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第七章 星間の黒麒麟
第一話 MONSTER
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藍澤は七月の始めに転校してきた。
三年一組に、二人目のSランクの転校生。
それも、吾妻の友人と知って、学園は大騒ぎだ。
挨拶が終わったあとのLHR中の教室。
さっきから質問責めにあっている藍澤を見遣って、吾妻は軽く笑った。
転校生の宿命だし、まあいいか。
「そない騒がれへんやろ。
いくらSランクやゆうても」
岩永はのんびりと言う。
吾妻の前の席に腰掛け、その様子を眺めながら。
「そうなの?」
「お前と一緒にすんな。
転入前日にプロポーズしてバトルったりせぇへんならあそこまで有名にならん」
「…あー」
そこをつっこまれると痛い。吾妻は苦笑した。
「まあでも、お前らと一緒のチームになるなら、有名人になるかもな」
優衣が椅子ごとこちらに寄ってきて、そう言った。
「出来るだけ四人全員Sランクのチームは作らんよう言われとる中やし、特例とはいえ」
藍澤は、吾妻と時波の意見で、同じチームで出ることになった。
チーム戦の登録はとうに締め切ってしまったので、特例だ。
あとは、複雑な事情のある藍澤に配慮して、吾妻と時波と一緒ならば、と教師たちが許可を出した。
「幼馴染みなら、呼吸もあうんやろ?」
「わからない」
優衣の問いに、吾妻は頭を掻く。
「俺、涼太の力がどんなもんか、まだよくわかってないし…。
だから、うまく合わせられるのは時波の方じゃない?」
「…どうやろなあ。
古い知りあいゆうのは阿吽の呼吸っちゅうもんがあるし、やれる気がするが…」
そこまで呟いて、岩永は驚いた。
吾妻の背中に、静かにへばりついてきた白倉。
「俺だって阿吽の呼吸できるもん」
「白倉…」
拗ねた口調で、吾妻の胸に手を回す。
自分から抱きついてきた白倉の手を握って、吾妻は顔を緩ませた。
「今の吾妻のこと一番理解してるの俺だもん…」
子供のように主張する白倉の頭にウサギの耳が見えた気がしたのは、吾妻の所為だ。
吾妻が白倉に、なにを考えたのかウサギのストラップなんかあげるから。
その吾妻はほわほわ幸せそうに笑って、身体の向きを変えて白倉を抱きしめる。
「涼太はほんとにえらいね~…。
こんなかわいい白倉見せてくれて…」
白倉の髪の毛を撫でて、心底そう思った口調だ。
いいのか。一番の親友(らしい)相手に感謝することがそれで。
同じ学校に通えることとか、同じチームになれたこととかじゃなくて。
「吾妻。
俺、藍澤よりかわいい?」
「もちろんだよ。
涼太のどこがかわいいの?
