね」
「…え」
「…きみの中に入った私の血は、残るから。
…なかったことにはならない。
雪の上の血みたいに」
「………あんたが、なに言いたいのかわかんねえ」
つぶやいた声はやるせないような響きになった。
「ふふ。
わからなくていいんですよ」
なのにフィンはやはり微笑むのだ。壊れそうなほど綺麗な顔で。
「オレを見ろよ」
「…見てるじゃないですか」
「ちがう。
…オレを、ちゃんと」
その瞳にはちゃんと、レンドーサの姿が映っている。
なのに、彼の心にはなにも届いていないような気がして。
ほんとうに人形のガラス玉の瞳のように、無感情に。
「ちゃんと見ろよ」
そのくせのある髪に指を絡ませ、視線を合わせて真っ直ぐに射貫いても、それでも揺らがない瞳は鏡のようだ。
ただそこにあるものを映すだけの、無機質な。
「見ていますよ」
なのにフィンはやわらかく笑って答える。
「ちゃんと、見ています」
レンくん。
そう、甘くてやさしい声で自分を呼ぶ。
その声すら、途方もない彼方から響いたように遠いのに。
その数日後、雪が止んだ日にレンドーサは街に出かけた。
ファンティアがまだ街にいるなら、会って話がしたかった。
ファンティアを見つけたのは、街に一軒しかない宿屋でだった。
ちょうど食堂にいた彼に声を掛けると、二階にある彼の部屋に案内される。
「なにか悩み事かい?」
「…わかるのか?」
「オレを探しに来たおまえの顔を見ればすぐわかるさ」
必要最低限の家具しか置かれていない室内で、ファンティアは寝台に腰掛けてレンドーサを見上げた。
「で、なんだい?」
「…………」
「彼の血が、そんなに美味しかったかい?」
「…っ」
「わかるよ。
おまえの顔色がかなり良いし、力も満ちているようだ。
今までは常に貧血状態で、弱っている姿ばかり見ていたからね。
生気を分け与えられただけではそうはならない」
ファンティアにはすべてお見通しらしい。
レンドーサは反論する気もなく、そばの椅子に腰を下ろす。
「…信じられないくらい、美味かった」
「…そうか」
「“呪憑き”だからなのかな…。
なんで、あんな美味いんだ。
あのひとの血だけ。
飲んでも飲んでももっと欲しくなって、余計喉が渇く気がする。
際限がねえんだ。
……でも、あのひと、拒まないんだ。
なにも」
怖いのは、なにもかもを受け入れるあの姿。
人形のような、虚ろな瞳と儚い微笑。
なにか、おそろしい予感がする。
手のひらからなにもかもこぼれ落ちていくような、そんな。
「…おまえは、気づかないのか?」
「…え?」
「…以前、会ったときに言ったな。
おまえはそれほど彼が大事かと」
「………それ、は」
どくり、と心臓が大きく脈打つ。
否定は、出来なかった。
フィンの存在が、自分の中でひどく重たくなっていることを。
今更、目を逸らせもしないのに。
「“呪憑き”なのは無関係だ。
彼だからだ」
「…え、」
「甘い香りがすると言っていただろう。
それは出会ったときからか?」
「……出会ったときは、そんなに、じゃ、ただ段々強くなって」
「興味だよ」
ファンティアははっきりと断言した。
「その正体は吸血衝動だとわかっているだろう。
彼の血を欲しいと思う、その衝動だと。
それはおまえが彼に興味を持つほどに強くなった。
元々偏食が激しくて、人間の血をまずいとしか感じて来なかったおまえだから気づくのが遅れたんだろう」
「…なんで、興味を持ったからって」
「おまえは彼に興味を抱き、やがて無自覚にそれ以上の感情を抱いた。
それこそが、おまえが彼だけの血を美味しいと感じる理由だ」
どくどくと、心臓の音がうるさい。
高鳴る鼓動は、恐怖に近かった。
警報音のように。
聞きたくないと叫ぶのは、己の心で。
見たくない。知りたくない。聞きたくない。
それはきっと、あのなにか言いたげな、切ないフィンの微笑が胸を騒がせるから。
「吸血鬼がもっとも美味しいと感じるのは、己の愛する者の血液。
おまえが彼を愛しく思うようになったから、おまえにとって彼の血はなにより甘美なものになったんだ」