僕には白倉しか見えない…!」
「吾妻…!」
身体を離して、見つめ合って。
吾妻の熱い言葉に、白倉は感動して自分から抱きつく。
「俺、信じてる…」
「信じていいよ。僕、白倉のことずっと愛してる…」
「吾妻…」
教室の真ん中でそんな抱擁と会話を交わす二人を、他の生徒も一応見ているわけだが、誰も止められない。
ストッパーになるはずの時波は向こうで藍澤と話していたし、九生はいない。
「バカップルもここに極まれり…」
うんざりして優衣は呟いた。
「なるほど、確かに若干うざいな」
「うおっ!」
背後からいるはずのない男の声がして、優衣も岩永もびっくりした。
振り返ると、藍澤と時波が立っている。
さっきの発言は藍澤だ。
「終わったん? 質問責め」
「俺が切り上げた」
岩永の質問に、時波が答える。
確かに、時波に言われたら、みんな従うしかない。
「藍澤から見てもうざいんや」
「っていうか、吾妻がうざい。
白倉は別にいいんだ」
優衣の言葉に、藍澤は腕を組んで淡々と答える。
「ええん?」
「今まで、吾妻に白倉のことを惚気られていたのは誰だ?」
おそるおそる問うと、藍澤に逆に質問された。
怪訝な顔をしながら、岩永が「自分と夕」と答える。
「もう惚気られなくなるぞ。100%の確率で」
白倉から惚気られるかもしれないが、と藍澤は言い置く。
岩永と優衣は意味がわからない。
「なぜなら、俺と再会したことで、その役目は全部俺に寄越されるからだ…。
今に見て見ろ。
白倉と一緒にいない間、白倉がどうしたああした。
こちらの都合も省みず語られるんだ。恐ろしいというか最早うざい」
藍澤は鳥肌がたったのか自分の腕を撫でて、真顔で断言した。
すごく説得力がある。
「今まで、惚気られた経験があるん?」
「いや、ない」
藍澤はきっぱり答えた。
「だが、それは今まであいつに本命がいなかったからで…。
あいつの行動パターンはわかってる。だから俺に来るな」
完全に確信した口調だ。
岩永と優衣は顔を見合わせた。
「あ、涼太」
吾妻が今頃藍澤に気づいたのか、暢気な声で呼んだ。
白倉がいない。
おそらく生徒会の雑務で呼ばれたのだろう。
「あ、そうや。
俺も呼ばれとったんや」
岩永が思いだしたらしく、時計を見遣って、立ち上がる。
「ほな、行ってくるな」
「おう」
手を振って開いたままの戸口に向かった岩永を見送り、優衣は藍澤とこちらに視線を向ける吾妻を見上げた。
「涼太、今の見た?」
「最後の方なら」
「白倉、可愛いね。
涼太が来てからずっとああだよ。
僕は白倉一筋って言ってるのに…、なんていじらしい…」
「…じゃあ俺はしばらくお前と離れておくかな」
「チーム戦の練習があるよ?
一緒にいるしかない。
俺と涼太がなんでもないことを話してても、白倉は気にするかな…。
悲しませたくないけど、だけど拗ねる白倉はかわいいね…」
「恋人を悲しませて喜ぶなんてお前最低だな」
「っ!!」
「あ、悪い。うっかり口が滑った」
恍惚とした顔で白倉の惚気を炸裂させた吾妻の矛先は見事なまでに藍澤だけだ。
段々藍澤がいい加減になってきて、最後にあの台詞。
衝撃を受けて青ざめる吾妻を見上げて、藍澤はやっぱりどうでもよさそうに謝った。
「涼太、ひどい~」
「俺がつっこむだけマシだからな?」
「へ?」
きょとんとした吾妻は、藍澤が立てた親指で示す方を見て引きつった。
時波が無表情で拳を鳴らしている。
しまった。時波がいた。
「…ごめんなさい」
「今後一切、慎めよ」
時波に地を這うような声で注意され、吾妻は縮こまった。
「吾妻はおいておいて、俺はまだNOAのことが全然わからなくてな。
誰か案内してくれないか?
吾妻以外で」
「涼太、ひどい…」
「お前が喜ぶネタにされちゃかなわないんだよ」
言外に、白倉が嫉妬して、またお前が喜んで惚気られたら嫌だ、と藍澤。
感動の再会をしたわりに、素っ気ないというか、ドライだ。
「じゃあ、俺がしようか?」
時波が名乗り出ようとした寸前、思ってもみない場所から立候補の声が聞こえた。
振り返ると、化野が微笑んでいる。
「挨拶はしたよね。
改めてよろしく。藍澤」
差し出された化野の手を、軽く握って、藍澤は挨拶を返す。
「こちらこそ、よろしく」
「うん。
で、案内だろう?