けれどファンティアは無情に、断罪のように言い放つ。
気づいて、なかったわけじゃない。
自分の中で重さを増す、彼の存在を。
彼の切なげな笑みに怖くなる理由を。
そのすべてが欲しくなった理由を。
(失いたくないという、強い想いを)
ファンティアと別れて教会に戻って来たが、なかなか建物の中に足を踏み入れることが出来ない。
胸の中にある狂おしい感情の正体を、まだ受け入れられなくて。
受け入れるのが、どうしてかひどく怖いんだ。
手遅れになってしまいそうで。
いったい、どうしてかもわからないのに。
「…じゃあ、おまえは彼に血を与えているのか?」
不意に耳に触れた声に、心臓が速く脈打った。
この声はリュシアンだ。
足音を立てないよう礼拝堂のほうに近寄ると、少しだけ扉が開いていた。
そっと覗くと、礼拝堂の中にフィンとリュシアンの姿が見える。
「ええ。
なぜか私の血だけは口に合うようなので」
「………」
「…なんでそこまでするのか、という顔ですね」
「……わかるなら、なぜ」
どこか茫然とつぶやいたリュシアンに、フィンはくつり、と歪な微笑を浮かべた。
「許されないことをしようと思ったんです」
「…は?」
「私は、神様がいないことを知っている。
ずっと、バカらしいとどこかで思っていました。
神様なんていないのに、なにを祈っているのかと。
だから、許されないことをしてみたくなった。
なにもかも悪魔に与えて、踏み外して、…許されない罪を犯してみたくなった」
後半は独白のような、凍えた空気に溶かすような淡いつぶやきだった。
「雪は血を覆い隠してくれるけれど、赤く染まったことは消えない。
雪の下で、ずっと残り続ける。
…私も、同じでしょう?」
そう、壊れそうなほどうつくしく微笑んだフィンに、リュシアンは瞳を見開いたあときつく拳を握りしめた。
耐えがたい苦痛を飲み干すように。
「…彼に、話したのか?」
「なにがですか?」
「おまえの呪いのことだ」
「それならあなたもご存じの通り、もう」
「ちがう」
リュシアンはフィンの声を遮って、悲痛な響きを伴った声で告げる。
「おまえの呪いの代償のことだ」
その声が鼓膜を震わせたとき、どくりと恐怖に心臓が止まりそうになった。
手が震えてがた、と扉にぶつかって音を鳴らしてしまう。
弾かれたようにこちらを見たリュシアンと対照的に、フィンはさして驚かず、どこかあきらめたようにレンドーサを見る。
手足が凍えるのは、きっと寒さのせいじゃない。
心臓がうるさいのは、手が震えるのは、きっと。
「…私から話します。
すみません。リュシアンさん。
ふたりにしていただけますか?」
わかりきっていたように言ったフィンに、リュシアンはやるせないような表情を浮かべたが、なにも言わなかった。
リュシアンが帰ったあと、礼拝堂でフィンと向かい合う。
フィンはレンドーサを見上げ、「すみません」と謝った。
「そのうちに話さなければならないと思っていたんですが」
「……………」
「“呪憑き”には代償があることはご存じですよね?」
「……ああ」
やっとの思いで乾いた声を吐き出した。
知っていた。
“呪憑き”には代償がある。
一族を呪う悪魔に支払う、代償が。
その代償は悪魔によって異なるものだ。
どうしてそんな大事なこと、忘れていたのだろう。
フィンも“呪憑き”である以上、代償があるはずなのに。
なんだか心臓の音がうるさい。
耳元でがんがんと、ひどい耳鳴りがする。
目眩がするんだ。
なんだかひどくいやな、おそろしい予感がする。
悪魔の呪いだ。
代償がろくでもないものであることは容易に想像出来る。
まして“呪憑き”が受ける呪いは、自らを殺して喰らい尽くした者の血族に対する、言わば祟り。
それが、まともなもののはずがない。
「…代償って、なんだ」
はくはくとか細い息を吐いて、聞きたくないと耳を塞ぎたくなる衝動を押し殺して、やっとのことで絞り出した声は情けなく震えていた。
「命です」
「…は?」
「正確には呪いを継いだ者の寿命。