俺がしてもかまわないかい?」
楽しそうに話す化野に吾妻はついていけない。
こんなに積極的な化野はあまり見ない。
藍澤は笑って頷いた。
「ああ、是非頼む。
助かるよ」
「ううん。気にしないで。
俺の興味もあるからさ」
化野は快諾を嬉しそうに聴いて、藍澤の肩を軽く叩いた。
「じゃ、昼休みでいいかい?」
「ああ」
「わかった。じゃ、昼休みね」
朗らかに会話をして、化野は窓際の雪代や若松の元に戻っていった。
「珍しいね…」
あまり化野を知っているわけではないが、珍しいと思う。
マイペースな人間の王道に見えるからだ。
「興味があったからでしょ?」
この時間は全クラスLHRで、二組に遊びに行っていた流河が戻ってきていたらしく、話に入ってきた。
「藍澤クンに」
「…涼太の力が希有だから?」
「それもあるだろうけど」
流河は笑う。
言外に「他に理由がある」と。
吾妻は首を傾げた。
「藍澤の力は三分の一が未覚醒だ。
完全に覚醒すれば、四人目の仲間だからな」
「…?」
意味が本気でわからない。
化野の力を知らないし、いや、時波は確かに藍澤を、「唯一」そういった力を持つ人間と言った。
なんの仲間だ。
「一応みんな知ってるけどね、実はSランクが最上位じゃないんだよ」
流河が指を立てて言った。
「…え!?」
「Sランクの更に上に一つランクが存在する。
SSランク。
化野はSSで、藍澤も完全覚醒すればSSランクと見越された“仲間”なんだ」
だから、興味津々なんだ、と時波が説明した。
「…知らなかったよ」
「そりゃあね。
普段はSSランクの人たち、“Sランク”扱いで一緒くただし」
「どうして?」
なんでそんなことになるのかわからない、と吾妻は思う。
時波が真顔で、ため息を吐いた。
「人数が少なすぎるんだ」
「は?」
「SSランクは現在、世界でもたった十名。
このNOA内ではたった三名。
候補が藍澤含む五名。
…ランクとして明示するには、人数が少なすぎる」
時波は淡々と語った。
「世界ではSSランクは突然変異だ、たまたま調子がよかった時の成果だ、はたまた計測間違いだと言うヤツも少なくなくてな…。
だから、せめてもう少し増えないと、“ランク”として登録できない…」
「……それは」
なんと言ったらいいのか、大変だ、としか言えない。
「…ちなみに、NOAにいる、三人って?」
一人は化野としても、あとの二人は誰だ。
「あ、白倉?」
「白倉はSS候補だ。まだSSランクじゃない」
時波の返答に内心びっくりした。
最強の呼び声高い白倉すら、まだ「候補」。
「一人は三年の若松クン。
もう一人が、時波クンだよ」
流河が時波を手の平で示して答えた。
吾妻は悲鳴を上げたくなって、堪える。
強いはずだ。勝てないはずだ。
っていうか、そんなヤツが、以前自分と白倉が付き合う条件に「自分に勝ったら」なんて言っていたのか。
一生勝てないなんて弱音を吐く気は全くないが、今は無理だ。
「だから、俺にとっても藍澤は仲間だ」
「…あまりそう言ってくれるな。
照れるし、確実になるとは限ってないぞ」
藍澤は照れくさそうに零して、ふと視線を動かした。
軽い靴音が響いたからだ。
「藍澤さん!」
教室の戸口からこちらを覗いて、手をぶんぶん振っているのは、二年の高尾と村崎志津樹だ。
「おう、高尾。村崎」
藍澤が手招くと嬉しそうに入ってきた。
「やっと同じ学校で学べますね!」
「ああ、お前達のおかげだよ」
「いえ、そんな!」
高尾はやたらテンション高く喋るが、その顔には藍澤への全幅の信頼が映っている。
村崎も同じだ。
「あ、そうだ。
チーム戦。
俺達同じチームなんで当たったら手加減しないでくださいね!」
「ああ、わかった」
「よっしゃ!
あ、チャイム鳴っちゃう」
来て早々、チャイムが鳴る時間だと気づいたのか、高尾は慌てた。
「チャイムが鳴っても休み時間だが?」
「俺達、次、移動教室なんですよ」
「じゃああとで来たらよかっただろう?」
藍澤が優しく言うと、高尾は腕をぶんぶん振る。
そして、志津樹と声を揃えて、
「すぐに会いたかったんです!」
と言い切る。
「今日、帰ったあと部屋に行っていいですか?」
「構わないぞ」
「わっかりました! じゃ、放課後!」
「藍澤さん! また!」
二人は元気良く言って、揃って頭を下げると廊下に走っていった。
戸口で振り返って、また手を振って、走り出す。
「…そういえば、いつ知り合ったん? あいつらと。
随分慕われとるみたいやけど」
「東京に来てからだ。
俺がつい世話を焼いてしまってな…」
優衣の驚いた声音に、藍澤はますます照れくさそうだ。
「…ああ、どうりで以前より落ち着いたと思ったよ」
「あー、まあな」
吾妻が納得した、と手を打つ。
そのタイミングでチャイムが鳴った。
しかし、SSランクなんて知らなかった。
びっくりした。
白倉に聞こうと思って、廊下を歩いていると、窓際で友人らしい男と話している化野と目があった。
彼は微笑んで手を振る。
「あんたってすごく強かったんだね」
近寄ってから言うと、化野は一瞬目を丸くしたあと、にっこり微笑んだ。
「うん。
俺は強いよ。
とびっきり」
自信過剰ではなく、真実として笑って言い切る化野に、闘争心が刺激される。
先日の心霊ビルでは、その能力がなんだかさっぱりわからなかったが、強いというのはわかった。
「なに?
俺に興味出た?」
「うん」
頷くと、化野は「そっかー」と楽しそうに呟く。
「じゃあ、俺と一回戦ってみる?」
「え?」
自分を指さし、化野はひたすら上機嫌だ。
「放課後にでも一戦。
俺も吾妻と戦ってみたかったし、ね?」
「…………」
にこにこととても機嫌の良い顔で見つめられているのに、普段なら自分はわくわくして頷くのに。
背筋を流れたのは、冷や汗。
「吾妻!」
不意に大声で呼ばれて、我に返る。
手を掴まれて、振り返ると九生がいた。
焦った顔だ。
「悪い。放課後、俺と用事があるから」
「そうなんだ。残念」
「すまんな。じゃ」
九生は化野に謝ると、吾妻の手を引っ張って歩きだした。
唐突すぎる九生の登場と行動だが、正直助かった。
そして、吾妻は気づく。
自分の手の平は冷すごく、九生の手の平も冷たい。
その事実に、ぞくっと恐怖が走った。
もしかして、自分は今さっき、とんでもない窮地にいたのか?