私が受けた呪いの代償は、私の寿命」
フィンはそこまで話して、真っ直ぐにレンドーサを見つめた。
何度も目にした、なにか言いたげな、切なげな色を宿した瞳で。
「私は近いうちに、命を落とします」
そう、宣告を落とした。
世界が止まるというなら、きっとこんなときだろうか。
そんな錯覚を覚えるほどの衝撃だった。
世界ごと、なにもかも凍り付いたようなそんな。
この瞳に映る世界が、鏡のようにひび割れていくような。
いっそ、心臓が止まってしまうほどの衝撃を。
「レンドフルール家の“呪憑き”は代々短命なんです。
呪いの刻印を受けてだいたい約十年ほどで命を落とす。
私が呪いを引き継いだのは三十歳のとき。
もうそろそろなんです」
なのにフィンはどこまでも静かに、わかりきった顔で話す。
レンドーサの凍り付いた表情を見ても、どうにもならないというように微笑んで。
「…そ、…な。
…じゃ、…だって、…あんたの力で、生気を、奪えば」
あんたの力で他者から生気を奪えば、生きられないのか。
もっと長く。
その自分の、死にそうに震えた言葉をフィンはゆるく首を振って否定する。
「呪いの代償は、宿主の寿命や生命力とは関係なく発動します。
私に憑いた呪いの場合は、呪いを継承してからの時間。
継承して一定の時間が経過すれば発動するんです。
私は歴代の宿主から見ればずいぶん長生きしました。
未練なく人生をまっとう出来ると思っていた。
きみに会うまでは」
触れれば壊れる、薄氷のように。たやすく波紋を生む水面のように。
決して掴めない、月の光のように。
もう届かない場所にいるように、彼は綺麗に微笑むのだ。
「お願いがあります」
そう、自分の胸に手を当ててレンドーサに告げた。
「私を、殺してください」
もうなにも、受け入れられないほどの衝撃を味わったのに。
いっそ心臓が止まってしまいそうなほどの衝撃を味わってなお、足りないと言うように、まるで死刑宣告のようにフィンは自分に乞うのだ。
自分の命を絶つことを。
そんな、惨いことを。誰よりうつくしい笑顔で。
「私がこの呪いで死ぬ前に、きみが私を殺してください。
私の首に牙を突き立てて、一滴残らずすべての血をきみのものにして、そうして私を殺して欲しい」
手足が震えるのは、凍えるのは寒さのせいじゃない。
がんがんと耳鳴りがする。サイレンのように。
もう、手遅れだって叫ぶ。
ああ、ほんとうにこぼれ落ちて、もう戻らない。
砂時計の砂は、もう。
「この呪いに殺されるくらいなら、私はきみに殺して欲しい。
私を、殺してください」
レンくん。
あの、やさしい声が自分を呼ぶ。
あたたかくて、さみしい響きで。
このやさしく自分を呼ぶ声も、あたたかな微笑みも、腕の中に収まるあのぬくもりも、すべてが跡形もなく消えるというのか。
あの淡雪のように、すべてが。
そんな惨い罰があるか。
レンドーサは悪魔だ。
祈る神なんて居るはずもない。
なのに祈りたくなった。
ただひたすらに「奪わないでくれ」と。
喪失の恐怖で、やっと気づく。
(オレは、このひとを愛していた)
胸の最奥にひっそりと芽吹いていた恋を咲かせたのは、その花が散ると知らされたとき。
花の命の儚さを知ったからだ。
長すぎる人生の中でただ一人出会った最愛の存在が、自分を殺して欲しいと願った。
ああ、神様なんていない。
この世には、神様なんかいない。
真っ白な雪が、なにもかもを覆い隠すように。
窓の外は、凍えるほどに冷たい。
一面の白銀の世界に、まるでふたりきりになったかのような錯覚を起こさせた。
レンドーサはぼうっと、寝台の上、自分の隣で眠るフィンの顔を見つめる。
一糸まとわぬ姿を毛布に覆われて、フィンは死んだように眠っていた。
あの日から何度、身体を重ねたのか数えていない。
フィンはなにもかもあきらめたようにレンドーサに身を委ねて、好きにさせた。
神の教えも、なにもかもどうでもいいと言うように。
フィンが神を信じていないことは、よく知っている。
なら、自分になにもかも許す理由は?