しばらく無言で自分を引っ張っていた九生が足を止める。
「悪いことは言わん。
あいつに、今は勝とうとすんな」
手を離し、自分を振り返った九生は、怖いくらい真剣だった。
吾妻は気圧される。
「…化野って」
掠れた声が口から出た。
聴きたくない気持ちもあったのに、口が止まらない。
「お前、白倉が“最強”って呼ばれとるの知っとるじゃろ?」
「うん」
「なら、化野がなんて呼ばれとるか知っとるか?」
「…しらん」
喉がからからだ。
そんな感覚を、今自覚した。
九生は険しい顔で、一字一句はっきりと発音する。
「化野は“不敗”。
絶対に誰にも負から存在。
そういう“神話”。
NOAの“伝説”じゃ」
「………」
返す言葉が浮かばない。
その理由はわかる。
今さっき、化野から感じたプレッシャーが全てだ。
「今のNOAのSランクに、あいつに勝てる人間は、おらん」
九生は断言した。
それはつまり、皆、一度は彼と戦ったことがあるということ。
皆、負けたということ。
九生も、岩永も、――――白倉も。
「見かけに騙されんな。
あれを、本物の“怪物”言うんじゃ」
白倉や、お前や、岩永なんて、かわいいものだ。
九生はそう言った。
ひどく真剣に、ひどく恐ろしく。
三年一組に、二人目のSランクの転校生。
それも、吾妻の友人と知って、学園は大騒ぎだ。
挨拶が終わったあとのLHR中の教室。
さっきから質問責めにあっている藍澤を見遣って、吾妻は軽く笑った。
転校生の宿命だし、まあいいか。
「そない騒がれへんやろ。
いくらSランクやゆうても」
岩永はのんびりと言う。
吾妻の前の席に腰掛け、その様子を眺めながら。
「そうなの?」
「お前と一緒にすんな。
転入前日にプロポーズしてバトルったりせぇへんならあそこまで有名にならん」
「…あー」
そこをつっこまれると痛い。吾妻は苦笑した。
「まあでも、お前らと一緒のチームになるなら、有名人になるかもな」
優衣が椅子ごとこちらに寄ってきて、そう言った。
「出来るだけ四人全員Sランクのチームは作らんよう言われとる中やし、特例とはいえ」
藍澤は、吾妻と時波の意見で、同じチームで出ることになった。
チーム戦の登録はとうに締め切ってしまったので、特例だ。
あとは、複雑な事情のある藍澤に配慮して、吾妻と時波と一緒ならば、と教師たちが許可を出した。
「幼馴染みなら、呼吸もあうんやろ?」
「わからない」
優衣の問いに、吾妻は頭を掻く。
「俺、涼太の力がどんなもんか、まだよくわかってないし…。
だから、うまく合わせられるのは時波の方じゃない?」
「…どうやろなあ。
古い知りあいゆうのは阿吽の呼吸っちゅうもんがあるし、やれる気がするが…」
そこまで呟いて、岩永は驚いた。
吾妻の背中に、静かにへばりついてきた白倉。
「俺だって阿吽の呼吸できるもん」
「白倉…」
拗ねた口調で、吾妻の胸に手を回す。
自分から抱きついてきた白倉の手を握って、吾妻は顔を緩ませた。
「今の吾妻のこと一番理解してるの俺だもん…」
子供のように主張する白倉の頭にウサギの耳が見えた気がしたのは、吾妻の所為だ。
吾妻が白倉に、なにを考えたのかウサギのストラップなんかあげるから。
その吾妻はほわほわ幸せそうに笑って、身体の向きを変えて白倉を抱きしめる。
「涼太はほんとにえらいね~…。
こんなかわいい白倉見せてくれて…」
白倉の髪の毛を撫でて、心底そう思った口調だ。
いいのか。一番の親友(らしい)相手に感謝することがそれで。
同じ学校に通えることとか、同じチームになれたこととかじゃなくて。
「吾妻。
俺、藍澤よりかわいい?」
「もちろんだよ。
涼太のどこがかわいいの?
僕には白倉しか見えない…!」
「吾妻…!」
身体を離して、見つめ合って。
吾妻の熱い言葉に、白倉は感動して自分から抱きつく。
「俺、信じてる…」
「信じていいよ。僕、白倉のことずっと愛してる…」
「吾妻…」
教室の真ん中でそんな抱擁と会話を交わす二人を、他の生徒も一応見ているわけだが、誰も止められない。
ストッパーになるはずの時波は向こうで藍澤と話していたし、九生はいない。
「バカップルもここに極まれり…」
うんざりして優衣は呟いた。
「なるほど、確かに若干うざいな」
「うおっ!」
背後からいるはずのない男の声がして、優衣も岩永もびっくりした。
振り返ると、藍澤と時波が立っている。
さっきの発言は藍澤だ。
「終わったん? 質問責め」
「俺が切り上げた」
岩永の質問に、時波が答える。
確かに、時波に言われたら、みんな従うしかない。
「藍澤から見てもうざいんや」
「っていうか、吾妻がうざい。
白倉は別にいいんだ」
優衣の言葉に、藍澤は腕を組んで淡々と答える。
「ええん?」
「今まで、吾妻に白倉のことを惚気られていたのは誰だ?」
おそるおそる問うと、藍澤に逆に質問された。
怪訝な顔をしながら、岩永が「自分と夕」と答える。
「もう惚気られなくなるぞ。100%の確率で」
白倉から惚気られるかもしれないが、と藍澤は言い置く。
岩永と優衣は意味がわからない。
「なぜなら、俺と再会したことで、その役目は全部俺に寄越されるからだ…。
今に見て見ろ。
白倉と一緒にいない間、白倉がどうしたああした。
こちらの都合も省みず語られるんだ。恐ろしいというか最早うざい」
藍澤は鳥肌がたったのか自分の腕を撫でて、真顔で断言した。
すごく説得力がある。
「今まで、惚気られた経験があるん?」
「いや、ない」
藍澤はきっぱり答えた。
「だが、それは今まであいつに本命がいなかったからで…。
あいつの行動パターンはわかってる。だから俺に来るな」
完全に確信した口調だ。
岩永と優衣は顔を見合わせた。
「あ、涼太」
吾妻が今頃藍澤に気づいたのか、暢気な声で呼んだ。
白倉がいない。
おそらく生徒会の雑務で呼ばれたのだろう。
「あ、そうや。
俺も呼ばれとったんや」
岩永が思いだしたらしく、時計を見遣って、立ち上がる。
「ほな、行ってくるな」
「おう」
手を振って開いたままの戸口に向かった岩永を見送り、優衣は藍澤とこちらに視線を向ける吾妻を見上げた。
「涼太、今の見た?」
「最後の方なら」
「白倉、可愛いね。
涼太が来てからずっとああだよ。
僕は白倉一筋って言ってるのに…、なんていじらしい…」
「…じゃあ俺はしばらくお前と離れておくかな」
「チーム戦の練習があるよ?
一緒にいるしかない。
俺と涼太がなんでもないことを話してても、白倉は気にするかな…。
悲しませたくないけど、だけど拗ねる白倉はかわいいね…」
「恋人を悲しませて喜ぶなんてお前最低だな」
「っ!!」
「あ、悪い。うっかり口が滑った」
恍惚とした顔で白倉の惚気を炸裂させた吾妻の矛先は見事なまでに藍澤だけだ。
段々藍澤がいい加減になってきて、最後にあの台詞。
衝撃を受けて青ざめる吾妻を見上げて、藍澤はやっぱりどうでもよさそうに謝った。
「涼太、ひどい~」
「俺がつっこむだけマシだからな?」
「へ?」
きょとんとした吾妻は、藍澤が立てた親指で示す方を見て引きつった。
時波が無表情で拳を鳴らしている。
しまった。時波がいた。
「…ごめんなさい」
「今後一切、慎めよ」
時波に地を這うような声で注意され、吾妻は縮こまった。
「吾妻はおいておいて、俺はまだNOAのことが全然わからなくてな。
誰か案内してくれないか?
吾妻以外で」
「涼太、ひどい…」
「お前が喜ぶネタにされちゃかなわないんだよ」
言外に、白倉が嫉妬して、またお前が喜んで惚気られたら嫌だ、と藍澤。
感動の再会をしたわりに、素っ気ないというか、ドライだ。
「じゃあ、俺がしようか?」
時波が名乗り出ようとした寸前、思ってもみない場所から立候補の声が聞こえた。
振り返ると、化野が微笑んでいる。
「挨拶はしたよね。
改めてよろしく。藍澤」
差し出された化野の手を、軽く握って、藍澤は挨拶を返す。
「こちらこそ、よろしく」
「うん。
で、案内だろう?