いつだってなにか言いたげに自分を見る、その紫暗の瞳が儚くて。
切なげな瞳が怖くて、目をそらすように夢中でその身体を抱いた。
なんだかひどく、おそろしい予感がするんだ。
なにか大事なものが手のひらからこぼれ落ちていくような、砂時計の砂が落ちていくような不安を、どうしても拭えなかった。
「…ん」
「フィン?」
「………レン、くん?」
不意にちいさく声を漏らしたフィンがゆっくりまぶたを開け、何度か瞬きしてレンドーサを見る。
そのうつくしい瞳には確かに自分が映っているのに、なぜかひどく虚ろな色に感じられた。
「…気分は?」
「…平気です。
少し怠いだけで」
「………いやじゃ、ないか?」
「……きみも変なことを聞きますね」
その白い首筋に刻まれた牙の跡をなぞりながら問いかければ、フィンがくすりと笑う。
「一緒に許されないことをしようと言ったのは、私ですから」
「…あんた、カミサマ憎んでんの?」
口を吐いたのはただの思いつきだった。でも、たぶん自分の本心だった。
怖くて聞けずにいた、本音だった。
「…カミサマが憎いから、オレと、こんなことしてんの?」
自分をそばに置いたのも、血を与えるのも、抱かれるのも、すべて。
「憎んでなんかいませんよ」
フィンは迷ったそぶりなく答えた。
「だって、神様なんていませんから」
自分を見つめたまま、やわらかく微笑む顔すら今にも消えそうなほどに儚くて。
砂時計の砂がこぼれ落ちるようなおそろしい予感を抱かせる。
「神様なんて、いない」
そう、なにもかもあきらめたように告げる声を聞きたくなくて、そっと抱き寄せて口づけた。
はらはらと、花びらのように雪が降る。
「止まねーな」
「ですね。
しばらくは止まないんじゃないでしょうか」
教会の中からぼんやりと窓の外を眺め、レンドーサがつぶやけばフィンは本から顔を上げないまま頷いた。
リビングの暖炉で、ぱちぱちとたき火が燃えている。
こんな雪の日に誰も来ないだろうに、フィンはきちんと祭服を身に纏って膝の上に置いた本のページをめくっていた。
「…雪合戦とか、したことある?」
「…子どものころなら」
ふと口を吐いたのは、特に意味のない問いかけだった。
「へえ、あんたでもやるんだ」
「友人に誘われて。
けっこう強かったんですよ」
「ふーん」
どこか懐かしむような、憧憬を映すようなまなざしは本に向けられたままで、やけに胸が騒いだ。
もう届かないような、遙か遠くにいるように感じられて。
「…やってみる?」
「きみと?私が?
おかしなこと言うなあ」
もうそんな年じゃありませんよ、と言ったフィンに近寄ってその手を掴む。
鷹揚な動きで自分を見上げたフィンの瞳は、自分を見ているようで見ていない。
それがひどく嫌だった。
「今、なに考えてる?」
「…レンくん?」
「なに、考えてんだよ?」
「……………いつ止むかなあって」
掴まれた手首を振りほどくこともせず、フィンは心ここにあらずのような顔で答えた。
「雪。
いっそ、ずっとこのまま永遠に降っていればいいのに」
「…それじゃ、困るだろ」
「そうですね。
…でも、綺麗でしょう?」
そう言って、その人形のガラス玉の瞳のような目で自分を見て、ことりと首をかしげる。
「一面、白銀に覆われて、なにもかも雪の下で眠りについて、静かで、閉ざされて」
「フィン…?」
「…血」
「え」
「…血の跡もね、雪に覆い隠されると綺麗に真っ白になるんですよ。
ぜんぶ、覆い隠してくれる」
ほんとうに、作り物のような無感情な瞳で彼は笑う。
「以前、街で事件が起こって、その日も雪が降っていたんです。
雪で赤い血が白く染められて、なにもなかったみたいになってしまった。
でも、なにもなかったことにはならないんですよね。
雪は、赤く染められたことを忘れない。
雪の下に埋もれただけで、赤く染まった雪は、白くはならない」
「…フィンさん?」
「…雪が溶けて消えるまで、なにもかもなかったことにはならないから」