俺がしてもかまわないかい?」
楽しそうに話す化野に吾妻はついていけない。
こんなに積極的な化野はあまり見ない。
藍澤は笑って頷いた。
「ああ、是非頼む。
助かるよ」
「ううん。気にしないで。
俺の興味もあるからさ」
化野は快諾を嬉しそうに聴いて、藍澤の肩を軽く叩いた。
「じゃ、昼休みでいいかい?」
「ああ」
「わかった。じゃ、昼休みね」
朗らかに会話をして、化野は窓際の雪代や若松の元に戻っていった。
「珍しいね…」
あまり化野を知っているわけではないが、珍しいと思う。
マイペースな人間の王道に見えるからだ。
「興味があったからでしょ?」
この時間は全クラスLHRで、二組に遊びに行っていた流河が戻ってきていたらしく、話に入ってきた。
「藍澤クンに」
「…涼太の力が希有だから?」
「それもあるだろうけど」
流河は笑う。
言外に「他に理由がある」と。
吾妻は首を傾げた。
「藍澤の力は三分の一が未覚醒だ。
完全に覚醒すれば、四人目の仲間だからな」
「…?」
意味が本気でわからない。
化野の力を知らないし、いや、時波は確かに藍澤を、「唯一」そういった力を持つ人間と言った。
なんの仲間だ。
「一応みんな知ってるけどね、実はSランクが最上位じゃないんだよ」
流河が指を立てて言った。
「…え!?」
「Sランクの更に上に一つランクが存在する。
SSランク。
化野はSSで、藍澤も完全覚醒すればSSランクと見越された“仲間”なんだ」
だから、興味津々なんだ、と時波が説明した。
「…知らなかったよ」
「そりゃあね。
普段はSSランクの人たち、“Sランク”扱いで一緒くただし」
「どうして?」
なんでそんなことになるのかわからない、と吾妻は思う。
時波が真顔で、ため息を吐いた。
「人数が少なすぎるんだ」
「は?」
「SSランクは現在、世界でもたった十名。
このNOA内ではたった三名。
候補が藍澤含む五名。
…ランクとして明示するには、人数が少なすぎる」
時波は淡々と語った。
「世界ではSSランクは突然変異だ、たまたま調子がよかった時の成果だ、はたまた計測間違いだと言うヤツも少なくなくてな…。
だから、せめてもう少し増えないと、“ランク”として登録できない…」
「……それは」
なんと言ったらいいのか、大変だ、としか言えない。
「…ちなみに、NOAにいる、三人って?」
一人は化野としても、あとの二人は誰だ。
「あ、白倉?」
「白倉はSS候補だ。まだSSランクじゃない」
時波の返答に内心びっくりした。
最強の呼び声高い白倉すら、まだ「候補」。
「一人は三年の若松クン。
もう一人が、時波クンだよ」
流河が時波を手の平で示して答えた。
吾妻は悲鳴を上げたくなって、堪える。
強いはずだ。勝てないはずだ。
っていうか、そんなヤツが、以前自分と白倉が付き合う条件に「自分に勝ったら」なんて言っていたのか。
一生勝てないなんて弱音を吐く気は全くないが、今は無理だ。
「だから、俺にとっても藍澤は仲間だ」
「…あまりそう言ってくれるな。
照れるし、確実になるとは限ってないぞ」
藍澤は照れくさそうに零して、ふと視線を動かした。
軽い靴音が響いたからだ。
「藍澤さん!」
教室の戸口からこちらを覗いて、手をぶんぶん振っているのは、二年の高尾と村崎志津樹だ。
「おう、高尾。村崎」
藍澤が手招くと嬉しそうに入ってきた。
「やっと同じ学校で学べますね!」
「ああ、お前達のおかげだよ」
「いえ、そんな!」
高尾はやたらテンション高く喋るが、その顔には藍澤への全幅の信頼が映っている。
村崎も同じだ。
「あ、そうだ。
チーム戦。
俺達同じチームなんで当たったら手加減しないでくださいね!」
「ああ、わかった」
「よっしゃ!
あ、チャイム鳴っちゃう」
来て早々、チャイムが鳴る時間だと気づいたのか、高尾は慌てた。
「チャイムが鳴っても休み時間だが?」
「俺達、次、移動教室なんですよ」
「じゃああとで来たらよかっただろう?」
藍澤が優しく言うと、高尾は腕をぶんぶん振る。
そして、志津樹と声を揃えて、
「すぐに会いたかったんです!」
と言い切る。
「今日、帰ったあと部屋に行っていいですか?」
「構わないぞ」
「わっかりました! じゃ、放課後!」
「藍澤さん! また!」
二人は元気良く言って、揃って頭を下げると廊下に走っていった。
戸口で振り返って、また手を振って、走り出す。
「…そういえば、いつ知り合ったん? あいつらと。
随分慕われとるみたいやけど」
「東京に来てからだ。
俺がつい世話を焼いてしまってな…」
優衣の驚いた声音に、藍澤はますます照れくさそうだ。
「…ああ、どうりで以前より落ち着いたと思ったよ」
「あー、まあな」
吾妻が納得した、と手を打つ。
そのタイミングでチャイムが鳴った。
しかし、SSランクなんて知らなかった。
びっくりした。
白倉に聞こうと思って、廊下を歩いていると、窓際で友人らしい男と話している化野と目があった。
彼は微笑んで手を振る。
「あんたってすごく強かったんだね」
近寄ってから言うと、化野は一瞬目を丸くしたあと、にっこり微笑んだ。
「うん。
俺は強いよ。
とびっきり」
自信過剰ではなく、真実として笑って言い切る化野に、闘争心が刺激される。
先日の心霊ビルでは、その能力がなんだかさっぱりわからなかったが、強いというのはわかった。
「なに?
俺に興味出た?」
「うん」
頷くと、化野は「そっかー」と楽しそうに呟く。
「じゃあ、俺と一回戦ってみる?」
「え?」
自分を指さし、化野はひたすら上機嫌だ。
「放課後にでも一戦。
俺も吾妻と戦ってみたかったし、ね?」
「…………」
にこにこととても機嫌の良い顔で見つめられているのに、普段なら自分はわくわくして頷くのに。
背筋を流れたのは、冷や汗。
「吾妻!」
不意に大声で呼ばれて、我に返る。
手を掴まれて、振り返ると九生がいた。
焦った顔だ。
「悪い。放課後、俺と用事があるから」
「そうなんだ。残念」
「すまんな。じゃ」
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唐突すぎる九生の登場と行動だが、正直助かった。
そして、吾妻は気づく。
自分の手の平は冷すごく、九生の手の平も冷たい。
その事実に、ぞくっと恐怖が走った。
もしかして、自分は今さっき、とんでもない窮地にいたのか?
しばらく無言で自分を引っ張っていた九生が足を止める。
「悪いことは言わん。
あいつに、今は勝とうとすんな」
手を離し、自分を振り返った九生は、怖いくらい真剣だった。
吾妻は気圧される。
「…化野って」
掠れた声が口から出た。
聴きたくない気持ちもあったのに、口が止まらない。
「お前、白倉が“最強”って呼ばれとるの知っとるじゃろ?」
「うん」
「なら、化野がなんて呼ばれとるか知っとるか?」
「…しらん」
喉がからからだ。
そんな感覚を、今自覚した。
九生は険しい顔で、一字一句はっきりと発音する。
「化野は“不敗”。
絶対に誰にも負から存在。
そういう“神話”。
NOAの“伝説”じゃ」
「………」
返す言葉が浮かばない。
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今さっき、化野から感じたプレッシャーが全てだ。
「今のNOAのSランクに、あいつに勝てる人間は、おらん」
九生は断言した。
それはつまり、皆、一度は彼と戦ったことがあるということ。
皆、負けたということ。
九生も、岩永も、――――白倉も。
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九生はそう言った。
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