そう返事など求めずに語るフィンの、端正な顔に浮かんだ淡雪のような微笑みが怖くて、そっと上向かせて口づける。
「…欲しくなりました?」
「……ああ」
「じゃあ、…どうぞ」
ただどうすればわからなくて、また、その血を求めた。
祭服のボタンを外して、あらわになった首筋に唇を寄せる。
「…なかったことにはならないですよね」
「…え」
「…きみの中に入った私の血は、残るから。
…なかったことにはならない。
雪の上の血みたいに」
「………あんたが、なに言いたいのかわかんねえ」
つぶやいた声はやるせないような響きになった。
「ふふ。
わからなくていいんですよ」
なのにフィンはやはり微笑むのだ。壊れそうなほど綺麗な顔で。
「オレを見ろよ」
「…見てるじゃないですか」
「ちがう。
…オレを、ちゃんと」
その瞳にはちゃんと、レンドーサの姿が映っている。
なのに、彼の心にはなにも届いていないような気がして。
ほんとうに人形のガラス玉の瞳のように、無感情に。
「ちゃんと見ろよ」
そのくせのある髪に指を絡ませ、視線を合わせて真っ直ぐに射貫いても、それでも揺らがない瞳は鏡のようだ。
ただそこにあるものを映すだけの、無機質な。
「見ていますよ」
なのにフィンはやわらかく笑って答える。
「ちゃんと、見ています」
レンくん。
そう、甘くてやさしい声で自分を呼ぶ。
その声すら、途方もない彼方から響いたように遠いのに。
その数日後、雪が止んだ日にレンドーサは街に出かけた。
ファンティアがまだ街にいるなら、会って話がしたかった。
ファンティアを見つけたのは、街に一軒しかない宿屋でだった。
ちょうど食堂にいた彼に声を掛けると、二階にある彼の部屋に案内される。
「なにか悩み事かい?」
「…わかるのか?」
「オレを探しに来たおまえの顔を見ればすぐわかるさ」
必要最低限の家具しか置かれていない室内で、ファンティアは寝台に腰掛けてレンドーサを見上げた。
「で、なんだい?」
「…………」
「彼の血が、そんなに美味しかったかい?」
「…っ」
「わかるよ。
おまえの顔色がかなり良いし、力も満ちているようだ。
今までは常に貧血状態で、弱っている姿ばかり見ていたからね。
生気を分け与えられただけではそうはならない」
ファンティアにはすべてお見通しらしい。
レンドーサは反論する気もなく、そばの椅子に腰を下ろす。
「…信じられないくらい、美味かった」
「…そうか」
「“呪憑き”だからなのかな…。
なんで、あんな美味いんだ。
あのひとの血だけ。
飲んでも飲んでももっと欲しくなって、余計喉が渇く気がする。
際限がねえんだ。
……でも、あのひと、拒まないんだ。
なにも」
怖いのは、なにもかもを受け入れるあの姿。
人形のような、虚ろな瞳と儚い微笑。
なにか、おそろしい予感がする。
手のひらからなにもかもこぼれ落ちていくような、そんな。
「…おまえは、気づかないのか?」
「…え?」
「…以前、会ったときに言ったな。
おまえはそれほど彼が大事かと」
「………それ、は」
どくり、と心臓が大きく脈打つ。
否定は、出来なかった。
フィンの存在が、自分の中でひどく重たくなっていることを。
今更、目を逸らせもしないのに。
「“呪憑き”なのは無関係だ。
彼だからだ」
「…え、」
「甘い香りがすると言っていただろう。
それは出会ったときからか?」
「……出会ったときは、そんなに、じゃ、ただ段々強くなって」
「興味だよ」
ファンティアははっきりと断言した。
「その正体は吸血衝動だとわかっているだろう。
彼の血を欲しいと思う、その衝動だと。
それはおまえが彼に興味を持つほどに強くなった。
元々偏食が激しくて、人間の血をまずいとしか感じて来なかったおまえだから気づくのが遅れたんだろう」
「…なんで、興味を持ったからって」
「おまえは彼に興味を抱き、やがて無自覚にそれ以上の感情を抱いた。
それこそが、おまえが彼だけの血を美味しいと感じる理由だ」
どくどくと、心臓の音がうるさい。
高鳴る鼓動は、恐怖に近かった。
警報音のように。
聞きたくないと叫ぶのは、己の心で。
見たくない。知りたくない。聞きたくない。
それはきっと、あのなにか言いたげな、切ないフィンの微笑が胸を騒がせるから。
「吸血鬼がもっとも美味しいと感じるのは、己の愛する者の血液。
おまえが彼を愛しく思うようになったから、おまえにとって彼の血はなにより甘美なものになったんだ」
けれどファンティアは無情に、断罪のように言い放つ。
気づいて、なかったわけじゃない。
自分の中で重さを増す、彼の存在を。
彼の切なげな笑みに怖くなる理由を。
そのすべてが欲しくなった理由を。
(失いたくないという、強い想いを)
ファンティアと別れて教会に戻って来たが、なかなか建物の中に足を踏み入れることが出来ない。
胸の中にある狂おしい感情の正体を、まだ受け入れられなくて。
受け入れるのが、どうしてかひどく怖いんだ。
手遅れになってしまいそうで。
いったい、どうしてかもわからないのに。
「…じゃあ、おまえは彼に血を与えているのか?」
不意に耳に触れた声に、心臓が速く脈打った。
この声はリュシアンだ。
足音を立てないよう礼拝堂のほうに近寄ると、少しだけ扉が開いていた。
そっと覗くと、礼拝堂の中にフィンとリュシアンの姿が見える。
「ええ。
なぜか私の血だけは口に合うようなので」
「………」
「…なんでそこまでするのか、という顔ですね」
「……わかるなら、なぜ」
どこか茫然とつぶやいたリュシアンに、フィンはくつり、と歪な微笑を浮かべた。
「許されないことをしようと思ったんです」
「…は?」
「私は、神様がいないことを知っている。
ずっと、バカらしいとどこかで思っていました。
神様なんていないのに、なにを祈っているのかと。
だから、許されないことをしてみたくなった。
なにもかも悪魔に与えて、踏み外して、…許されない罪を犯してみたくなった」
後半は独白のような、凍えた空気に溶かすような淡いつぶやきだった。
「雪は血を覆い隠してくれるけれど、赤く染まったことは消えない。
雪の下で、ずっと残り続ける。
…私も、同じでしょう?」
そう、壊れそうなほどうつくしく微笑んだフィンに、リュシアンは瞳を見開いたあときつく拳を握りしめた。
耐えがたい苦痛を飲み干すように。
「…彼に、話したのか?」
「なにがですか?」
「おまえの呪いのことだ」
「それならあなたもご存じの通り、もう」
「ちがう」
リュシアンはフィンの声を遮って、悲痛な響きを伴った声で告げる。
「おまえの呪いの代償のことだ」
その声が鼓膜を震わせたとき、どくりと恐怖に心臓が止まりそうになった。
手が震えてがた、と扉にぶつかって音を鳴らしてしまう。
弾かれたようにこちらを見たリュシアンと対照的に、フィンはさして驚かず、どこかあきらめたようにレンドーサを見る。
手足が凍えるのは、きっと寒さのせいじゃない。
心臓がうるさいのは、手が震えるのは、きっと。
「…私から話します。
すみません。リュシアンさん。
ふたりにしていただけますか?」
わかりきっていたように言ったフィンに、リュシアンはやるせないような表情を浮かべたが、なにも言わなかった。
リュシアンが帰ったあと、礼拝堂でフィンと向かい合う。
フィンはレンドーサを見上げ、「すみません」と謝った。
「そのうちに話さなければならないと思っていたんですが」
「……………」
「“呪憑き”には代償があることはご存じですよね?」
「……ああ」
やっとの思いで乾いた声を吐き出した。
知っていた。
“呪憑き”には代償がある。
一族を呪う悪魔に支払う、代償が。
その代償は悪魔によって異なるものだ。
どうしてそんな大事なこと、忘れていたのだろう。
フィンも“呪憑き”である以上、代償があるはずなのに。
なんだか心臓の音がうるさい。
耳元でがんがんと、ひどい耳鳴りがする。
目眩がするんだ。
なんだかひどくいやな、おそろしい予感がする。
悪魔の呪いだ。
代償がろくでもないものであることは容易に想像出来る。
まして“呪憑き”が受ける呪いは、自らを殺して喰らい尽くした者の血族に対する、言わば祟り。
それが、まともなもののはずがない。
「…代償って、なんだ」
はくはくとか細い息を吐いて、聞きたくないと耳を塞ぎたくなる衝動を押し殺して、やっとのことで絞り出した声は情けなく震えていた。
「命です」
「…は?」
「正確には呪いを継いだ者の寿命。
私が受けた呪いの代償は、私の寿命」
フィンはそこまで話して、真っ直ぐにレンドーサを見つめた。
何度も目にした、なにか言いたげな、切なげな色を宿した瞳で。
「私は近いうちに、命を落とします」
そう、宣告を落とした。
世界が止まるというなら、きっとこんなときだろうか。
そんな錯覚を覚えるほどの衝撃だった。
世界ごと、なにもかも凍り付いたようなそんな。
この瞳に映る世界が、鏡のようにひび割れていくような。
いっそ、心臓が止まってしまうほどの衝撃を。
「レンドフルール家の“呪憑き”は代々短命なんです。
呪いの刻印を受けてだいたい約十年ほどで命を落とす。
私が呪いを引き継いだのは三十歳のとき。
もうそろそろなんです」
なのにフィンはどこまでも静かに、わかりきった顔で話す。
レンドーサの凍り付いた表情を見ても、どうにもならないというように微笑んで。
「…そ、…な。
…じゃ、…だって、…あんたの力で、生気を、奪えば」
あんたの力で他者から生気を奪えば、生きられないのか。
もっと長く。
その自分の、死にそうに震えた言葉をフィンはゆるく首を振って否定する。
「呪いの代償は、宿主の寿命や生命力とは関係なく発動します。
私に憑いた呪いの場合は、呪いを継承してからの時間。
継承して一定の時間が経過すれば発動するんです。
私は歴代の宿主から見ればずいぶん長生きしました。
未練なく人生をまっとう出来ると思っていた。
きみに会うまでは」
触れれば壊れる、薄氷のように。たやすく波紋を生む水面のように。
決して掴めない、月の光のように。
もう届かない場所にいるように、彼は綺麗に微笑むのだ。
「お願いがあります」
そう、自分の胸に手を当ててレンドーサに告げた。
「私を、殺してください」
もうなにも、受け入れられないほどの衝撃を味わったのに。
いっそ心臓が止まってしまいそうなほどの衝撃を味わってなお、足りないと言うように、まるで死刑宣告のようにフィンは自分に乞うのだ。
自分の命を絶つことを。
そんな、惨いことを。誰よりうつくしい笑顔で。
「私がこの呪いで死ぬ前に、きみが私を殺してください。
私の首に牙を突き立てて、一滴残らずすべての血をきみのものにして、そうして私を殺して欲しい」
手足が震えるのは、凍えるのは寒さのせいじゃない。
がんがんと耳鳴りがする。サイレンのように。
もう、手遅れだって叫ぶ。
ああ、ほんとうにこぼれ落ちて、もう戻らない。
砂時計の砂は、もう。
「この呪いに殺されるくらいなら、私はきみに殺して欲しい。
私を、殺してください」
レンくん。
あの、やさしい声が自分を呼ぶ。
あたたかくて、さみしい響きで。
このやさしく自分を呼ぶ声も、あたたかな微笑みも、腕の中に収まるあのぬくもりも、すべてが跡形もなく消えるというのか。
あの淡雪のように、すべてが。
そんな惨い罰があるか。
レンドーサは悪魔だ。
祈る神なんて居るはずもない。
なのに祈りたくなった。
ただひたすらに「奪わないでくれ」と。
喪失の恐怖で、やっと気づく。
(オレは、このひとを愛していた)
胸の最奥にひっそりと芽吹いていた恋を咲かせたのは、その花が散ると知らされたとき。
花の命の儚さを知ったからだ。
長すぎる人生の中でただ一人出会った最愛の存在が、自分を殺して欲しいと願った。
ああ、神様なんていない。
この世には、神様なんかいない。
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